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三菱電機の中期経営計画の紐解き7

前回の記事はこちら。


三菱電機の中期経営計画はこちら。


続きを書いていきます。

P14)空調冷熱システム事業
高性能・高効率デバイスと高度な制御技術で、各地域のニーズにあわせた循環型ソリューションを提案
■地域ごとのニーズへのきめ細かな対応 ・MEHITS(旧DeLclima社)活用による、ルームエアコンから大型空調冷熱システムまで幅広いニーズへの対応 ・グローバル生産体制強化による地産地消の推進
■循環型事業の強化・拡大 ・ビルシステム事業との連携によるソリューション
サービス提案加速 ・設備運用システムや遠隔管理サービスの提案体制強化
■環境・省エネ規制対応と環境負荷の低減 ・既設配管を活用し短工期で新冷媒空調機に更新(リプレース機種) ・フルSiC DIPIPM搭載、アルミ扁平管交換器・高効率圧縮機の採用

解説
随分と技術的なコメントが多いですね・・・。MEHITSはイタリアの関連会社ですね。チラーの開発や産業用の空調などが得意なようです。

既設配管を活用し短工期で新冷媒空調機に更新(リプレース機種) 
エアコンには冷媒が入っています。いわゆるフロンというやつです。昔のフロンはオゾン層を破壊するため問題になりましたが、そこは改善されました。その代償として昨今のフロンは温暖化係数が高いのが問題です。もちろんフロンは適切に業者さんによって最後は処理されますが、それでも現役で使っているとき完全に漏れていないのか?と言われれば微量ながら漏れ出ており、環境負荷になります。

本資料の新冷媒はこの温暖化係数がぐっと下がっています。

それと室外機と室内機は配管で繋がっていますが、この配管をそのまま使えたりします。この既設配管利用自体は新しいコンセプトではないのですが、冷媒の種類に制約されることがあります。三菱は古い冷媒が入っている配管であっても、新しい冷媒を入れれる仕組みを考えているようですね。

他は細かすぎるので割愛します。

売上は9000億円規模で、非常に大きいですね。

P15)FAシステム事業
『e-F@ctory』のさらなる進化によりスマート工場化に貢献
■『e-F@ctory』対応製品・ソリューションの強化 ・「CC-Link IE TSN」(情報通信と制御通信を1つのネットワークで実現)に対応したFA製品の投入 ・業界最高レベルの性能と最先端の予知保全で生産性向上に
貢献する新型汎用ACサーボシステム「MELSERVO-J5」の投入
■生産体制強化・安定供給体制構築 ・生産能力増強(サーボ、インバータ) ・生産拠点拡大(日本、中国、インド)

解説
このe-F@ctoryとはなんでしょうか?あとCC-Link IE TSNですね。

詳しくはこちらをご覧ください。

スマート工場というのは賢い工場ということです。ロボットたちが賢く効率的に生産してくれる必要があります。当然ながらIOT対応が求められます。IOTはご存知の通りモノのインターネットです。ロボットにセンサーを取り付けて賢く動かそうという話です。このセンサーは一般的にはインターネットを通じてクラウドにつながります。クラウドという別の場所にあるデータの保管庫にセンサーがせっせとデータを送ります。クラウドはデータを受け取り、ロボットに次にどんなふうに動いてほしいか、再度インターネットを通じて、ロボットへ送信します。

ホームIOTしたことがる方はわかると思いますが、いちからIOTを入れるのはだいぶ簡単にはなりましたが意外と最初大変です。例えば多くの製品がまだIOTに対応していないので赤外線とWiFiをつなぐスマートリモコンを介在させたり、WiFiで接続できても自宅のルーター自体の接続台数に制限があったりします。あるいはスマホからテレビを操作できるようにはしたものの、即応性が悪くすぐにチャンネルが変わらない、音量の調整はもともと付いていたリモコンの方が操作しやすいといったことが起きます(我が家がそうです)。

工場という現場でも同じことが起きます。というよりもっとシビアにこうした問題が出てくるわけです。多岐にわたる機械やロボットの通信できる規格がバラバラだったり、通信速度がバラバラだったり、それに伴って状態を見れる速度、動かすことができる速度にずれが出たりする訳です。

私がみた限り、三菱電機のe-F@ctoryの特長はIOTとクラウドの対応は当然のことながら、そこにエッジコンピューティングとCC-Link IE TSNを組みわあせている点にあると思います。

エッジコンピューティングはクラウド処理するようなデータの送受信を、ロボットのすぐ横でやるイメージです。コンピューターの処理技術はどんどん性能があがっているので、インターネットを通じてクラウドまでデータを持って行かなくても、ロボットの脇に非常に小型で処理速度の速いコンピューターを搭載できるようになってきました。

従来は、ロボット→センサー→インターネット→クラウド

新しい仕組みは、ロボット→センサー→エッジ(→インターネット→クラウド)

となります。

これによりある程度の内容はエッジコンピューターで処理したのちに、エッジコンピューターが処理できないデータや急ぎでないデータをクラウドで処理させるという仕組みが可能となります。これは即応性が非常によくなります。

先ほどの例でホームIOTで言えば、テレビのチャンネルや音量がすごく素早く変えることができるようなイメージです。

それとCC-Link IE TSNですが、これはホームIOTでいうところの赤外線とWiFiをつなぐスマートリモコンみたいなものです。たくさんあるロボット、機械の通信規格を統一できるイメージです。加えて、オープンソースになっています。APIが公開されているので他のパートナーも利用できます。

オープンソース、APIというのは、要はTSNの通信がどんな内容なのか公開しているということです。つまり、三菱電機以外の会社でも、三菱電機以外の製品でも、このTSNに接続したいとなれば、接続が可能になります。

自前では補いきれない工場の機械やロボットにも接続できるようになれば、顧客の利便性も上がります。三菱としてもトータルソリューションの提供によりFAでの競争力、存在感を維持することができるわけです。

今日はここまでです。

ということでまた。


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