【読書感想】傲慢と善良
『傲慢と善良』 辻村深月
辻村深月さんの傲慢と善良読み終わりました。
心理描写がすごくて何度も胸に突き刺さるものがありました。
広く受け入れているように見えて、実はかなり傲慢だったんだと気付かされます。私も読んでいて自分のことを言われているようでした。
婚活で出会った男女の物語。
彼女がストーカーに追われて彼に助けを求めるところから冒頭が始まります。
序盤はストーカーと彼女の関係でかなりスリリングな内容です。
※以下、ネタバレになります。
ストーカーから逃げてきた彼女。
以前からストーカーの存在を彼に話していました。
そして彼女(真実)を守りたいと彼(架)は婚約を誓います。
式の準備も順々に進んでいき、親族まであいさつに出向き、
会社の送別会までしてもらっていた。
ところが突然、真実は姿を消してしまう。
ストーカーに匿われているんじゃないかと架は必至になって真実を探しに行きます。警察も相手にしてくれない為、真実の故郷へ出向き、そこで真実の過去と向き合います。
何か月経っても戻ってこない婚約者。
するとある日女友達から衝撃の事実を聞かされます。
「ストーカーなんているわけないじゃん」
何を言われているのか分からなかった。
最後まで真実を信じていたかった。
きっと初めての彼女の傲慢で、進展がないこの状況に
嘘をついてまで彼に守ってもらおうとしていたのだと思う。
だけど彼女の傲慢は初めてではなくてきっと婚活していたときから傲慢だったんだと気づく。
真実は東北のボランティア団体の寮に身を寄せ、そこで出会う人たちと心を通わせていきます。当時の真実にはそうすることしか出来なかったし、しばらく時間が欲しかった。
私の感想。
架は最後真実がいる東北へ出向き、真実に結婚しようと再度誓います。
でも私は、何もなかったように許せる彼が凄いなぁと思いました。
それこそ真実が失踪してから必死に何か月も色んな人をあたって、探していたのに急に連絡が来て、しばらく時間が欲しいと言われたあと東北に呼び出してしまう。
架はそれで良かったのかなぁと。
真実のせいで架は振り回され、何か月も待たされ、急に連絡が来たかと思えば東北に呼び出される。式場もキャンセルして真実の我儘で東北の神社で二人きりで結婚式を挙げる。
どこまで傲慢なんだろうと。架もまた傲慢だけれども善良すぎはしないかと。真実は架が鈍感な優しさにこれからもまた甘えてしまうんじゃないかなと思った。
でも二人がいいならそれが一番幸せなことだと思う。外野は関係ない。
30代ってかなりシビアえで現実も色々見なくちゃいけない。
結婚だって例外じゃない。
周りからとやかく言われることが多くなるけれど、それはあくまで二人の問題であってその他の人には関係ない。
色々考えさせられるものがありました。
私も主人公と重なる部分があるので、自分の傲慢さにも気付かされました。(笑)結構グサグサきたなぁ。。
そんな事考える年齢でもあるからかなー。
とにかく出会う人たちそれぞれの心理描写が凄かったです。
さすが辻村深月さんとしか言いようがない。
しばらくは辻村深月さんばかり読んでしまいそうです。
傲慢と善良ぜひ読んで見てください。
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