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鳥宮恵里は俺の”何”?

人類はあと四半世紀でタイムトラベルが出来るようになるンだとさ。

「パパ!中庭でお昼食べよ!」
「パパじゃねぇよ!」
この問答にも慣れたもので、もう教室はざわめかない。一ヶ月前は俺の元に駆け寄ってくるだけでモーゼの海割りの如く人が避けたモノだが。
「あっ……ごめんなさい、えーと、恵弥くん」
「いいよ。行こう」
クラスメイトの手前とはいえ、強く否定したのには罪悪感がある。しょげた顔は見ててつらいし、手短に打ち切って席を立つ。弁当の献立は同じ、包みは色違い。

対外的には従姉の鳥宮恵里は、曰く俺の実の子。彼女を産み、そのまま眠るように息を引き取った母に会いに、はるばる四半世紀後からやってきた。
「あたしがパパとママをくっつけたげるかんね!」
男やもめの父を見て不安になった娘は、いじらしくもそう意気込んでさえいる。

だけど恵里は知らない。全て手遅れだって。歴史はもう破綻してるって。パパは自称・未来の娘に惚れてんだって。

【続く】

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