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逆噴射高梨蒼

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よく来たな。ここは逆噴射記事、逆噴射小説大賞参加作品などを纏めたMEXICOだ。
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2019年10月の記事一覧

いつか僕たちが、この革命劇に名前を付けよう。

いつか僕たちが、この革命劇に名前を付けよう。

「ね、貴方は大きくなったら何になりたい?」
「いきなり何です」

赤と黒が入り混じる空を見つつ、女性は言った。感慨深げに目を細める女性と対称的に、少年は目を見開いている。時折ゴーグルを調整している姿には緊張感があるが、会話をする程度には余裕もあるらしい。

十人程度による簡素な山中のキャンプは暗い。いくつかの控えめな灯りも、すぐに消灯できるように全員が備えている。
彼の視界には、依然変わらない山の

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Bet everything But no-life

Bet everything But no-life

誰もが怯え、しかし騒然とすることさえできないホールで笑っていたのは、銃口を二つ突き付けられていた男本人だけだった。
不自然なほどのチップの塔の前に座る彼は、ラフに着崩したスーツスタイルだ。白いジャケットから覗く黒いシャツには皴がない。ホールドアップした手首に光るアクセサリーも厭らしくない。整った身形の中で、今は卓に置かれている黒いパナマハットだけがくたびれていたのが印象的だった。

「ベック、少し

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銀と金と千奇万講

銀と金と千奇万講

黒い服に銀の髪のお兄さんと、黒いドレスに金の髪のお姉さん。
山の中で迷子になって、古いお社で怯えてたら、「いつまでも帰ってこないから、街で騒ぎになってましたよ」って迎えに来てくれました。
真っ暗な夜の真っ黒な二人なのに、不思議と明るく見えました。

(少年、とある二人組について)

前、うちのキャラバンで二人連れを送ったことがある。ナリから振舞いからご立派な、俺らなんぞに頼らなくても優雅に砂漠越え

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ニューマンライツ、カメラ、アクション!

ニューマンライツ、カメラ、アクション!

そして、雄大な地球を背負ったスタッフロールが終わった。「国際連環」「国際人類和平機構」の堂々たるロゴがスクリーン中央で止まる。

――止まって一分、何も起きなかった。

君の周囲が、演出でなく事故か、とざわついて数秒。背景の地球が高速逆回転を始めた。同じく昇りの数倍速で、スタッフロールも下へ流れていく。

「『和平伝』をご覧頂き、有難うございます」

逆流する名前たちを隠さぬよう、向かって右隅。三

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俺と元俺の国喰いのススメ

俺と元俺の国喰いのススメ



「ひったくりだね」
「……捕まえろって?」
「勿論」

俺の隣の小さな影は長い髪を波立たせ、軽く頷いた。
俺は、背を押す風めいた銀色を視界の端に見て、両手の暗器グローブをぎちりと嵌め直す。黒い革が指を締め付け、瞬間、血が巡る感触が強くなる。

「焼き肉屋の路地。突き当りの右、質屋の裏口への階段前」

つま先で地面を叩く。重く硬く、仕込んだ金属はいつも通り頼もしい。

「一発殴ったら、懐から銃

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大天空大相撲取組帖 発機良揚―ハッキヨイ―【初日・一番目・夕羽 対 猛雲】

大天空大相撲取組帖 発機良揚―ハッキヨイ―【初日・一番目・夕羽 対 猛雲】

天高く力士肥ゆる秋。
令和元年九州場所初日の空は、十五日間の健闘を祝うに相応しい快晴だった。

大天空大相撲の会場である九州国際体育塔から響き渡る櫓太鼓は、福岡市の秋の風物詩。世界最大の自立型相撲塔である両国国技塔に高さでは劣るものの、街の熱気は負けていない。

市街にかかる九体塔の影も短くなった。
地上十階、満員の観衆が見守る中、夕羽関と猛雲関が睨み合う。

両者は各々のルーティンを執り行う。そ

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