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しすかなまち



 よくある心象風景、だけど、きちんと想い出し切れたことがない。有限と喪失を前提としたアーティクルである時点で無意味とでも言うのかな、では逆に永遠と無限を志向した文章であればそれだけで稀有であると。フルのスペクトラムが維持されるには一々のスケールが完全である必要があるのだ。一つ一つの筋として刻まれるスケールの各々を、貫徹して代表する物々がそこに、無くてはならない。それを物と言うのだ。任されたスケールを完全無欠に代弁していること。勿論、スケールを構成する、スケールを編み込む一々の変数については各々任意の何かであっていい、しかし、自らを構成する一々の変数について、絶対的絶対値を取りながら無数変数の未知を知らせる物々しい物であること。君にそれが出来るかな。私にそれが出来るか。物は、物でありながらただ物々しくあることを要求される。フルのスペクトラム、全体のスケール、成長するシャコ貝のような、時間を跨ぐ羽ばたきの軌跡から。これは分かりやすく写真でも魅せてやるよ

 多分本当に愛しているんだ。静かな町を。しすかなまち、しずかな街を。永遠と普遍の具現、無限の賢さの無い素朴な街、小さ小さな街を。そこでは、物にも事にも重なりはなくて、閉じた円のような繰り返しのみある。もしかするとほぼ何も起こらない、虚無への崩折れと熱望自体への希求のどちらかに進む期待の瞬間の、ほんの少し手前に静止する、しすかな街を、私はいつまでもあいしている。時間をしよう

 時間をしよう。空間を切り分けて、自分で。境界が混濁となり明滅が濃淡となるところに多次元が生まれる。それまでの規則が決まりを解いて浮遊を始め、もっと大きな空間で息継ぎしようともがき始める。そこに、目を閉じた指先をそっと震え、伝わる振動を増幅しながらそれを歩行に変換してやる。道が出来るまでに歩いたら行き先を与えて地図の生まれるを待つ。ときにオン ナは縛られることで自己存在を確定し、感情として安定、情念として鎮静することを覚える。しかしこのオン ナとは女ではなく男も女も神仏もまたオン ナであり得るそうである。境界は周期的に混濁し、色彩の明滅も確実に濃淡化する。存在の揺らめきを突き通すような結実はいつも外部から齎され、そこで言うところの外部世界こそが次なる揺らめきの侵襲領域となる。オン ナは貫きを裏返して混ぜ込みながら侵襲する。それをさせてやるのが時間するというオツコトであり、オツコトもまた男女神仏のどれでもある。もしも貴方が時間するなら空間への敬いを発展へと変換しよう。しんこうしんをもって行動するんだ

 しずかなまち、しすかな街、わたしらわたしの静かな街。一番大きなシャコ貝の閉じた先か中にある夢中真空、夢の中にある本当の空。誰かの為に何かのミルクを運ぶ朝、誰も居ないテーブルに置いてある、鍋から上がる湯気の揺らぎに、自分と存在の名残を、感じるだけの満足。これに爪立てるものの一切の牙を抜いてやろう私は。それが私私の静かな街でなくてもいい。誰か誰かのしずかな街、しすかなまちに踏み入ろうとする万物、一でありながら万であろうとしたまま揺らぎ終わらない拡散の不定分子を、私は永遠と普遍から除去する。ところでこの文章は最初のどちら


 シャコ貝と大きなブナの、会話に、混ぜてほしいな
 何を失えばいいか


 深層海域にも水面と元の海底があるみたいだ。奥底の表に映るを覗いて奥の底のその先を知らないようなことも、あるみたいなんだ。僕は君にぼくらダイヴに着いて来て欲しい。深層の水面を割ってその先の奥底に来て。火山孔からの熱と潮を頼りにこっち、こちらまで来て。重さの減じる世界で更に沈んで行くには。軽さに通じる自らによって新しい重さを、生み出さなければならない。物になろう、何ものも来なければ私は予定通りひとりで行く。本当は誰しもがお互いにそうするしかない。これまで頼りを教えてくれてどうもありがとう















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