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元戦略コンサル2人が見た「AIベンチャーの"生々しい"風景」(前編)【ABEJA Meetup!】

AIベンチャーとして、知名度も上がってきたABEJA。ただ、どんな人がどんな仕事をしているのか、いまひとつ伝わってこない...?

ならば語りましょう!ということでメンバーが語るイベント「ABEJA MEET UP」が開かれました。今回は、企業のAI活用のコンサルティングなどに取り組む山本直樹さんと佐久間隆介さんが登場。

前職はともに戦略コンサルタントで、「パートナー」「執行役員」まで務めた2人。なぜABEJAを選んだのか。前職キャリアは通用したのか。キレイゴトなしで語ってもらいました。今回はその前編です。(後編はこちら

山本直樹: 日立製作所で学卒から10年ほどSEをやった後、A.T.カーニーで戦略コンサルタントを約20年やっていました。そして昨年、ご縁があってABEJAに58歳で来ました。いまは、Use Case Creationというまさに「Use Case」を「つくる」仕事をしています。

佐久間隆介:2002年、デロイトトーマツグループ(現アビームコンサルティング)に新卒で入りました。10数年働いてきて、5年ほど前、35歳で執行役員に任命いただいて、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略や、AI活用を担当してました。

ジュニアコンサルタント時代もAIの実装みたいなことをやっていました。コンサルタントと言いながらも結構泥臭く、SEみたいな仕事もやっていて。

いわゆるERP(Enterprise Resource Planning)基幹システムのパッケージを入れたり、BI(business intelligence)ツールを入れたり、いろいろなことをやる延長線上でAIに触れ始めました。

これはAIそのものを取り扱う会社で実装するほうが早いと思い、ABEJAに来ました。

佐久間さん


 4月から参加して、いろんなことをやっています。最初に入ったのはグローバルチームで、拠点のあるシンガポールを中心にタイなど、いろんなところにどう展開していくかという戦略を、COOの外木直樹と一緒にやっていました。

その後、Globalチームにいながら国内のUse Case Creationチームに入って、山本と一緒にコンサルティングもやり、その傍らで、社内の様々な戦略を議論する場の議事録も書いてます(笑)。

司会(山田裕嗣):お二人は、ABEJAに来る前からクライアントのDX、デジタル系に関する経験をお持ちです。コンサルタントとしてクライアントを支援してきた経験と、ABEJAでのプロジェクトの間に、どんな違いを感じているかお話しいただけますか。

山本:ABEJAに入ってすぐの頃、ある自動車メーカーの「MaaS(Mobility-as-a-Service)戦略」を担当したんですね。当時「はいはい!カー・メーカー得意です」「製造業戦略得意です」と自分から手を挙げて「任せてくれ」と。でもクライアントにボコボコにされました笑。その経験が忘れられないです。

コンサルイベ山本さん

コンサルタントの経験が長いと、昔お客さんに喜んでもらった手法で勝負したくなる。でもお客さんはABEJAにはコンサルファームからは出てこないものを求めている。だから、何か違うことを要求する。

先端性だったり、テクノロジーのフィジビリティ(feasibility)だったり、そこに対する期待値がやっぱりある。これは戦略コンサルタントが、グローバル・エコノミーの動きを戦略に落とし込むものとはちょっと違います。同じタイトルでも期待値が違う、と感じました。

司会:ABEJAだと、Use Caseのチーム、ABEJAPlatformのチーム、SaaS(Software as a service)を作っているチームもいる。そして全メンバー80~90人のうち3分の1がエンジニアです。そんな中でプロジェクトをやる時の人の関わり方も、今までの会社と違いますか?

山本:UCには IT寄りのコンサルタントが3人いますが、私以外はみんな若くて、しかもコンサルタントを普段から使いこなしてるような「グルメのお客さん」から高く評価されている。「ジジイは来なくていいよ」って言われるかな、と毎日薄氷を踏む思いでなんとか走り切っています。

エンジニアとの関係性で言えば、今まで何回となく若いエンジニアとミーティングしましたが、すごく学びが多いしネタもくれるので、非常に助かってます(笑)。

佐久間:私も基本的に同じです。お客さんがABEJAに「出して欲しい」と思っているものが、これまで17年間コンサルタントとして出してきたものと全く違う。簡単に言うと、コンサルタントは成果を顧客と求めていくスタイルですが、問題設定をする段階ですでにお金を取っている。そういう面の価値も認めてもらえるかなと思ってABEJAに来たんですね。

でも、実際は違うんですよ。小売業の顧客に、新しいAIモデルの構築について話をいただいたことがあって、ありきたりではない話をしたいというご希望でした。その要望をどうやって探していくか、というところからやる。

弊社代表の岡田が「こういう手法があって」とか「あるいは...」とテクノロジー目線でワーッと話す傍ら、私は何も言えない状態がよくありました。プロセスじゃなく、結果そのものがどうなる、とか、生々しい技術の話を具体的に持ち出して、あれもある、これもあると話さなければならないから。

戦略レベルの話や課題レベルの話で、技法や実装の話がすでに出てくる。そこが違います。

山本:「生々しい」は、本当です。コンサルティング会社ではないので、事業会社ならではの苦労、サービス開発の苦労など、話が生々しくないと説得力がない。ロジカルに正しいことをいくら言っても、砂漠の真ん中で「明日晴れるでしょう」と言ってるような感じ。そんなことにお客さんはお金出してくれない(苦笑)。そういうことです、生々しさって。  

司会:お二人とも、コンサルティングファームで一定のポジションを経験された中で身についたスキル、能力、筋力などで、「ここは(ABEJAでも)活きた」という部分と、逆に足かせだと思うところは?

佐久間:業界はたまに変わる、クライアントはいつも変わる。提供するソリューションも解法も違う。だから常に新しいことを仕込まないといけないという能力は活きたものの一つだと思っています。もう少しかっこよくいうと、知識のラーニングとアンラーニングを常に繰り返すわけです。

ERPの導入の方法論を身に着けた後にBI導入が必要になれば、そっちにシフトする、とか。組織改革のメソドロジーを身に付けた後に、それとは全く異なるデジタル戦略のメソドロジーを新たに入れる、とか。そういう能力は結構使えるなと思います。

昔は「パートナーや執行役員になったらあまり自分で考えなくていいだろう」と甘く考えていましたが、執行役員に就いた時に「自分こそ頭の筋肉を使わなきゃ生きていけない」と実感しました。その「頭の筋肉」もすごく使えると思います。

その延長上にプロジェクト・マネジメントのスキルがあったり、お客様とプロジェクトの方向性を検討したり、最終的な判断を下したりするといったスキルがある。未知の中でもなんとなく整理できる能力は、いまも使えると思っています。

逆に足かせになったのは.... 強いていうと、コンサルティング会社はヒエラルキーが結構しっかりしていて、パートナーや執行役員が「これ、やれ」と言うと、部下たちがすぐやる。コマンドラインが明確なんですね。

対して、スタートアップ、特にABEJAは、みんながいい意味で互いを尊重しあっている。この能力が高い人、あの能力が高い人といった具合にバラバラです。だから、みんなと調整して進めなきゃいけない。

そんなとき、前の仕事のクセで、どうしてもコマンド的に動いてしまいそうになることがあります。たとえば、説明なしに「この仕事をしておいて」とか。そこを意識的に封じて、仕事を頼む理由や背景をきちんと説明するように心掛けるとか。人に対する当たり前の姿勢なんですけどね。要はフラットな組織に慣れてないんです。 

山本:僕も同じですね。コンサルタントで培った分析力や構造化力、その根底にあるコミュニケーション力は使えます。きちんと言葉に落とすとか、紙に落とすとか。それはコンサルティングですごく鍛えられた、と思っています。

スクリーンショット 2019-12-09 17.39.26

撮影=川しまゆうこ


ただ、今言った「構造化」、ふわっとしたものを紙に言語化する、スライドに落とすというのは、コンサルティング時代のコア・バリューだったと思うんですが、ABEJAへ来ると、それはスキルにすぎず、バリューではなくなったと思っています。

司会:言語化・構造化がコアバリューでなくなったとき、今度は何が一番バリューに?

山本:それはもう「生々しさ」です(笑)。リアルであることですよね。コンサルタントは抽象化度をグーッと上げることが、ある種バリューだったと思います。でも、それは「生々しさ」と真逆ですよね。生々しくて臨場感がないと、逆に刺さらないと思います。
(後編=12月17日午前公開=に続きます)

山本直樹(やまもと・なおき)
慶應義塾大学理工学部卒業、マサチューセッツ工科大学スローンスクール卒業(MS in management of technology)。日立製作所事業開発部門を経て、A.T.カーニー入社。パートナーとしてハイテク、通信・メディア業界を中心に、「技術」と「事業」の橋渡しを一貫したテーマとして、成長戦略、国際提携戦略、R&D戦略、事業戦略、技術戦略などの支援を行う。2018年よりABEJAに参画しUseCase事業部でコンサルティングを担当。
佐久間 隆介(さくま・りゅうすけ)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、アビームコンサルティング(当時デロイトトーマツコンサルティング)に入社。2014年より最年少執行役員。DX戦略、新規事業戦略などの戦略コンサルティング、組織・人事制度改革などの経営改革プロジェクト、大規模基幹業務システム・BIシステムなどのIT導入に従事。自動車製造・販売、広告業、総合化学、精密機器、電子部品、公共サービス、大学、電力業、総合商社など幅広い業種のクライアントへサービスを提供。2019年よりABEJAに参画しグローバルビジネス展開、AI活用のプロジェクトマネジメントなどを担当。


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AIの社会実装を手がけるABEJAの企業活動や、そこで働くテクノプレナーたちの日常・素顔を発信! テクノプレナー:“ゆたかな世界”を問うリベラルアーツと実装するテクノロジー。この2つをアントレプレナーシップで循環し、推進する行動姿勢を体現する人たち。略して「テクプレ」。
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