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#裏稼業
アカシック・カフェ ―全知と珈琲の番人―
「もうアカっちゃいなよー!」
「でも、あたし的にはエージ信じたいし」
常連の女子高生のいつもの恋バナ。しかし、どうも雲行きが怪しい。シュウカがアカシックレコードを提案したのだ。一方ハヅホは曖昧な返事。そりゃそうだ。『世界の真実』によって浮気が確定したら目も当てられない。
十数年前、人類はついにアカシックレコードに接続した。が、蒸気機関やインターネットのように社会が激変することはなかった。一般市
アカシック・カフェ 【1-3 ハッピー・ルーイン】
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「常川辰真。私の兄のような人で、弟のような人で……恋人です」
チリチリと目元が軽く痺れる感覚。伊万里様。に、重なるように小さな女の子。テーブルがデスク……学習机になる。並んで、もうひとつ。やんちゃそうな男の子。机の上には教科書。
「五年前の今日、私たちは待ち合わせをしていました。地元の駅の、彫刻のところ」
行ったことも見たこともない土地。ちらりと見えた、初めて読む
アカシック・カフェ【1-4 ベター・ルート】
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二週間後、同じ時間に訪れた伊万里様は、何の偶然か、五年前のあの日と同じ服を着ていた。
……偶然なワケがないけれど、触れないことにした。決意したこと、それが大事であって、俺がどうこう言うべきじゃない。
「準備が出来ましたので、ご都合の合う日にご来店ください」
俺の案内の重みに触発され、五年ぶりに袖を通したそれは手入れも万全で、着用はしなくとも大切にされていたことが、全知