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コンタクト・インプロビゼーション・フェスティバル@中国 滞在記:3日目

2018年10月1日(月):北京ワークショップ 1日目

ワークショップの初日ということで、まずは全員でサークルになり、全体の連絡事項や講師紹介からスタート。
そして参加者一人一人が名前を言いながら1ムーブメントずつ動き、皆でその動きを真似する、アイスブレイク。
少しずつ、どんな参加者がいるのかが見えてきます。

初日は、永井はワークショップの講師。
上本は、永井のワークショップと同時並行で行われる、シンガポールから来た李勇伟のワークショップに参加しました。

永井のワークショップ参加者は16名ほど。
約半数が、CIは初めてだったり、まだ経験の浅い参加者でした。

ワークショップは各講師が、10時~13時と15時~18時の、2コマ連続で行います。そして今回のフェスティバルは、全プログラムに参加できない人も、1日のみでも参加できる形になっていましたが、その場合、1日の2コマとも必ず同じ講師のクラスに参加することが条件になっていました。

これは、参加者が様々な講師と出会うことが目的ではなく、ワークを体験として深めることができる時間を確保することが必要、と主催者側が考えているということで、それはとても良いなと感じました。

初めて出会う人達と知り合い、ワークの内容を発展させていこうと思った時に、3時間やってまた別の人達と、、というプログラムだと、深めることはなかなか難しい。講師として参加して、あらためてそのことを肌で感じ、主催者側がこのような条件を設けてくれたことに感謝しました。

ワークでは、からだのやわらかさや流れを感じるところから始め、そこからCIにつなげていくことを意識しました。

自分のからだを自分で「触れる」ことから。
皮膚にふれる、形をたどる、
弾力を感じる、骨に触れる。
何に触れているのか、どう触れているのか。

自分のからだに触れながら、
からだの外にも意識を向けていく。
空間の広さ、高さ、光の感じ。

半野外の会場は、時間の経過とともに、
刻々と光の感触が変わり、それがとても美しかったです。

その後、からだと「センター」とのつながりについて意識を高めるパートナーワークや、オフセンターを使った空間移動のワークに取り組み、
参加者からの質問や気づきのシェアとともに、自分の発想も今までとは違った方向に広がり、最後は4人組でのダンスに展開していきました。

自分もやったことのないアイディアが、その場の参加者との化学反応でパッと生まれ、そこから素敵なダンスが生まれてくる。
とても嬉しい最後でした。

ワークショップが終わったあと、参加してくれていたフェスティバル講師のひとりと話すなかでコメントをもらい、様々な気づきがありました。

1つは、自分がワークで「手で触れる」ということを多用している、ということ。

このことは、自分たちが普段、日の出町団地スタジオでのクラスを通じて、
ダンス経験に関わらず「からだの感覚や動きの可能性を開いていくワーク」に取り組んでいることと、関係していると思います。

「手」は普段から、いろいろな物に触れたり、動かしたり、
話すときに自然と何かを伝えようと動いていたりして、
本当にいろいろな動きや表情を持っていて、目でも見えやすい。

人が何かに「触れるとき」に、
何を感じているか、
何が起きているのか、
どんな可能性があるのか。

そのことを丁寧に見つめていくことで「からだを聴く」感覚を身に着けていこうとするとき、多くの人にとって身近で扱いやすい「手」を入口にすると、入りやすくなる。

そして「手」で受け取った感覚や動きを、からだ全体に広げていくことで、
様々な動きの発想や感覚が引き出されていくと感じています。

話した講師の彼は「手はsocialな意味を持ちすぎることがあるから、ワークでは手を使うのを禁止することがある」とも言っていました。

それに手は、あまりにも使い慣れていてよく動いてくれるので、
気づかないうちに、手だけで動いてしまうようなこともある。

だからこそセンターから、手を含むからだ全体への動きのつながりを意識することの大切さを伝えていく必要があると、あらためて思いました。

彼との会話のなかで、もう一つ印象に残ったやりとりがあります。

ワークのなかで、1人が寝て、もう1人がパートナーのセンターから手足のほうに触れていくワークを私が説明していたときのこと。

デモンストレーションのために彼に寝てもらい、私が彼のからだに触れながら、センターから腕に向けてなぞる説明をしたときに
「胸のあたりは触れずに、少し浮かすような形でよい」と言ったあと、人によっては触れても大丈夫という人もいると思うので、パートナーと相談してもよいと思いますと伝え、それに加える形で「彼は男性だから気にならないかもしれないですが」と、冗談まじりで言ったのでした。

その時のことを、彼が「触れられることに対する感覚は、男性だから女性だからとかじゃなくて、個人的な感覚だよね」と指摘してくれて、場合によっては人を傷つける言葉だったということを気づかせてくれました。

「からだの感覚」はとても個人的なもの、と普段から意識して、言葉に気をつけているつもりだったのに、全然意識せずに出てしまった言葉。
無意識に男性は、女性は、という概念に縛られていたことにはっとして、そんな自分にショックを受けました。

そもそもここでの言葉は、インストラクションとして必要だった言葉ではなく、どこか緊張ぎみの自分をリラックスさせるために出た言葉だったなと思います。あらためて気をつけたいと思った経験でした。

同時に、講師同士の信頼や尊重のある関係のなかで、率直な意見のやりとりができることがとても嬉しく、貴重な体験だなと実感しました。

この日も20時~22時がジャム。ワークショップの初日が終わりました。

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