見出し画像

ウイルス共存プロジェクト・4話目往復書簡


4話は医療現場のお話だったため、書きたいことは山ほどあるのだが(特にオンライン面会については宇井の領域なので)、やはり「物資不足」を取り上げるべきだと思い、今回のコラムではそこに注目する。


医療現場と医療物資

大変なことになっているだろうと、それくらいは素人感覚とはいえ、わかっていたつもりだった。
しかし松下先生の回を見て、天地がひっくり返るくらいの大騒動だったことが骨身に染みてわかった。

医療ドラマを見ているとよく思うのだが、現代の最先端医療というのは、最先端物品があっての治療なのだということ。
江戸時代にタイムスリップしてしまった「JIN-仁」では、手術器具や医療薬を自分んたちで生成するシーンが何度も描かれている。
「こんなことタイムスリップでもしないと起きないよなぁ」と、ドラマ放映中は呑気に思っていたのだが、まさかパンデミックがその状況を引き起こすことになるとは。
物があってこその医療。
その物品製作から手掛けられた、松下先生を初めとした医療従事者の方々には、
改めて、床に額を擦り付けてお礼を言いたい。 


医療現場と介護現場

松下先生からは総合病院でのパンデミック対応をお伺いしたが、
宇井が普段関係する介護現場も、同じく前線に立たされていた。
Facebook上では、マスク寄付活動はじめ、本当に多くの活動が行われていたが、
どの介護関係者の投稿からも垣間見えたのは、自分たちが入居者さんからかかるリスクよりも、
自分たちが入居者に移してしまうリスクを考えていること。
こんな状況になっても、利他主義の姿勢を崩さない介護現場の方々に、
私はそういう人たちと普段から仕事させていただいているのかと、目頭が熱くなった。

またこれは地方と都市部の違いなのか、医療と介護の違いなのかわからないが、
宇井の周りの介護施設さんたちは、そこまで物品不足に困っているようには思えなかった。
どちらかというと、即座に横のつながりで物品の流し合いを行い、
闇市力の高い人たちが複数ルートからマスクなどをかき集め、現場が安全に介護できなくなる状況を防いでいた。
松下先生は大阪の総合病院ということで、物流も必要物品数も困難ケースだったのかもしれないが、いずれにせよ、街中で医療用手袋をつけている人がいるのに、病院内では不足している状況は、改善したいものだ。


国内最大手ベンチャーが、国内の医療現場を支えた

物流ルートの件では、メルカリが一番届くのが速かったという事例は、
まさに物流業界へのアンチテーゼのように思えた。
何社もの商社が間に入り、価格だけでなく物流遅延にもつながってしまう構造的欠陥を、CtoCビジネス(個人間取引)が一掃した瞬間だ。
(もちろんメルカリ上でビジネスしている人もいるだろうが、いずれにせよ小規模取引ゆえの強みが生きている)
「なめらかな社会を実現する」
以前あるインタビューでメルカリ創業者の山田会長がお話されていたことが、今回のパンデミックの中で鮮明になった。
世界を狙う日本発ITベンチャーが、国内の医療を支えた。
ベンチャーにも医療介護にも携わる身としては、普段交わらない者同士がハイタッチする音が聞こえた気がして、しばらく胸の高鳴りが止まらなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?