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「血液内科で思うこと」 230310

 病院はやはり行きたい所ではない。
熱が続いたのでかかりつけの病院で診てもらった血液検査。

 数値を見て先生が言う。
「う〜ん、再発の可能性がありますね。詳しく調べたほうがいいですね。こちらから○○病院には連絡しておきますので、紹介状書きますね」
「はい、、あの、去年と同じ病気ですか」
「そうですねぇ、おそらくですが、可能性ありますね。こちらの数値はいいんですけど、この数値がねぇ、少しずつ下がってきてるんです」

 先生はパソコン画面の様々な検査のグラフを指差しながら見せてくれた。うん、たしかに数値が一年前から下がってきている。私は去年の2月、これで死ぬ間際だったのだ。

 「○○病院から受診日の連絡があると思いますから、それまでに紹介状取りに来て病院で渡してください。それとプレドニンはまた一週間出しておきます」

 あ〜、またプレドニンである。ステロイド剤だ。
去年、血球貪食症候群で入院した時に点滴されまくり、退院してからもしばらく錠剤を飲んだ。
はぁ、あの病気は思ったより早くおさまり、GWには完治と言われたのに…。

 もう、がっかりである。再発するとは思わなかった。再発したなら、また長く飲まなければならない。いや、もしかしてまた入院か?

夕暮れ

 一週間後、
「さいとうさーん」
名前を呼ばれた、ここは○○病院の血液内科の待合室。
連絡が入り今日が受診だ。

 血液検査の前にまず身長、体重、血圧を測られる。
ん?、、血圧低いのはわかるが、、身長がずいぶん低くなっている。あー、よくある話だが、
一つ、軽くショック。

 右腕を台に置きなおし袖をまくる。血を4本抜かれるようだ。
去年の入院中は毎日10本ぐらい抜かれてたので平気。
だが、注射針を刺す前に看護師さんが言う。
「さいとうさん、、今回の検査結果が出た時、御本人さん以外に伝える場合は奥様でよろしいですか?」
「はい、そうですね」
「もし次に伝えるとしたら…?」
「息子ですね…」
「長男さん?」
「あっ、ひとりっ子です…」

 看護師さんは、家族構成を聞いた上に検査結果を本人以外に伝える人物を聞いてきた。血を抜かれる時にこんなこと聞かれたのは初めてである。
 たしかに、ここは血液内科である、だが案内表示には「腫瘍センター」とも書いてあることに気づいた。

並ぶ惑星✨


 そうか「腫瘍センター」か。

 待合室に戻り周りの方々の顔をチラと見る。たしかに年配の方は多い。でも、深刻そうな顔してる人はいないじゃないか、、と思いつつ、一抹の不安がよぎる。

 もし、もし結果でそんなこと伝えられたら、私はどうするだろう。脳裏をかすめる。

 いや〜、ないない、そりゃないし、もし仮にそうだとしても動揺しないだろう。私は冷静に聞ける自信はある!
だって去年は十分にそんなこと考えていたのだ。

ほんとか

 「さいとうさーん」
「はい」
「診察室へお入りください」

 いよいよである。

 「う〜ん、去年入院されてたんですね」
「はい」
「まだすべての検査結果は出ていませんが、再発していますね」
「えっ!」
「ただし今回はプレドニンを早く処方されていますので数値は良くなっていますよ。他の数値も大丈夫です」

 よかったー、入院もなく薬も後10日間飲めば終わりだそうだ。よかったー、またかかりつけの先生に命を助けられた。

 また、先生は続けてカレンダーを見ながら言う。
「今度の冬に、また再発の可能性があります。念のため12月にこちらで検査をしましょう。そして来年の1月、2月と一月毎に検査しておいたほうがいいですね。予防のためです」
「はい」

 えーっ、いつもいつもか?毎年か?と思ったが先生には逆らえない。専門の先生なのだ。


 う〜ん、どうも私の体は、冬になり自己免疫力が落ちたとき、自身が元々持ってるウィルスのどれかが悪さをし始めるのかもしれない、と言われる。
いや〜、弱い体…。

…。

 ふと冷静に考えた。
トルコで地震があったし、この時期はテレビでも地震関連の番組は多い。もし仮にこのような災害にあった場合、せめて大事な薬などは持ち出せるように準備しておかなければ、たとえ生き残っても私は真っ先に死ぬな。

 私には薬が不可欠だし、まして冷えると免疫力が落ちて、またこのような病気になってしまう。
一人だけ、毛布を大量にくださーい、などともらうわけにもいくまい。

 私が助かれば他人を助けることができるかもしれないのに、薬が切れれば迷惑かけるかもしれん。

 そうだ、
薬はいつも一週間や10日は早めに取りに行っておこう。
誰しも自分だけの処方薬があるだろう。
すぐ持ち出せるようにしとかんとあかんな。
玄関か?
いやいやそりゃ違う。富山の薬売りではない。
市販薬とは違うしな。

 幸い、今回の病気再発は10日で終わったけど、いつもいつも血液検査したくないしな。

検査結果聞いて、やっぱ動揺したくないよな。

さ、帰ろう

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