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場所情報共有アプリ「きっかけマップ」の個人開発を2年間やってみて分かった、サービス開発の大変さ

こんにちは、みながわです。

今回は「#挑戦してよかった」というテーマで、私の個人開発について、詳しくお話ししたいと思います。

これは成功物語ではありません。むしろ、挑戦し続けることの意味、そして諦めないことの価値について、私の経験を通して皆さんと共有します。

異色のバックグラウンド:ゲストハウス経営からITへの大転換

私のキャリアは、多くのIT開発者とは異なる道を歩んできました。大学では応用化学科を専攻し、分子の世界に没頭していました。

卒業後は工場で機器の施工やメンテナンスをするエンジニアになったのです。

しかし、もともと海外に興味があったため仕事を辞め、ロンドンの語学学校に1年通いました。その後、長崎でゲストハウスや民泊運営の経営を始めることとなります。

ゲストハウスの運営は、ゲストとオーナーという壁を超えて、人と人とのつながりを感じられる良い仕事でした。

また、その頃の私にとって、プログラミングは未知の領域でした。数学や物理の勉強が苦手で、プログラミングには向いていないとも思っていました。

現在、私は福岡市とキルギスの首都ビシュケクを行き来する、少し変わった生活を送っています。

妻がキルギス出身で、2人の子供と共に、年の半分はそれぞれの地で過ごしています。この国際的な生活が、後の私の挑戦に大きな影響を与えることになるとは、当時は想像もしていませんでした。

海外での模索:試行錯誤の日々

キルギスを拠点にし始めた頃、「海外でも出来る仕事は何か?」という問いに直面しました。最初に試みたのはWEBライティングでした。しかし、競争が激しく、安定した収入を得るのは難しかったです。

次に、キルギスの魅力を伝えるオンラインサロンを立ち上げようと試みました。しかし、ニッチすぎるテーマだったせいか、参加者を集めるのに苦労しました。

それから、YouTubeチャンネルも始めてみました。キルギスの日常や文化を紹介する動画を投稿しましたが、再生数は伸びず、広告収入はほとんどありませんでした。

これらの経験を通じて、私は大きな壁にぶつかりました。「自分には何が出来るのか?」「本当にやりたいことは何なのか?」という根本的な問いに向き合うことになります。

プログラミングへの挑戦:ゼロからのスタート

そんな中、ふと思いついたのが「自分でアプリを開発したい!」という願望でした。ゲストハウス経営時代に、AirbnbやBooking.comという新しいウェブサービスで経営が助けられていた経験が、この思いの原点にあります。

しかし、プログラミングの経験がゼロの私にとって、それは途方もない挑戦に思えました。

それでも、この思いを実現するため、30歳という年齢から福岡のITの職業訓練校に通い始めることを決意したのです。

多くの人が「遅すぎるのでは?」と疑問を投げかける中、私は自分の決断を信じました。4ヶ月間、JavaやWEBアプリケーション開発を学び、ゲストハウスから一転、プログラミングの世界に飛び込んだのです。

最初の頃は、本当に苦労しましたし、他のクラスメートに比べて全くプログラミングの問題を解くこともできずに歯痒い思いをしました。エラーメッセージの意味が分からず、シンタックスエラーで何時間も悩んだこともあります。


プログラミングは苦手でしたが、ウェブサービスを作りたいという思いは強かったので、YouTubeや本を見て自作の小さなアプリ、ポートフォリオを作ったりしました。

しかし、就職活動の際には年齢という新たな壁にぶつかりました。ある採用担当者からは「開発の業務は基本的に20代の人しか採用しないよ、厳しいよ」と言われたこともあります。それでも私は諦めませんでした。

年齢は単なる数字に過ぎず、熱意と学ぶ姿勢こそが重要だと信じていたからです。

この努力と信念が実を結び、東京のITスタートアップ企業に就職するチャンスを掴みました。最初の3ヶ月は契約社員で不安と闘っていましたが、念願の正社員になることができたのです。

主にReactやTypeScriptを使用したWebアプリケーション開発のフロントエンドを担当し、3年と半年間フルリモートで、現在も働いています。

個人開発の始まり:夢の実現と現実の壁

会社での経験を積みながら、ついに念願の自分のアプリ「singleones」の開発に着手しました。これは少人数向けイベントアプリで、私自身のリモートワークでの孤独な経験から生まれたアイデアでした。

開発過程は楽しくもあり、苦しくもありました。仕事の後や休日を使って、コードを書き続けました。バグと格闘し、UIデザインに悩み、機能の追加と削除を繰り返しました。そして半年後、ついにアプリを完成させ、App StoreとGoogle Playで公開したのです。

しかし、アプリを公開してからの現実は厳しいものでした。ダウンロード数はわずか20程度。「これで人々の役に立てる」と信じていたアプリが、ほとんど誰にも使われていない現実に直面しました。

マーケティングの難しさを痛感しました。SNSでの宣伝、ブログ記事の執筆、知人への口コミなど、様々な方法を試しましたが、なかなか効果が出ません。「作れば人が来る」という甘い考えが、もろくも崩れ去った瞬間でした。

新たな発見と方向転換:場所の力を再認識

落胆していた私に、新たな気づきをもたらしたのが、ポッドキャストのチャンネルで有名なコテンラジオでお馴染みの「いいかねPalette」という施設との出会いでした。これは廃校を活用した複合施設で、様々な人々が集い、交流する場所です。

ここで私は、場所や空間が持つ力、人々をつなぐ力を目の当たりにしました。同じ空間を共有するだけで、見ず知らずの人々が自然と会話を始め、新しいつながりが生まれていく。

その光景は、私に大きなインスピレーションを与えました。

この経験から、「場所を軸にして人が集まる」という新しい発想が生まれました。そして、Zenly(ゼンリー)の後を継ぐ新しい位置情報SNSアプリ「きっかけマップ」の開発を決意したのです。

きっかけマップ:場所でつながる新しいSNS

「きっかけマップ」は単なる位置情報共有アプリではありません。日常生活の中で「場所」がどれだけ大切かを皆さんに再認識してもらい、人と人とのつながり方を今までとは全く違うものに変えていく可能性を秘めたプラットフォームです。

主な特徴は以下の通りです:

  1. 場所を軸にした交流: カフェやコワーキングスペースなどで、今そこにいる人たちが分かるので、自然に新しい出会いが生まれます。

  2. プライバシー重視: 常時GPSで位置を追跡せず、ユーザーが自ら投稿したい時にだけ場所をチェックインできます。

  3. ミュート・ブロック機能: 苦手な人とは距離を置け、自分のチェックインや投稿を特定の人に非表示にできます。

  4. 安全性重視: ユーザー認証システムや不適切な行動を報告・ブロックできる機能を導入しています。

  5. インタラクティブな機能: プロフィール閲覧、コメント機能などを用意しています。

  6. カスタマイズ可能なプロフィール: 自分の経験、悩み事、興味、趣味などを登録できます。

  7. 足あと機能(アクティビティ履歴): 最近チェックインした20箇所と最新投稿50件を自動で保存します。

「自分中心」から「場所中心」へ:SNSの新たなパラダイム

私たちは、従来のSNSの多くが「自分の周りに人よ集まれ」というコンセプトで設計されていることに気づきました。そこで「きっかけマップ」では、「場所を軸にして人が集まる」という新しいアプローチを採用しました。

この発想の転換により、人と人との関係性がより自然に、そして多様に構築されることを目指しています。

継続する苦戦:マーケティングの壁とアプリのコンテンツ

それから、新しいアプリ「きっかけマップ」を作り上げるのに、さらに半年を費やしました。技術的な課題、UI/UXの設計、プライバシーへの配慮など、多くの問題と向き合いながら、少しずつアプリを形にしていったのです。

しかし、新しいアプリを公開しても、再びマーケティングの壁にぶつかりました。X広告、Google広告、Apple Ads広告など、様々な方法を試しましたが、なかなか結果が出ません。広告費用はかさむ一方で、ユーザー獲得には至っておりません。

さらに、アプリのコンテンツ自体についても不安が募ってきました。「このコンテンツで本当にいいのだろうか?」「XやInstagram、その他の出会い系アプリと十分に差別化できているのか?」という疑問が常に頭をよぎりました。

ユーザーに真の価値を提供できているのか、独自性を打ち出せているのか、自問自答の日々が続いています。

これらは今まさに直面している問題で、2年以上にわたる個人開発の旅路で、まだヒット作は生まれていません。

「このまま続けていいのだろうか」「もう諦めるべきなのか」と、何度も自問自答しています。時には、自分の能力や判断力を疑うこともあります。

正直、個人開発に使った時間を副業などに費やしていれば、それなりの収入とスキルがついたに違いありませんし、そこで後悔する部分もあります。

この時間と労力が本当に価値あるものなのか、疑問に感じることも少なくありません。

挑戦し続ける理由:信念と希望

こうした不安や困難、そして後悔の念にもかかわらず、私はこの開発を続けています。なぜなら、これが私の希望であり、本当にやりたかったことだからです。

毎日24時間、どうすればより良いアプリになるか、人々の人生をより良くするキッカケになれるか、そして他のサービスとどう差別化できるかを考え続けています。

時には、深夜まで開発を続けることもあります。バグの修正、新機能の追加、そして何よりもアプリの独自性を高めるための新しいアイデアの模索など、眠る時間を削ってでも、アプリを少しでも良くしようと努力しています。

うまくいかなくてやる気がなくなったり、孤独を感じたりすることも多々あります。特に、ユーザー数が伸びないと、自信を失いそうになります。しかし、どこかで同じように奮闘している人がいるはずだ、という思いが私を支えています。

最後に:挑戦の価値と現実

挑戦は、ただ楽しいだけのプロセスではありません。孤独だし、人と分かち合えるものでもありません。しかし、その孤独な旅路の中で、自分自身と向き合い、成長し、そして時には思いがけない出会いや発見があります。

挑戦していると、時に周囲の理解を得られず、「なぜそこまでするの?」と問われることもあるでしょう。自信を失い、「このまま続けていいのだろうか」と何度も自問自答する日々が続くかもしれません。

しかし、そんな中でも諦めないでください。たとえ目に見える成果がすぐに現れなくても、その経験自体があなたを形作っているのです。そして、同じように奮闘している仲間が必ずどこかにいることを忘れないでください。

挑戦の真の価値は、必ずしも最終的な成果だけにあるのではありません。その過程で得られる自己理解、予期せぬ発見、そして人間としての成長にこそ、かけがえのない価値があると信じています。

あなたの挑戦が、いつか誰かの人生をより豊かにするきっかけになりますように。

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