▪︎青木真也、バクチに勝つ

▪︎青木真也、バクチに勝つ

——確かに。
青木 立嶋篤史と前田憲作みたいなギスギスしたマニアックさみたいなのも出ていて面白かったですよね。というか、あの頃の田村は扱いずらさ抜群でしたよね。
——田村は桜庭、船木と並んで業界歴も長いんだから、もう少し面倒臭いことを言わずに、先頭に立って『DREAM』を引っ張って行ってほしかったけどね。
青木 いやあ、あの面倒くささが最高でしたよ、田村は。
——そういう見方をしてくれる人はなかなかいませんよ(苦笑)。もしバカサバイバーがそれと似たものを持っていたら、近しい人は大変しょうけどね。
青木 だからその頃は、僕と『DREAM』というか加藤さんの間に入ってくれた、『DEEP』の佐伯茂さんとか公武道の長谷川さんが、かなり嫌な思いをしたんじゃないですか?
——どういうことですか?
青木 いや、青木と加藤さんのバクチは青木が勝ったんです。
——ええ。
青木 だから青木が勝ったからには青木を押さえるしかないけど、その青木が嫌だと思っているわけだから、そこをどう調整するか。
——なるほど。
青木 実際、翌日、翌々日にも「とにかく5月11日に試合をしてくれ」っていう話が『DREAM』側からはあるんですよ。
——以前、話を聞かせてもらった時は、2日後か3日後に加藤さんが、青木真也がいた『DEEP』の道場に来て、また「やれ」「やらない」「やれ」「やらない」「やれ」「やらない」……が続いたっていう。
青木 そうです(笑)。
——とても21世紀とは思えないやりとりが(笑)。
青木 とにかく僕はやりたくないって突っぱねて。「じゃあ欠場でいいんだな」みたいに言われたけど、「できないものはできないし。出ない!」って言い張っていたんですよ。
——ええ。
青木 そしたら、間に入ってくれた佐伯さんが、「『DREAM4』(6月15日、横浜アリーナ)だったらできるよな」ってスライド案をまとめてくれて。だからそこは佐伯茂に感謝していますよ。間に入ってくれて。
——なんとかそこに落ち着いたと。
青木 ええ。その時に加藤さんは、僕に折れた感を出したくないから、「お前が欠場しても、今からだと代替の選手もいないから欠場させてやるか」みたいな感じでしたね。
——加藤さんも、周りの手前、そういう感じでいないと、「なんで青木だけ特別扱いにするんだ」って突っ込まれるのが面倒だったのかもしれない。
青木 (無視して)だけど僕にとってあのカルバン戦は、結果的には出世試合になったし。
——ええ。
青木 バクチを打って、今は良かったとようやく思えて来ましたね。
——今になってようやくね(笑)。
青木 ええ。あの時はホントにやりたくなくて、やらざるを得なかったバクチでしたけど、あのバクチを打っていなかったら、今の僕はないですからね(キッパリ)。

ここから先は

2,138字

¥ 200

サポートありがとうございます。選手活動、表現活動の活動費用に当てさせていただきます。更なる良いもの、面白いものを創作する原資に大事に大事に感謝を込めて使わせて頂きます。