瞑想を超えて (4)

(4)その初めての瞑想のとき、どんなことが起こったのですか?

 実を言うと、私がそれを一種の瞑想であったと考えるようになったのは、後になってからです。15歳の私は「瞑想」という言葉も、「無我」という言葉も、「変性意識」という言葉もはっきりとは意識していませんでした。
 ただその時私に起こったのは次のようなことです。
 私は束の間生きて死んでいく小さな自分に、瞑目して想いをこらしていました。
 すると自分を大きな川の流れの中にある一粒の水滴のように感じはじめたのです。
 Let it be の音楽が心身に鳴り響いたとたん、私は深い息をついて、その川の流れに自らをあずけてしまいました。一粒の水滴が独立して何か意味あるものになろうとするのではなく、流れに身をゆだねてしまったのです。
 するとどうでしょう。私は一粒の独立した水滴ではなく、大きな川の流れとひとつであることに目覚めたのです。「私」という殻は幻想でした。すべては大いなる川の流れの一部でした。
 そう感じたとたん、途方もない歓びが胸に湧いてきました。イメージの中で川は銀河でもあり、大宇宙そのものでもありました。そこにはただ無限に広がる宇宙だけがあり、私はいませんでした。「私」は宇宙に溶けて消えてしまっていました。
 ただ歓びだけが、泉のように溢れていました。

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