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アジア

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アジアやアフリカを中心とする、新興国および新分野での挑戦や価値創造を提供するコンサルティング及び投資会社AAIC https://www.aa-ic.com のアジア関連のレポー… もっと読む
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東南アジアの最新オンラインリテール事情

※Global Angle(GA)はAAICグループのマーケット調査会社です。本記事はGAの執筆記事です。 アジアの中では中国が最もEC化が進んでいることは周知の通りですが、東南アジア諸国もパンデミックを通して小売のオンライン化が急激に進んでいます。各国、アパレルや美容分野ではオンライン比率が10%を超え、主要なECで公式ブランドストアを設けています。 2024年1月、GAはアウンコンサルティング株式会社とデジタルマーケティングに関する業務提携致しました。これにより、アウ

アフリカと中国の関係をあらためて考えてみたい その(1)中国の影響力は?

2023年12月中旬、急な寒波が襲ってきた中国・北京。もう17年も前の記憶なのですが、中国にきて3年目の私の頭にある、あの景色が離れません。 それは2006年の初冬、前職のプロジェクトで、北京の中心地・王府井を歩いていた時に、通りの真ん中に、たくさんのカラフルな国旗が展示されている風景です。ほぼ全ての旗が初めて見る旗。これ、いったい何が起きているのか?と、ゆっくり眺めた記憶を思い出しました。「Forum on China-Africa Cooperation」という英語も。

爆発的な成長に期待!「インド化粧品業界の近年のトレンド」

インドにおける美容トレンドと言えば、インドに少し詳しい方であれば、ボリウッド(※1)俳優の特徴的なメイクアップや身だしなみが思い浮かぶのではないでしょうか? 私がインドにいた10年以上前も、今もなおアメリカで活躍するプリヤンカー・チョープラーの力強いアイメイクや鮮やかなリップ、3大カーンの1人であるアーミル・カーンの鍛え抜かれた肉体や(役作りによって異なりますが)精悍な髭などが鮮明に思い出されます。 上記俳優に代表されるように、従来は色白の肌とストレートの黒い髪、男性であれ

大きな成長ポテンシャルを取り込む!「アジアの大国インドの近年の動向」

コロナで一時期経済成長が沈んだインドですが、昨年から再びインドへの注目が集まっています。IMFの予測ではインドは2023年に世界で最も高い成長が期待される国の1つであり(図1)、直近の分析では2023年の世界経済成長率予測(2.8%)の半分を中国とインドが占める(内訳はそれぞれ34.9%、15.4%)予測で、勢いがあります。本レポートでは、今後海外戦略を検討するうえで無視することのできないアジアの大国インドについて、その成長のベースとなるマクロ環境と、日系企業および現地スター

VUCA時代に必要な中長期戦略!「シナリオプラニングの勧め」

2022年は「米中対立の激化」、「ロシアのウクライナ侵攻」、「リセッション(景気後退)の可能性」など波乱の1年となりました。今年に入ってからは、シリコンバレーバンク(SVB)の破綻やクレディスイス(CS)の経営問題に代表される金融不安など、昨年時点では予期していなかった出来事をきっかけとした世界的な景気後退への懸念が広がっています。 VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言

2022年 東南アジアスタートアップの振り返り

コロナが収束/withコロナとして定着し、通常の経済活動が再開された一方、米中対立、ロシア-ウクライナ紛争長期化、リセッション、世界的なドル高が進む波乱な1年となった中、東南アジアのスタートアップ事情にどのような変化が起きたのか、テックジャイアントの動向と4つのスタートアップの事例をご紹介します。 テックジャイアントの動向コロナ禍において活発な動きを見せていた「東南アジアのユニコーン企業の新たな動きと再編の可能性」東南アジアのデジタルジャイアントはどうなったのでしょうか。

ASEAN市場はどう変わったか? 「コロナがもたらしたヘルスケア業界の今」

 再び日本、アジアで新型コロナが猛威を振るっています。私が住んでいるシンガポールは、人口約545万人(2021年9月)ですが、1日に1万人を超える新規感染者が出ています。一方で、外食制限やイベント規制などはなく、ASEAN諸国を始め、海外への移動もほぼ自由に出来るようになりました。Withコロナ時代に突入したASEANですが、ヘルスケア業界では新型コロナによりいくつもの観点で大きく時計の針を進めることになりました。  今回は新型コロナによってもたらされたヘルスケア業界の変化

シンガポールで食糧自給は進むのか?(下) 「近年の食料自給に向けた先進的な取り組み」

 前回はシンガポールの経済発展の歴史を振り返りつつ、どのようにシンガポールが課題に向き合い、発展してきたかを考察しました。今回はいまだ解決に至らない課題である食糧自給率を上げるための政府方針である「30by30」(2030年までに(特定の食料の)食料自給率を30%にする)について、具体的な政府取り組みと消費者意識の両視点でみていきたいと思います。 食料自給率の改善は可能なのか? 人、水、エネルギーについては、当初は諸外国の助けを借りつつも、近年は自立に向け外国への依存度を徐

シンガポールで食糧自給は進むのか?(上) 「経済発展の振り返り」

 シンガポールは、人口545万人(2021年6月)で、東京23区より少し大きい国土(724平方キロメートル、2018年)を保有する都市国家です。1人当たりGDPは7.2万ドルで、日本の3.9万ドルを大きく超え、経済的に発展しています(2021年IMF推計)。その理由について断片的にご存じの方も多いかと思いますが、今回は簡単にシンガポールの経済発展の歴史を振り返りつつ、近年の政府方針の1つである「30by30」(2030年までに食料自給率を高める取り組み)について、具体的な政府

スマートシティ先進国シンガポールの最新取り組み

去年11月、世界のスマートシティのランキングの一つであるIMD Smart City Indexにおいて、シンガポールが3年連続で1位の座を獲得しました。シンガポールは他にもEden Strategy InstituteのSmart City Government Rankingで1位、2thinknowのInnovation Cities Indexで5位と、都市別スマートシティおよびイノベーション関連のランキングにおいて必ず上位に現れます。 私自身、今年でシンガポール在

中国ビジネスにおいて、「従業員が提供するサービス品質」を高い水準で維持しつづけることは可能なのか?

 中国に住んでいる(いた)方や、中国とのビジネスを経験する中で何度か訪問した方なら、体感的にご理解いただけるかもしれませんが、このお題、中国でビジネスをする上で、終わることのない(≒日々ご苦労される、悩まされる、改善を続けていくしかない)重要なテーマです。私も2002年から、事ある度に考えてきました。  残念ながら、結論、答えには辿り着いておりません。そもそも、時代や経営環境、競争戦略上、常に正しい答えはないという前提かもしれません。そのような中で、少しでも答えに近づける、