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読書人

僕には、ついつい見入ってしまう「好きな人がいる」。

スタイルが良い、顔が整っている、笑顔がステキなどという浅薄なモノではない。そんなモノは大学生2年生頃、ゼミ室のゴミ箱に捨ててきた。

僕は「読書している人」が無性に好きなのだ。

公園のベンチに腰かけ読書をしている人、
バス待ちのバス停で食い入るようにまじまじ読書している人、
歩きながら読書している人等々、街にはたくさんの読書人がいる。

読書人が現れるたびに、僕の眼は奪われる。
運転中だろうが、彼女とデート中だろうが、商談中だろうが関係ない。

すぐ奪われる。
そのせいで上司や彼女に何度怒られたことか。。。

先日、最高に素敵な佇まいの読書人(野球ボールみたいに丸まった背中で読書していた小さいお爺ちゃん。最高の哀愁。バス停にて。)に目を奪われ危うく大事故になるとこだった!というのは、ここだけの秘密。

法律的・倫理的に許されるのであれば、僕は時間を気にせず思う存分、気が済むまで読書人を見ていたい。ずーと眺めていたい。

少し大げさな表現になるが、読書人はアートよりアート。
アートオブアートだと思う。

そう。僕はただ、アートを鑑賞しているだけなのだ。

美術館へ行き、

「お客様、ご鑑賞はサラッと時間を掛けずにお願いいたします。」

と、言われたことがある人なんて、この世にいないだろう?

アートなのだから、そりゃー、まじまじ見てしまうではないか?

ね?

まぁ、それが原因で事故るのは言語道断だが。



かくいう僕も読書好きである。
最近は週に5冊ほど読んでおり、読書街道マッシグラである。

読書に興味を持つようになったのは、大学2年生の頃。
ちょうどゼミ室のゴミ箱に色々捨て去った時期と被るが、因果関係はナイ。

読書に取りつかれたキッカケは間違いなく、
母親の本棚に鎮座していた、村上龍の「空港にて」だ。

まさに青天の霹靂だった。

読み終わり、いや、読んでる最中から、金属バットで頭を殴られたような衝撃が脳天に走った。(大谷翔平のフルスイングをモロに喰らったくらいの恐ろしいほどの衝撃だったのだよ。そりゃー凄かった。三日三晩メシが喉を通らなかったくらいだもの。)

「なんかよく分からないけどこれは凄い。凄すぎる。本ってスゲー」

当時そんなふうに漠然と、「本の底知れぬ奥深さ・作家の変態的恐ろしさ」を肌で感じた。

この体験が引き金となり、僕は今まで興味の「き」の字もなかった読書に少しづつ傾倒していった。

話が少しづつ脱線しそうだ。話を戻そう。



なぜ僕は交通事故を起こしてまで、読書人を見てしまうのか?

サッと理由を考えてみた。

①無防備な佇まいように見えるから
(後ろから膝カックンもしくは目隠ししたくなる)

②現世に意識を置いていないように見えるから
(読書人の没入感が凄い。ヤンキーに囲まれても気付かないだろう)

③その人の真の姿のような気がするから
(社会人・主婦・学生・ヤンキーというレッテルを剥ぎ取ったTHE自分)

ザっとこんな感じ。

つまり。強引にまとめると、

「その人の建前でない、本音の部分が垣間見えるような気がするから」

ということだ。

「・・・・・・・・・・」

そうか。僕は本音に飢えているのだ。

現代は本音が見えにくい。
どれが本音でどれが建前なのか、皆目見当も付かない。

右と言って左行く人もいれば、左と言って直進する人もいる。

もう何が何だか分からない。

猫も杓子も真実を言わない。大ボラ吹きの大バーゲン。

僕たちは仮面を被り、お互いがお互いを良い具合に騙し合いながら生きている。

でもそれは悪いことではない。
この世界で共存・共栄していくためには必要なことなのだと思う。

この世界は仮面舞踏会。

おそらく僕は疲れてしまったのだ。仮面を付ける生活に。

本音が見えない世界に。

僕にとって読書人は本音包み隠さず晒してくれる、心の支えみたいな存在のなのだ。

もちろん会話はしない。ただ眺めているだけ。

それだけで心が洗われるし、
この世界でもう少し生きてみようと思えるのだ。

「・・・・・・・・・・」



なぜ僕はこんなジメジメした地下室みたいなお話をしているのだ?
こんな場所にいては本が悪くなってしまうではないか。

立て直すために、1階へ向かうとする。

結局なんだっけ。あぁアレだ。
その人の建前でない本音の部分が垣間見れるような気がするから読書人を見るのが好きなんだったな。そうだったそうだった。



実は、読書人以外にも好きな人がいる。
「車を運転している人」だ。

理由は読書人と、ほぼほぼ同じ。
つまり無防備で、別世界にいて、ありのままなのだ。
少なくとも僕にはそう見える。

ここで1つ運転人の方々に、忠告です。

運転人の皆さん運転中、口空いてますよ。

気を付けて下さい。かなりアホ面になってますよ。
特に初心者マークを付けた運転人の方々、非常に口空いてますよ。
気を付けて下さい。

まぁ「車を運転している人好き」の僕からしたら最高なのですけどね。



運転中、読書人は皆無だが、運転人とはよく目が合う。

その瞬間僕の心はキュンとする。
ありのままのピュアな目で、見つめられたような気がするのだ。
それがたまらなく嬉しい。

興奮気味の僕は、運転手として大切な前方確認を怠る。

事故に遭う。それも1度や2度ではない。おかげで車はボロボロ。

それでも僕は「見る」をやめられない。

だって、それだけで心が洗われるし、
この世界でもう少し生きてみようと思えるのだから。

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