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【ロック名盤100】#57 Billy Joel - The Stranger

 今回紹介するのは、ビリー・ジョエルが1977年9月にリリースした「The Stranger」だ。前回紹介したエルトン・ジョンとピアノ・ロックの代表格として双璧を成す天才シンガーソングライター。彼がその地位を確固たるものにしたのが本作で、批評的にも商業的にも大成功を収めた彼の最高傑作。
 エルトン・ジョンに比べてディスコチックというか、踊れるポップさみたいなものが彼の魅力だと思う。深いこと考えずにノレたり、浸れたりできるアルバムだと思った。だがソングライティングの面で高度なことをやっているのももちろんなので、集中して深く咀嚼するのもまた一興。作曲、演奏、アレンジ全てにおいて完成度の高いポップロックの名盤だろう。

1 Movin’ Out (Anthony’s Song)
2 The Stranger
3 Just the Way You Are
4 Scenes from an Italian Restaurant
5 Vienna
6 Only the Good Die Young
7 She’s always a Woman
8 Get It Right the First Time
9 Everybody Has a Dream

 どこかミステリアスで妖艶な雰囲気のオープナー「ムービン・アウト」、悲壮感のあるピアノとかっこいいギターの2つのセクションで構成される表題曲、ビリー・ジョエルのキャリアを象徴する代表曲「ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー」の3曲で畳み掛けて迎える4曲目が圧巻だ。「シーンズ・フロム・アン・イタリアン・レストラン」は複数の曲の断片を繋げたメドレーとも言える壮大な組曲で、プログレに形容することもできる。ピアノによるメロディック・バラード、アップテンポのジャズと複数の楽器のソロ、ピアノで早急に歌われるロックンロール、アウトロまでのべ7分半に恋の叙事詩が語られる。凄まじい曲だ。ピアノのイントロがなんとも印象的で心地良いバラード「ウィーン」や流れるような美しいメロディの「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」も聴き逃せない。
 どれも美しいポップロックだが、アプローチや魅力はそれぞれ多様。1曲1曲のパワーが凄まじく引き延ばしや捨て曲も一切ないから飽きることもない。ビリー本人も今年の初めに来日していたこともあり、彼にハマるにはいいきっかけなのではないか。70年代のクラシックな名盤というイメージが強いが、今も新しい世代で熱烈なリスナーを獲得し続けているはずだ。

↓「シーンズ・フロム・アン・イタリアン・レストラン」

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