見出し画像

#呑みながら書きました 黄色に色付く頃

夏の終わりの早朝。

そっとカーテンの隙間から外を覗く。
小さな灯が1つ、また1つ。




キッチンのヤカンから、
軽快なお知らせが届く。

玄関に大きなトランク2つ、
わたしの顔は陰っている。




「…そろそろ行こうかな」


息を潜めて、その言葉を今日も待つ。



「…わたしも一緒に行こうかな」



玄関で靴をはいた夫が振り向く。
少し困った顔をして笑う。


目の前に広がる大きな腕の中に飛び込む。
抱きしめられている今この時が、永遠になればいい。


このままでいてほしい。
ずっとずっと、ここにいて。
そっと流れる涙を隠す。




遠くで明るい日差しが射してくる。

彼が戻る頃、この窓から広がる木々は黄金色のドレスを着ている。
木枯し舞う前に、時空を超えて逢いにいく。

風よ、風。
わたしを遠く、遠くへ連れてって。


行かないで。
そう、言えたらいいのに。

行ってらっしゃいが言えなくて、
そっと、キスをする。






眩しい朝が、黄色の光を放つ。
光の中にトランク2つ、溶けていく。

彼が戻る秋を早く連れてきて。



✔︎ 報告書
飲んだ場所:リビング
飲んだお酒:ノンアル梅酒
量    :全部
呑み方  :ちょい呑み
酔い具合 :完全なるシラフ

ご覧いただきありがとうございます🐼 いただきましたサポートは動物園への撮影行脚中のおやつや、森永ラムネを購入させていただきます🐱 動物写真を愛でたい時はこちらへ🐻 https://www.instagram.com/yuricamera/?hl=ja