見出し画像

都市の日常と観光客のごった煮


今日と明日で旅の動ける日程も終わるので、計画も下調べもしていなかった観光をがんばることにした。

リスボンの街をガタンゴトンと坂道を登り降りする、レトロでかわいい1両列車のトラムを待ちながらこれを書いている。
観光客でいっぱいなのに、1両列車は20-30人でぎゅうぎゅう。始発駅には長蛇の列。

これはリスボンではお決まりなのかもしれないが、私はさっきまで有名なトラムの路線すら知らなかった。
せっかくだから、という理由で列に混じった。

スマホ見ながら待ってる人よりも今か今かとずっとトラムが来ないかと周りの状況を伺ってる人の多さにびっくり。笑
みんな空港でスターの出待ちかというぐらい、いまかいまかと。この雰囲気にびっくりして、行列の中にいながらも客観的に見てしまう。

そして、アホらしい!とも思ってしまう。
古めかしいトラムに乗るために30-40分待つなんて、と。


ひとり旅の苦悩といえばこういうことだ。

ひとりでどこへでも好きなようにいけるし、よく見て、よく感慨にふけ、考えることができる。

でも、ながーい待ち時間とか、人が多いところはだめだ。なんだか急にアホらしくなって冷めた自分がでてくる。
ディズニーランドに1人で来ている気持ちになる。


そうして着々と暮れていくリスボンの今日。

やっとトラムが来た!!思ったら回送列車になって過ぎ去り、行列のみんなは「?!」という具合。
9割以上が欧米人なのでリアクションもすごい。「ノォーーー」と。
わかる。なんで行っちゃうの、こんなに待ってるのに!!

他の駅や他の路線バスのバス停にはモニターに「あと何分で次くるよ」と表示されているのに、レトロな観光客向けアトラクショントラムにはそれがない。
この雰囲気を味わわせるためか?!と思う。

なんて馬鹿げたことを考えたり、あーもう嫌!と思ったりしながら辛抱強く待ってやってきたトラム。

乗ってみたら意外と速くて、窓が空いていてちょっと怖い。そしてほんとに道のスレスレを走るからクレイジー。

いつか何かのきっかけで走らなくなっちゃうかもなぁ、と思いながら、その時にできるであろう「リスボントラム博物館」を想像する。古い車両がたくさん置かれてて、そのなかで記念撮影する人たちを想像する。ひとりでに笑う。

欧米ではこの夏に観光産業が復活した感じだ。
都市の中で時が止まっていた「お土産屋さん」とか「tourist information」とか観光客相手のガラクタ売りの屋台とか。。。。
実際どこまで2018.2019の世界線に戻ったかはわからないけど、観光地はしっかり人が多い。

コロナで一時失われた景色が、リセットされてまた戻ってきた。

観光客でごった返す浅草の仲見世通りを思い出す。
暑い暑い京都の夏の狭い歩道をぎっしり埋め尽くす人々を思い出す。セルフィースタジオと化した渋谷駅前スクランブル交差点を思い出す。

ああ、みんなまた日本をめがけてやってくるのかなぁ。
人が増えるのは生活する身からしたら、ちょっとなぁ。。。なんて
リスボンで観光客をやりながら、自分勝手に思うのであった。

観光疲れの散文失礼しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?