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【進撃の巨人】クライマックス直前の今、ジャンについて語る

※最新刊の32巻まで読んだ人が書いている内容です
※アニメ派の人はネタバレも含まれる可能性がありますのでご注意を


進撃の巨人。
約10年前に連載を開始し、アニメ化とともに爆発的なヒットとなった。特に漫画に詳しくない人も進撃の巨人というワードを一度は耳にしたことがあるだろう。
「なんか巨人と戦うあれでしょ~?駆逐してやる!みたいな。でもエレンも巨人なんだっけ?」くらいの知識はあるだろう。この一言だけでも巨人を駆逐したいエレンが巨人という何とも矛盾した内容である。

だが、そこが面白い。そして今は、そんな一言じゃ済まない程に展開が壮大でとんでもなく面白い。内容を話し出したらnoteではまとめきれないので省略する。
あくまでも『進撃!ばっちり追ってるよ!!!』って人向けの内容になる。「読んでたけど、話が複雑でいまいち理解してない…」って人や、「ちゃんと内容を覚えていないな~」って人は、オリラジのあっちゃんのまとめ動画見てみて!すごいわかりやすいし面白いから!
簡単に内容を振り返るにも、進撃がどんな話か気になる人にもオススメです。


そして今回、クライマックス目前の進撃の巨人、32巻を読み終えた勢いで『ジャン・キルシュタイン』について話していく。

進撃の巨人と言えば、話や展開はもちろん面白い。天才が描くストーリーは32巻までだれることなく私たちを惹きつける。
そのストーリーで活躍するキャラクター達もとっても魅力的だ。

エレン……物語の主人公。進撃の巨人の力を持つ。過激派な思考を持つ。
父親があれでこうで、もう色々と設定てんこ盛り。
ミカサ……めちゃ強い戦う女性。エレンに命を助けられて以来、エレンが好き。
アルミン……エレンの幼馴染。弱い子供時代だったが、めちゃ頭良い。度胸もすごい。超大型巨人の力を手に入れる。
リヴァイ……人類最強。男らしくてとにかく格好良い。潔癖だが、仲間や部下を思いやる気持ちも持つ。過去も壮絶。言わずと知れた人気キャラ。
ヒストリア……王の血筋を持つ。王の妾の子。今や女王。
ライナー……104期生のエレン達の同期。だが実はマーレからやってきた言わば敵。鎧の巨人。人格が分裂してしまうほどの鬱展開要員。
ジーク……獣の巨人。エレンとは腹違いの兄弟。王の血筋を持つ。

少し主要人物をあげただけでも、ここまでキャラが濃い。
他にも調査兵団団長のエルヴィンは、物語に『この国以外にも人類がいるのでは』と示すシーンもあった(そして死に際が感動ものだ)、巨人を愛し研究し、団長を引き継ぐハンジベルトルトアニ、サシャ、コニーなどなど……他にも魅力的なキャラやストーリーのカギを与えてくれるキャラは数多く存在する。


その中で私が最も推しているキャラが『ジャン・キルシュタイン』である。

だが上記の様に簡潔に表現するとなると、
『104期生のエレンの同期。エレンとは犬猿の仲。場の状況判断が得意』

くらいの特徴である。うーん…これだけ濃いキャラが揃っていると、少し地味にも感じるかもしれない。実際空気だった回もまあ、あるっちゃある。
それでも最初から今までメインキャラを貫いている。

メインキャラなのに何が面白いって、この壮大な話の展開のきっかけや出来事に、ジャンは関わっていないのだ。

巨人の力があるわけでもなければ、リヴァイやミカサのように特別強いわけでもない。
状況判断に長けているものの、アルミン程頭が良いわけでもない。
少し裕福な家で育ったお坊ちゃんで、クリスタの様な特別な血筋もない。

かと言って、主人公のエレンにミカサやアルミンのように強い思い入れがあるわけでもない。
外の世界にアルミン程興味を持っているわけでもない。

言わば、普通の人なのだ。

進撃を読んでいる人に、ジャンが好きだと言ったら「ジャンって物語にあまり関係あるキャラってわけでもなくない?」「なんで好きなの?」って言われたこともある。

ただの普通の人。しかしメインキャラ。
だかしかし、進撃の巨人のこの物語にはこの普通の人こそが大事なのである。


進撃の登場人物達と比較する

進撃の登場人物たちは、言ってしまえば普通ではない。
普通ではないとは、現代社会に生きる私達の感性の基準から見て、である。

「人類滅亡って……エレンやりすぎでしょ……」
「ミカサそこまでエレンのためにやる!?」
「アルミンどこまで体張るの!?てか頭良すぎ!」
「エルヴィンはそんなに歴史が気になる???」

みたいな。
物語としてはそりゃとても面白い。だがしかし、ここに読者は感情移入できないだろう。そもそもこの物語は、感情移入することが目的ではない。
しかしここに普通のジャンが居てくれることによって、読者目線に近づいてくれる。言わば一番現代社会に生きる私達から見て一番人間味のあるキャラなのだ。

巨人を殺すことをためらうことがなかったジャンが、初めて人間を殺す時、ためらったシーンがある。
そりゃそうだ。恨みも何もない人間を殺すことなんて、誰だってためらう。結果的にジャンは殺せず、アルミンがかばって殺してくれた。ここにジャンの人間味と弱さが見える。こういうシーンに私たちは、進撃の巨人というファンタジーの物語を読みながらも、グッと惹きつけられるのだ。
(そのあと盛大にアルミンが吐いていた。そこに人間味を感じるというよりは、判断力が長けているジャンより先に判断し人間を殺すことができるアルミンの、勇敢さが出ているシーンだと考えている。)

こういった人間味がジャンの良いところである。
またジャンの人間味のおかげで、比較できることによって、他のメインキャラのキャラクター性がより際立ち魅力的に見えるのだ。


戦い続ける理由

何かをするとき、成し遂げるためにみんな理由を持つものだ。

例えば、エレンは自由のため(そして104期のみんなを守るため)
ミカサはエレンのため

英雄になりたい。崇めている人のため、などなど。


そしてジャンが戦い続ける理由。
それは今は亡き親友・マルコが一番の理由だろう。
マルコのため、とかではなく……もはや呪いでしょうね。

最初のころ、ジャンはマルコにこんなことを言われている。

「怒らずに聞いてほしいんだけど、ジャンは…強い人ではないから 弱い人の気持ちがよく理解できる。それでいて現状を正しく認識することに長けているから、今、何をすべきかが明確にわかるだろ?」

この何をすべきか、という言葉に突き動かされているのだと思う。

最初は憲兵団に入りたかったジャン。
エレンが人類滅ぼす時も、このまま放っておけば、幸せな未来が待っているだろうとわかっているジャン。

でも結局調査兵団に入り、今はエレンを止めに向かっている。

甘い蜜をすするのではなく…何をすべきか考え、結局すべきことはいつも大変な道だとわかって、最初は迷いながらも進むジャンは、やはり人間味がある。

決して強い人間ではないのに、立ち向かっていく姿が何とも心に来る。
ちなみに私はこのマルコの発言が飛び出してきたときくらいにはもうジャンを推すようになっていた。


マルコの死とライナーの関係

読者にとってはもうかなり過去のエピソードではあるが、マルコの死因に直結する内容が、ついに32巻でジャンに明らかになりましたね!!!

親友を直接手を下したとも言わず、死んだ要因となった人が目の前にいる状況。しかし敵味方関係なく、険悪な雰囲気の中もみんなでシチューと食べ、どうにかエレンを止めようと一致団結したい場面。

ライナーが言っちゃうわけよ。マルコのことをね。

それでも最初はジャンは耐える。本当は怒りと辛さで苦しいはずよ。ずっと忘れられない。でも思い出したくはないことなのに。
ただジャンは、今この一致団結しなければいけない場で、場をかき乱す行為をすることはいけないとちゃんと大人な判断をしたんだろうね。

耐えるためにライナーにその話はやめてくれと言うのに、ごめん、とひたすら謝り続けるライナー。結果、耐えきれずライナーをぼこぼこに殴るジャン。

ここの耐えきれなかった場面はもちろんマルコに関する怒りもある。
しかし、ライナーは自分が謝ることで、罪悪感を薄れさせようとしていることも見てとれる。いわば、マルコのことに関する本当の謝罪の気持ちと、自分が罪を手放し、楽になりたいという気持ちだ。

ジャンはそんなライナーから見えた、罪悪感を薄れさせたいって行為にも耐えきれなくなったのではと見ていて思う。
一つの感情じゃなく、ぐるぐる悩んで耐えきれなくて手を出してしまうところも、やはりジャンらしい。人間味がある。

またその殴ったとその場を離れるジャン。
あの顔は、ライナーを殴ったことへの罪悪感も見て取れる……。

親友を殺した相手だと憎み、恨んでしまえばいっそのこと楽になれるのに。
まだ、ライナーを『104期生の同期』としても見てしまうところも、伝わってくる。

怒りも憎しみもスパッと割り切れず、感情が複雑に絡みあうところは、まさに人間そのもの.


まとめ

話そうと思えばいくらでもあるが、端折って語ってみました。
リアルではないファンタジー。展開だけ追っていっても、進撃はかなり面白い漫画であることは間違いない。

しかしこうしてジャンのような人間味のあるキャラがいるからこそ、世界観がぐっと深まるのも事実。また、読者の心もストーリーに近づけることができる。

みんなそんな存在のジャンを、「展開に関係なくない?」とか言わず、どうか大事にしてあげて。

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