年越のラブレター
今年は大変な年になりましたね。
アナタのご商売はなるべく寄席に出て、なるべくお客さんの前でおしゃべりする事で芸が磨かれていく物だと思っています。
そういう機会が激減した年でした。経済的にはもちろん、精神的にかなり堪えた事だと思います。
以前、アナタに話したことがあると思うけれど、僕は昔、高校生の頃、弓道部に所属していました。その時に色々学んだのだけど(学んだはずだけど)、一番印象に残っている事は「矢を放つ」時の話です。
高校生だし、スポーツ感覚で楽しめば良いものを、僕は精神論にハマってしまったのです。
所作の一つ一つに意味があるのだけど、特に「矢を放つ」瞬間の事は僕の人生にとって重要な意味を持っています。
きりきりと弦を張っていくと矢が口元にきます。そして矢を放つ前に「会」という時間があります。この「会」は有限であり無限だと言います。
うぉっっほん……わかりやすく伝えないとまたアナタに怒られちゃうな。
矢が放たれるべき時を待つのが「会」という所作なのだそうです。
狙いを定めて矢を的に当てようとするのではなく、矢が放たれるべき時を待って射るのだそうです。そうやって射られた矢は自然と的に当たるのだそうです。
来年もどんな年になるかわからないけれど、僕は、アナタと一緒に矢が放たれるべき時を待ちたいです。
「ハイ、お蕎麦が出来ましたよ」
アナタが作ってくれた年越し蕎麦には、落語の「当たり矢」の蕎麦のように厚っぺらな蒲鉾が入っていて嬉しかったです。
今日も大好きです。
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