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須藤後藤戦を見て学ぶこと 学びが尽きない

先日の修斗後楽園大会で練習で関わらせていただいている後藤丈治選手と須藤拓真選手とのバンタム級戦。試合結果は2Rに須藤選手のヒールフックで須藤選手の一本勝ち。

後藤選手の週一度の技術練習を見させてもらっているので、僕の力及ばずで勝ちに繋がらなかった申し訳なさとケガを負わせてしまった申し訳なさを感じております。後藤選手のケガからの早期の回復と復帰時に組み技の練習が必要であればご一緒させていただけたらと思います。

須藤選手の足関節の攻防を見て僕も学ぶことがありました。
今はMMAがMMAとして存在するようになって、10年以上前の異種格闘技戦感がなくなっています。MMAはMMAとして、MMAの中での勝ち方が確立されています。加点のポイントを心得て、相手に加点を与えず加点をする合理的な闘い方が主流になります。ルールがファイトスタイルを決める要素は多分にあるので、どうしても似通ったファイトスタイルになるのは格闘技に限った話ではなく、他競技でも商売でもどこにでもある話だと思います。

MMAの闘い方が確立されて打撃、組技の中で誤解を恐れずに言えば「平均点」をおさえておくような取り組みになればなるほど、各技術単品での掘り下げに手が回らなくなってくるところがあって、MMAがMMAとして確立されたからこそ、一周回って一点突破していくスタイルが事を成したところはあったと思います。

僕のキャリアは一点突破から始まって、MMAの中で合理的に効率的に勝つために行き着いたのが、テイクダウンを取って上から攻めてサブミッションする現行の青木真也のスタイルです。ただ堅実になればなるほど幅が狭まっていく感覚はあって、クリエイティブ性は失われていくのが悩みの一つではありました。もちろんシンプルだからこそのクリエイティブ力は理解はしていますが、策でやりくりしたり、見たことがないものを持ってくるクリエイティブもまた格闘技者としての腕の見せ所だと思っているのです。

須藤選手の闘い方を見て、格闘技者としてのクリエイティブ性を失ってはいけないと思ったし、MMAに対する自分で決めた概念や先入観や固定観念を取っ払って、自由なものとして取り組むことで、青木真也の格闘技に幅や彩りを持たせることができるのではないかと思い、練習に「ノーギ柔術」を取り入れてみました。ノーギに関して少し説明させていただきます。

MMAグラップル、ケージレスリング、グラップリング、サブミッションレスリング、ノーギと同じように組み合うようなものなのですが、個々でルール(目的)や技術体系が違うので細分化が進んで今は別物だというのが僕の解釈です。僕は上のポジションをとって抑えるMMAグラップルを主としているので、ノーギの引き込んで下から攻めてガードを越えさせない中で足関節を狙う技術体系とは相容れないところにいます。上の方が強いし、殴られることを前提に組み立てる技術体系と打撃のない柔術的な価値観の技術体系と異なるのは当然です。

ノーギの練習をやってみるとガードを越えられないし、抑え込んでるだけではダメで動くと足関節に入られるし、その上極められちゃったりするしで学びが多く、練習後に柔術の先生に技術を教えてもらいはするものの、技術を覚えるよりも定期的に練習してもらって実践で覚えていくのがいいと思い定期的に練習をお願いすることにしました。柔術の方はインストラクターとしての収入が主なことが多いので、教える能力に長けていて言語化も上手なので単純に習いやすいのもあります。

自分のMMAが知らず知らずのうちに凝り固まっていたところがあったと思って、新しいことを取り入れて進化を促していきたいと思いました。進化させようとするのではなく、新しいエッセンスを取り入れることで進化を促すような感覚です。年齢からくる衰えや老いがあるのだとしたら、その中の要素の一部として、凝り固まってマインドが狭まっていくのがあると思っています。それで言えば僕はまだ変化させようとする気持ちがあるのだから、まだまだ伸び代があると思っていますし、格闘技は探求すればするほど面白くなってくるこれ以上ないおもちゃだなと思います。

須藤選手の足関節を軸にしたMMAの中でのクリエイティブな闘い方と足関節技を信じている強さから学ぶことは多かったなと思いました。ベテランのおじさんでも今の格闘技について行こうと必死にやっています。須藤選手の今後の格闘技人生が良いものであることを祈ります。行けるところまで行ってみようか。

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