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ウイルス共存プロジェクト・6話目往復書簡

前回のコロナ患者を受け入れた回については、
私ごときがコメントするのは はばかれる、本当に素晴らしい取材録だったため、
きみどりさんに断り、コラムを控えさせていただきました。
改めて最終回となる今回のコラムを書かせていただきます。

3.11で見せた、日本人の品格

今回のコロナ同様、日本が震撼した災害のひとつに、3.11があると思う。
このコラムでも何度か引き合いに出しているが、あのときに浮き彫りになったことは多かったと思う。
特に私が印象に残っているのは、日本人の礼儀正しさに感動したと、世界中から賛美されていた記事である。
https://liginc.co.jp/president/archives/2724
たしかに日本人は列を作る時も、割り込みしたりせず、きちんと整列して並ぶ習慣、国民性がある。
行きすぎると村八分精神につながるが、
和を重んじる気質が、被災時に良い形で評価されたのは良かったと思う。


以下、記事内のツイート

コンビニ @ebiflider
「昨日の停電の時に慌ててコンビニに行ったら、みんな争うこともなく黙ってきちんとレジに並んで、小学生は真っ暗な店内に「お化け屋敷だーっ!」と笑顔ではしゃぎ、女子高生が携帯で老人の足下を照らし、店員さんが「頑張ってね」の声に涙しながら電卓でレジをしていて、ヒトって強いな、と実感した。」

渋滞した交差点での出来事 @micakom
「一回の青信号で1台しか前に進めないなんてザラだったけど、誰もが譲り合い穏やかに運転している姿に感動した。複雑な交差点で交通が5分以上完全マヒするシーンもあったけど、10時間の間お礼以外のクラクションの音を耳にしなかった。恐怖と同時に心温まる時間で、日本がますます好きになった。」

日本人の良さを再認識 @VietL
「この地震が、きっかけになって、失いかけていた日本人本来の良さが戒間見れた気がする。犯罪はする様子はなく、助け合い、律儀、紳士的。普段日本人は冷たい人が多い…。って個人的に感じてるんだけど、多くの人が今回で「絆」を取り戻しつつあるように見えて、それがなんか感動して、泣けてくる。」

それが今回のコロナ中では、たしかにマスク着用が甘いところもあった。
それに外出者もそれなりにいた。
きみどりさんの取材通り、諸外国に冷ややかな目で見られてもしかたないことをしていた。
どうしてわたしたちは今回、自分勝手な行動をしてしまったのだろうか。


見えない敵との戦い。

これは個人的な考察であり、本当はもっと違う理由があるのかもしれないが、
私は一つに、見えない敵、というのがあったと考えている。
ウイルスそのものが見えないし、無症状感染もあるから、何が起きているか掴みづらい状況だったことが、どこか気持ちを大きくさせていたのはないか。

3.11では、東北の沿岸はもちろんのこと、私の地元の千葉県旭市も、津波の第二波で被災している。
私も当時、実家のラーメン屋の父が、地元のラーメン屋仲間と一緒に炊き出しをするということで、
せっかくなので手伝いに行ったのだが、
被災した方々から、
「東北の方々に比べたらなんてことないけど、でも一階が全部塩水でやられてしまって、、、」
「一階って、台所も、お風呂も、テレビとかも全部置いてあるじゃない?だから寝るところはかろうじて二階に作れても、到底暮らせなくて、、、」
そう言いながら、体育館まで食べ物を取りに来ていた方々を、今も覚えている。
幸いにも実家が沿岸部になかったため被災しなかった私でさえ、炊き出しを手伝いながらコトの大きさを実感していた。

そういった実感が、今回のコロナでは薄かったとは思う。

知り合いの家族がコロナにかかったらしい。
友人の職場の上司がかかったらしい。

だんだんと自分の近辺の人たちがかかっても、家が流されている3.11とは違う、物理的なインパクトのない、漠然とした不安との戦いだった。
目に見え分かる事実はないけれど、
でも、もしかしたらわたしもかかっているんじゃないかと、見えない恐怖にストレスがかかっていた。
‥ここまで書いて思ったが、実感のない恐怖と、そこから来るストレスと闘っているので精一杯で、だからこそ品格を欠いたのでないか、とも思った。
だとしても、相手を不安にさせるような行動を取って良い訳ではないのだが。


感染症の季節が来る

このところ急に寒くなり、コロナだけでなく、感染症が流行る時期が到来した。
クラスター感染のニュースも増え始めている。
毎年のインフルエンザはもちろん、今年はコロナも待ち構えている。

「見えない不安」と「漠然としたストレス」への対応を、我々はこの半年ほどで、どこまで学べただろうか。
このプロジェクトで発信してきたものが、次のパンデミックで少しでも役に立つことを、心から強く願っている。


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