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営業未経験者による営業モデルの構築と活用方法

今回は営業モデルの構築・活用方法についてまとめました。

タイトルをご覧になって営業の方は「営業やってないのに営業語んなよ」と思ったかもしれません。

、、、すみません!営業やっていないことを武器にフラットな視点で作ると、こういうアウトプットになるんだなー、と思っていただければ幸いです。むしろご意見いただけると助かります!!

==当時を振り返っていきます==

新卒入社し2週間で立ち上げ半年の営業組織の営業推進を1人でやることになりました。当時はハイパフォーマー営業パーソン4名程の組織だったので営業手法が属人化していても問題なかったのですが、1ヶ月2ヶ月と経ち営業メンバーも増えると既存メンバーと新メンバーのパフォーマンスに乖離が出てきました。

当時ライオンの子育てのような立ち上げ(携帯、名刺、PC揃った、よし、いってこい!みたいな)だったので、「これはまずい!」となり営業モデルとして型化し育成に活かしていこうとしました。

その際の経験を今回は書いていこうと思います!

立ち上げ間もない営業組織の一助となれば幸いです!^^

1. 営業モデルの構築

営業モデルとしてSPINが有名ですし、本やイベントなどでリサーチしましたが、どこかビジネスビジネスしていて、うちの業界にガチっとハマるイメージが持てませんでした。ただ「どこの業界の人も『うちの業界は特殊だから・・』と言う」という話もよく聞いていたので、SPINは大枠の型として十分に考慮した上で独自のモデルをつくろうと思いました。

さて、「営業モデルを構築する!」とはいうものの、営業活動をしたことがありません。そこで「営業について何も知らない営業未経験者の新卒」という武器を活かすことにしました。「知らないから教えてくださいよ~><」「○○さんがうまくいってる方法を○○さんに共有してあげたくて~><」というスタンスで。具体的に行ったのはハイパフォーマーへの集団インタビューと商談録音分析です。

1-1. ハイパフォーマーへの集団インタビュー

営業モデルを構築する目的は「できるだけ汎用可能な商談の型を作ることでチームとしての商談の質の底上げをすること」としました。そのためできるだけ汎用性が高く、「それ、その人だから言えるんじゃん?」「それ、その特徴あるお客さんにしか使えないよね?」みたいな個別具体性の高い事象は一旦脇に置いておいておきました。お客さんのタイプ別の接し方や商談における細かいtipsは勿論お客さんと関係性を築いていく上で重要ではありますが、一旦脇に置いておくのです。
まず抽象的な枠組みを作り、そこに個別具体的な事象を紐づけ、抽象と具体の行き来をすることで全体への解像度高めていくのが近道だと考えるからです。

インタビューは以下の様な質問を投げかけて進めます。

「お客さんによって違うとは思いますが、普段の商談ってどのような流れで進むんですか?」→「そうした問いかけが出来るということは事前にこういうこと調べておくんですねー!他にも事前に調べておくこととかあるんですか?」

商談におけるフェーズを洗い出します。また商談前の下準備で差がついている可能性もあるのでそこも聞きます。

(その方の商談の流れを可視化した上で)「各フェーズに対してお客さん・あなたはそれぞれどのような思考・感情状態にありますか?」「そしてどのような言葉を返してどのような返答が返ってくることが多いですか?」

人によってはそこまで言語化できていない方もいるので、以下の様にコーチング的な手法でヒアリングします。

「このフェーズでは○○さんはどのような言葉をお客さんに投げかけることが多いんですか?」→「どうしてその言葉をかけようと思うのですか?」

このように順番を逆にすれば、行動→思考/感情という顕在化しやすい事象の順にしているものから聞いているので本人も話やすくなります。

そして何名かのハイパフォーマーのヒアリング結果をまとめて共通項を見出し、モデル化していきます。この時抽象的な文言だけでは実用に落とせないので、それは具体的にどういう行動や状態のことを指しているのかも紐づけて表記します。(例えば弊社の営業モデルは下記の画像のようになりました。*”営業活動”というより「同じビジョンに向かうパートナーを増やす」という気概で全員が取り組んでいるので”パートナリング”と呼んでいます。本当にパートナーとして真摯にお客様に向き合われている方が多いです。CS もですし、言ってしまえば想いある良い人しかいない会社ですが。また前提として中小企業の多い業界で営業は大抵経営者とお話させていただくケースが多いです。)

*以降掲載した画像は当時共にこれらを作成した上長に掲載許可済み(ありがとうございます!)

KISSモデル

*注意ハイパフォーマー分析による施策がうまくいくのはイノベーションのジレンマでいう「持続的イノベーション」のラインの過渡期においてのみです。ある程度プロダクトがコモディティ化している状況下では今までの成功モデルを再現しても明るい未来はないかもしれません。

1-2. 商談録音分析

商談の録音を聞き、作成したモデルと具体的な商談を結びつけていきます。実際の商談ではどのような間やトーンで話しているのか/聞いているのかなど文字で表せなかった機微を把握しにいきます。
まだ成果が出ていない方とハイパフォーマーの差分を抽出し、先程一旦脇に置いておいた細かいtipsと併せて、モデルの各項目に関連付けていきます。

(”具体的行動”の箇所は例です。)

KISSメソッド

ちなみにハイパフォーマーの際立った特徴は例えば下記のような点でした。
・商談の前半部分ではシンプルで応えやすい短い問いかけをし、基本的には傾聴に時間を使う
・長くても3-4文で話し、1文が短め
・受容→共感(+相手にプラスとなるような情報提供)→質問の文章構成が多い
・お客さんと声が被らない
・間を恐れておらず、むしろお客さんが積極的に話している
・提案は商談の後半に入ってから始めている

2. チェックシート化し研修材料とする

モデルが出来上がり、具体的な行動例も付与したことで、社内での共通言語ができます(この浸透まではできなかったなあー。。)。新しく入ってきたメンバーも各商談に対して、どの項目は出来、どの項目が出来なかったのか、課題の可視化・細分化が可能になります。
(余談ですが、Knowingの部分に課題があるメンバーが多かったので、その部分に特化したロープレをその後作成しました。これについては別途発信します)

そこでチェックシート化し、営業研修の材料にしました。(こんな感じ↓)

KISSメソッドチェックシート

と、ここまでまとめてきましたが、継続的にチームで使っていく、さらにブラシュアップしていく、というところまでやりきれず、次の部署に移ってしまったのが個人的な残念ポイントです。

作ること、一時的な成果を出すこと、以上に継続的に運用され、持続的に組織の成果を生み続けることの方がよっぽど難しいですし、意味があることですし。

ただ、パートナーを獲得していくタイプの営業組織にいらっしゃる方・立ち上げている方にはもしかしたら参考になるかもしれません。

どなたかの一助となればうれしいです。

よろしければサポートよろしくお願いいたします!