
運転担当大臣のイカリ
ドライブというのは実にイイ。
僕はドライブがとっても好きだ。
隙あらばアクセルを踏み倒し、どこまでも進んでしまう。
ギュインギュイーンとカッ飛ばし、
息がゼーゼーいったら、途中コンビニ寄ってアメリカンドッグを頬張りエネルギー補給。その時僕は「なんともフゼイがあっていいではないか、とってもとってもいいではないか!」と、しみじみカンジているのである。
そこに白い肌をコレデモカコレデモカと露出する可愛いレディー達が突如現れ、「ハーイお兄さん私達と一緒にアソバナーイ?」と色気たっぷりイヤラシ眼を向けてくれたらもう完璧。言うことナシ!なのだ!(まぁそんなことはあるわけがないのだが。)
音楽事務所でアーティストマネージャーとして働いていた時は、
ライブの度にカバのようなハイエースで全国各地のライブハウスを行脚していた。
北は北海道、南は鹿児島まで「お前ら馬鹿か!」と言われるくらいハイエースで各地を回り倒した。
1ヶ月間ずーっとライブハウス行脚した時もあったな。
あの時はキツカッタ。
※僕は毎日のようにハイエースを運転していた。
いつだったか僕があまりにもハイエースにベッタリという話なり、
「ハイエースが僕なのか?」「僕がハイエースなのか?」というショーモナイ議論を担当アーティストとした結果「ハイエースが僕」ということになった。
入社当初は、5時間も6時間も運転することにスゴク抵抗あった。
イヤでイヤでしょーがなかった。なんでこんなトラックの運転手みたいなことをしなければならないのだ!!と反抗的な態度に終始していた。
意図的に眼鏡壊そうなかと思ったときもあった。(僕は視力が悪いので眼鏡を掛けないと運転できない)
しかし、慣れというのは恐ろしいもので回数を重ねる度にその抵抗は徐々に薄れ、1ケ月過ぎた頃には運転が好きになっていた。
その反面、助手席が嫌いになった。
理由はカンタン。怒られるからだ。
あの時の事は今でも忘れない。
助手席は優雅だ。座ってればいいだけなのだから。
「あーとってもいい景色じゃのー、心が洗われるようじゃ、いいのーいいのー!」と旅行気分ルンルンルーン!という気分に助手席はさせてくれる。
しかし、それは最初の1時間だけなのだ。
人間は飽きる生き物。ルンルンルーンだった景色にも、ピコピコ楽しいスマホイジりにも人間はすぐ飽きてしまいます。そして飽きた人間というのは、大概眠ってしまう。気持ちよーくスヤスヤと。
あの時は、40代のベテラン上司(通称:ヤンキー)が運転してくれていた。
にも関わらず、礼儀もクソも知らなかった当時の僕は「そんなこと知ったこっちゃねーよー!」というロックンロール的精神で爆睡。スーヤスヤと。深々と。
もちろん僕のスヤスヤ顔を、スルドイ横目で確認したヤンキーは、
僕に向かって鬼のように怒鳴り散らした。
「お前俺が運転してんのに寝てるんじゃねーぞ!!!」
「殺すぞナメてんのか!!!」
和やかだった車内の空気が一気に険悪に。
その瞬間ロックンロール的精神は跡形もなく消え去った。
「すみませんすみませんほんとにすみません!!!!」
僕は謝り散らした。(ペコペコしまくった)
それから2時間、車内には悪魔のような時間が流れ、いつも以上にストレスと疲労が重く体にのしかかり、円形脱毛症まっしぐら!というカナシイ結末を迎えることになってしまった。
「そんな結末になるくらいなら僕が運転するぜ!!寝たいヤツは思う存分寝やがれコンチキショ―!僕はそんなことで怒るような小さい男じゃないからなフンッ!」
というロックンロール的反骨精神も手伝い、次第に運転が好きになった僕は、イイではないかー!イイではないかー!と周囲(ヤンキー)をジワジワ感心させ、入社3か月目にして運転担当大臣の地位まで上り詰めた。
ハッハッハー!!!ザマーミロッ!!!まぁ運転担当大臣になったからって給料アップとかそういうハッピー特典はないのダケレド。
そんな、ヤンキーも認める運転プロフェッショナルの僕でも、
長距離運転中どうしても眠気が襲ってくる。
そんな時すぐさま華麗にハンドルを回転させ、コンビニに寄りアメリカンドッグとレットブルでエネルギー補給。翼をさずかる。
その瞬間、眠気はどっかにいってしまう。
そこに可愛いレディー達が突如現れ、ハーイお兄さん私達と一緒にアソバナーイ?ウッフーン的な色気爆発熱気ムンムンの眼を向けてくれたらそりゃもう完璧、全身ギンギンどこまででも行ってしまうぜギュイギュイギュイーン!なのである。
最近の車は、やたらめったら進化した。
前の車が発進したらそれを知らせてくれるし、走行中に白線をはみ出したら知らせてくれるという何とも過保護なシステムが内蔵されているのだ。
何かあるたびに(こちらとしては何もないのだが)ピピッという警告音?が鳴り響く。
その度に僕は眼をスルドクさせる。ギギッ!!
いちいち鳴らしてんじゃないよ!ビックリしてしまうではないか!こっちは一生懸命運転してんだ!鳴るなら鳴るでもうちょっと静かに品のあるカンジで鳴れよコンチキショ―!という具合になってしまうのだ。
たしかに最新のシステムを搭載した車は安全性という観点から見ると素晴らしいものなろだろう。
しかし運転担当大臣の地位まで上り詰めた僕にとっては誠に邪悪で邪魔。
嫌悪の対象でしかないのだ。
その最たるものが、ドライブレコーダーである。
名前からしてイケスカナイ。いかにもクールでシャープで皆の役に立っているでしょエッヘン!という雰囲気を醸し出しているではないか。
あーイケスカナイ!
そして、ホントにイケスカナイのが車の後ろに
「ドライブレコーダー録画中」「24時間録画中」のシールを貼っているヤツらだ。(最近ホント増えた。おそらく5台に1台は貼っている)
だから何なのだ!!脅しのつもりか??オー、そうかそっちがその気なら受けて立とうじゃないの!!ええ!!!とギギギギーッと睨み付け、歯をググググイッと食いしばってしまう。
もちろんトラブルを未然に防いだり、最近巷を騒がせている危険運転の抑止にも繋がることは分かっている。
それでも僕はあのシールを貼っているヤツを睨み付ける。だって姑息すぎるではないか。
僕にとってあのシールを貼っているヤツは、バックにヤクザが付いているからと調子こいて愚行を繰り返すチンピラと一緒なのだ。
そんな姑息なことしないでもっと正々堂々と戦ってみたらどーだ!ドーンと裸一貫でぶつかってみたらどーなのだ!ええぇ!!と最近ツヨクツヨク思うのでアール。