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シクステン・セゾン氏の設計したサーブ

シクステン・セゾンSixten Sason (1912〜1967年)は、スウェーデンのインダストリアルデザイナーで、戦時中に航空機の設計技師としてサーブ社入られ、サーブの自動車であるサーブ92、サーブ93、サーブ95、サーブ96、サーブ99、サーブカテリーナ、サーブソネットをデザインした他、ハッセルブラッドのカメラF1600、ハスクバーナのSilverpilen、モナークのMomascootというスクーターもデザインしています。

サーブ900の特徴である、回り込んだフロントガラス、クラムシェル型のボンネット、乗降性に優れるスカットルプレートの無いドア構造、衝突安全性のためのクラッシュパッドがわりのダッシュボードや、膝を傷つけないように運転席と助手席の間に設置されたイグニッションキーなどは全てサーブ900の前身であるサーブ99からのキャリーオーバー、手袋をしたままでも何の問題も感じない操作性、雪道でイキイキと走り回れるFFかつ高級な足回りなど、これらの日々感心しているサーブ900の設計の元はシクステン・セゾン氏の指揮によるものだとするならば、何という決断力だと思います。

また、ハスクバーナのSilverpilen(銀の矢の意味)は、スタイリッシュでシンプルかつ軽量な175cc, 125ccスクランブラーとして戦後大変人気だったハスクバーナの代表作で、クールなスウェーデンの血を感じさせます。

近年ハスクバーナはこのSilerpilenのイメージを焼き直したVitpilen(白い矢)、Svartpilen(黒い矢)シリーズで、スタイリッシュなキレキレのデザインのバイクをリリースしています。

ハッセルブラッドと言えばのカメラのデザインもシクステン・セゾン氏のものだと知り、素晴らしい才能はどんなフィールドでも発揮されるのだとさらに尊敬の気持ちを深くしました。

そんなシクステン・セゾン氏はわずか55歳で寿命を迎えられていました。もし、もっと長く生きていれば、さらに素晴らしいデザインの様々なプロダクトが世に残っていたのだろうにと考えずにいられません。

ステック型掃除機でスタイリッシュでリーズナブルなエルゴラピードを出している家電メーカーのエレクトロラックス社でも設計されていたのだそうで、日本で言えば、富士重工とホンダとニコンとパナソニックで活躍したようなものです。凄すぎる!

誰がどんな想いを込めて作ったかはそのモノに宿るものなのですね。シクステン・セゾン氏の設計を失ってからのサーブ社はサーブ99の後、その焼き直しであるクラシック900シリーズを頂点に倒産してしまいました。

当時のサーブ900は良いモノでしたが、GM参加に入りそのこだわりのコンダクターを失ったが故に終わりを迎えたように思われます。

良いモノと売れるモノは必ずしも一致しないですか、少なくともクラシックサーブ900は当時売れた商品でした。後が続かなかっただけ。

スウェーデンのモノづくりは、すぐ近くに完璧主義のドイツがあり、そのニッチを狙ったアイテムがヒットしているのかもしれませんね。

今日もシクステン・セゾン氏に感謝を感じながらサーブ900を味わい過ごそうかと思います。

Wikipediaシクステン・セゾン


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