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スタートアップ法務のススメ

この記事は、M&Aクラウド アドベントカレンダー2022の23日目の記事です。

はじめに

はじめまして、株式会社M&Aクラウドの法務コンプライアンス部で法務を担当する富岡です。アドベントカレンダー企画は、初参加となります。

今回のテーマは「今年の振り返り」。
振り返り、私の苦手な言葉です。(『シン・ウルトラマン』より)
昔から一日を振り返って日記を書くのが苦手で、続いた試しがありません。早くも先行き不安な自分を励ましつつ、2022年を振り返り、ついでに自分なりのスタートアップの法務の役割について僭越ながら記したいと思います。

商社からの転職

2022年最大のイベントは、M&Aクラウドへの転職でした。
私は、もともと中小企業の一人法務を行っていて、そこから商社の複数人体制の法務部に転職しました。
商社で勤めた後、2022年3月に一念発起、株式会社M&Aクラウドに転職した形です。法務歴としては5年目。

中小企業も上場企業の法務も経験し、自分の中で法務の業務内容が定型化していくにつれ、「もっと法務は面白くできるのではないか?」「法務のポテンシャルはこんなものではないのでは?」という気持ちが生まれ、まだ見ぬスタートアップの法務もやってみようと、M&Aクラウドに飛び込みました。

企業法務悩みのタネ

ここでちょっと私が抱いていた(そしておそらく多くの若手法務が抱くかもしれない)悩みについて触れさせてください。

上場企業の法務というのは、ある程度業務内容が定型化されています。
契約書の審査をメインとした取締役会や総会のサポート、登記対応等、ある程度の定型的な内容に加え、時折発生するインシデントへの対応。
事業部から必要に応じて依頼を受け、協同して案件を解決する…といった内容が、主に法務としてイメージされるものではないでしょうか。

企業規模が大きくなるほど業務内容は細分化され、組織的にも他事業部と法務とのすみわけが明確化していきます。
こうしたすみ分けは、業務の効率化という観点からは有意義ですが、現場に触れられないせいで、法務が明後日の方向のコメントをしてしまう悲劇の要因ともなっています。
かといって、事業部のイエスマンをやっているだけでは、法務としている意義がありません。

では、どういう法務を目指すべきなのか。M&Aクラウドに入って、一つの解を見つけた気がしました。
閑話休題。

M&Aクラウドでの法務

部署間の垣根の低さ

入ってみて、一番驚いたのは部署間の垣根の低さです。
スタートアップというのは、大手企業のような部署ごとのすみわけが組織的にも分掌的にも明確に区切られていません。

もちろん、大枠はあるものの、組織として成熟しきっていないおかげで、かえって事業部と法務の距離が非常に近く、いい意味で高校のクラスルームとよく似ています。
「ちょっと分からないから教えて欲しいんだけど…」「そういえば昨日あの記事を見たけど…」と、席の近くで雑談が始まり、そこから仕事の会話が自然と始まります。

そのおかげで、法務としても雑談ベースで話の背景を聞きやすく、非常にありがたい環境です。
法務に持ち込まれた質問は、どうしても質問者の主観で編集された内容になっていることが多い(私はこれを「お化粧された質問」とひそかに呼んでいます。)ので、その裏の生データたる事実を確認する必要があるのですが、このヒアリングが非常にやりやすい(当社比)。

さすがはスタートアップ、と感心していましたが、仕事を続けていくうちに「どうもこのやりやすさはスタートアップの傾向というわけではなく、M&Aクラウドという企業特有のカルチャーによるものではないか?」と感じました。

M&Aクラウドというカルチャー

M&Aクラウドには、「2nd Priority(セカンドプライオリティ)」というバリューがあります。

"2nd Priority" 顧客第一になろう。
それ以外の都合は2番目に置いておいて、まずはなによりユーザーを大事にすること。ユーザーが求めることに素直に応えること。
長期の視点ではユーザーにもっとも価値を提供できる会社が、必ず流通革命を起こす。自分たちの作ったサービスで、ユーザーが喜ぶ瞬間は最高の時間だ。
とにかく迷ったら自分達のことより、ユーザーのことを考えよう。


M&Aクラウドのメンバーには、この価値観が徹底してあるように思います。
顧客によりよいサービスを提供するためには、場当たり的な対処療法ではなく、根本的な解決を目指すというスタンスをよしとする。
こうした意識がメンバーひとりずつに根差していて、問題解決のためなら組織的な部分からテコ入れして、根っこから良くしていこうという泥臭い姿勢が、この会社のカルチャーではないかと思います。

だからこそ、ヒアリング一つとっても、目先の利益のために変に隠したり、事実関係を脚色せず、きちんと伝達してくれます。
(何を低レベルな…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大手企業でも法務に怒られたり、客先とのやり取りが増えることが面倒で、すべてを語らないという事業部の方は意外にいます。)

スタートアップと聞くと、イケイケなイメージが強いですが、むしろこうした皆で土づくりから始めよう、といった農作業的なカルチャーがM&Aクラウドの魅力の一つではないかと思います。

余談ですが、当社代表の前川は、ホクレンという農協の連合会に勤めていました。当社と農業は実は近い関係にあるのです。


M&Aクラウド法務として求められているもの

こうした中で、法務として活動してきて半年とちょっとが過ぎました。
改めて、M&Aクラウドの法務として求められているものを考えたとき、以下の点に集約されるのではないかと考えています。

①将来の組織のあり方を見据えたサステナブルな提案・組織づくり
②三方よしの「説得力」ある仕事

「また流行りに乗ってサステナブルとか言って…」という声が聞こえてきそう。IT業界の片隅に身を置く者として、ちょっとくらい流行語も使わないといけないですからね。

スタートアップのような組織が成長途中の企業では、今後10年、20年先を意識して収益構造や組織体制を検討するわけで、その点は法務も同様です。

規約・契約書の文言一つ作成・修正するにしても、その文言で、将来の起こり得るリスクを低減できているか?逆に新たな問題を発生するおそれがないか?表現において、将来の事情変動にある程度対応できる余白が取れてるか?同様の問題は今後発生しえないか?将来の同様のリスクを防ぐために組織として、全社的に対応しておくべきものはないか?と検討を重ねる。

ミクロとマクロの視点を常に行き来して、組織の将来像をイメージしながら仕事をすることで、長期的に見て組織に有意義な提言ができるのではないか…と思っています。
この辺りは、M&Aクラウドだけでなく、スタートアップ全般に共通して言えることかもしれません。

それと同時に、法務も顧客を意識する必要があります。法務にとっての顧客は、社外のお客様と社内の事業部担当者です。

「法務とは、事業部担当者のよき伴走者たるべし。」とかつての上司が言っていましたが、その通りだと思います。
法務が一人でメガホンを振り回しても、現場に立つのは事業部担当者。彼ら無くして法務の仕事は成り立ちません。

だからこそ、社内の事業部担当者にとって、その説明が納得感あるものなのか、伝わりやすい表現を取れているか、という視点を常に持つように努めています。
社外のお客様・社内の事業部担当者・そして組織という”三方よし”を常に目指すことが、M&Aクラウドの法務としてあるべき姿ではないかと思います。

さいごに

と、いう形で本当におおざっぱにM&Aクラウドと法務のお話しを簡単に振り返ってみました。色々と書いたものの、まとめると「やっぱりM&Aクラウドに転職してよかったなあ」の一言に尽きます。

いいメンバーに、面白い仕事。
日々掌に豆を作って土を耕すように会社と真摯に向き合うメンバーを見ていると、彼らの役に少しでも立てるような法務でありたいと、ひしひしと感じます。こうした会社で法務をできることは、私にとって2022年最上の収穫でした。

今年蒔いた種は、来年・再来年で花が咲き、実がなります。
M&Aクラウドは、更に成長を続けます。この先、更に成長したM&Aクラウドで、お会いできるのを楽しみにしています。

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