夜型人間として生きていく:概論

うどっぴ

夜型人間 Advent Calendar 2019 2日目の記事です。
ライフハックというよりは、夜型人間が朝型社会でどう生きるべきかの基本的方針について述べた文章です。あとWhy We Sleepの宣伝です。

夜型人間であることは変えられない

最近、マシュー・ウォーカー『睡眠こそ最強の解決法である』(原題:Why We Sleep、以下原題にて呼称)という本を読みました。世界的なガチベストセラーです。既に読まれた方も多いかもしれません。

睡眠薬の効用否定論で、院生の頃から約8年、不眠症で睡眠薬を処方してもらい続けている身としては耳が痛い主張もあるのですが、夜型人間アドベントカレンダーに興味を持つような方とっては確実に非常に面白い本なので、ぜひ読んでみてください。

さて、巷間よく言われることではありますが、本書にも朝型人間と夜型人間の区別について言及があります。曰く、

「朝型と夜型の分類は、『クロノタイプ』とも呼ばれている。大人の場合、クロノタイプはほぼ遺伝で決まることが多い。(本書29頁)

ダメじゃん。

少なくとも努力で朝型人間になることは不可能っぽいです。

それでも睡眠時間を減らすべきではない

同時に、本書では至る所に「十分な睡眠時間を摂らないことによるリスク」がこれでもかというほど列挙されています。(第6章-第8章)

e.g. 記憶力が下がる、運動スキルが下がる、集中力が下がる、居眠り運転による死、感情のコントロールができなくなる、子供の自殺・いじめ・ドラッグ依存を増加させる、うつが酷くなる、学力が下がる、アルツハイマーになりやすい、心血管疾患、代謝の低下、糖尿病、肥満、生殖機能の低下、インフルエンザ、ガン、テロメアの老化が早くなる等々…

夜型人間は、遅い時間にならないと寝付けないのに、朝は朝型人間と同じ時間に起きなければなりません。社会に順応するためには遅寝早起きをする必要がありますが、睡眠時間を短くしてしまうのは、自分の身体を犠牲にする行為です。合わせるのはいいけど、自分を犠牲にするのは嫌と思う人の方が多いでしょう。

なお、夜型人間が無理に朝型に合わせると死にやすいとのこと。

夜型人間が生きやすくなるためのマーケティング戦略

社会は往々にして多数派の観念や常識を諸々の基準として採用します。すると、多数派に合わせることができない少数派は割を食うことになるのですが、少数派の声が一定程度大きくなることで、この不平等は改善されるべき課題として政治的イシューとなります。
女性の権利や障碍者の権利、少数民族の権利など、論争性が高く、多数派からの強い反発が予想され、現に実力行使を伴わなければ実現できないような課題もありますが、夜型人間の権利はそこまでcontroversialではないのではないかと思います。

ちなみに、「Why We Sleep」によれば、朝型人間が人口の40%、夜型人間が人口の30%で、残りの30%はその中間型だそうです(28頁)。そんなに人口差がないな?
もっとも、クロノタイプに関わらず、高齢者の朝は早くなるというメカニズムがあるので(120-123頁)、特に高齢者の人口比率が高い日本においては、朝型に強い(実は高齢者は目が覚めてしまうだけで強くはないのだが)人口の割合はもっと高そうですね。

夜型人間にも十分な睡眠をとる権利がある」と主張する権利アプローチは(保守主義的右派層が完全に社会に定着してしまった)日本においては、あまり刺さらないような気がしますが、「夜型人間が十分な睡眠をとることによって仕事の効率が上がるため、社会全体がメリットを享受できる」面を主張する経済的アプローチは、割と万人の共感を得そうです。

専門でないのでよくわかってないですが、ググって見つけたこの論文も「クロノタイプ・ダイバーシティ」というコンセプトにより、活動の非同期性(energetic asynchrony)がもたらされ、チームの生産性が上がることを主張しています。

普通に業務効率性について真剣に考えているまともな企業は採用しそうな感じがします。弊社も、朝4時に寝て昼12時に起きるタイプの取締役や、過集中すると日中必ず2時間仮眠を必要とする取締役などがおり、バリバリ働いているので、ダイバーシティ企業です。

朝型社会で睡眠時間を確保するためには

上記のような長期的な話はともかく、各人で今できることは何かないか考えてみました。ここからは実体験多めです。

①12時出勤が許される企業に転職する

自分の話をします。

私は大学から大学院修了まで、ずっと病院の夜間事務のバイトをしていました。もともと夜はまったく眠れなかったのでちょうどよく、急患が来ない時間はがっつり論文や本を読むこともできたので、これは自分に合っていました。当時はまだ体力もあったので、夜17時から朝9時までの1シフトが終わったら昼の授業に出て帰って夕方に寝る→夜2時くらいに起きるみたいな完全に狂った生活を送っていました。

しかし、普通に就職するとなると、話は別です。前職は普通の法律会計事務所で、私はパラリーガル&経理担当をしていました。普通の法律事務所の朝は早いです。9:30出勤。朝の掃除当番がある日は9時に出勤していました。
はっきり言ってメチャクチャ遅刻した(月に3~4回遅刻してた)ため、自分はまともな社会生活を送る能力が欠如しているということがわかってきました。でも9時半って別に特別早いわけではないですよね

現職はリーガルテック企業のパラリーガルです(パラリーガルといっても、普通の法務担当ではなく、機械学習に回すためのデータセットの作成や諸々の法務プロダクトの仕様を考えるdevelopサイドの職種です。法務もやってますが)。
顧客とコミュニケーションをする必要はあまりなく、定時にオフィスに来る必要がないので、フレックスタイム制(労働基準法32条の3)で働いています。コアタイムは12時から16時ですので、まあ12時までにオフィスに来れば遅刻じゃないということで、全く遅刻しなくなりました。
正解見つけちゃった。

②睡眠時間をトラッキングする

「Why We Sleep」によれば、質のいい睡眠の基準の1つに、睡眠効率が90%以上であることが挙げられています(119頁)。睡眠効率とは、横になっている時間のうち実際に寝ている時間の割合であり、逆に言えば、横になっている時間のうち10%は覚醒状態であるということです。そして、人間の大人にとって最適な(覚醒状態を含まない)「睡眠時間」は8時間だそうです(329頁)。

つまり、8時間「寝る」ためには、仮に10%が覚醒状態とした場合、就寝から起床までの時間は約8時間53分必要となります

また、睡眠状態は日々の体調の変化に応じて変わるため、質の高い睡眠を確保するためにも、睡眠時間を正確に測ってくれるデバイスを導入してみるのがよいです。
私のおすすめはFitbitです。最近googleに2300億円で買収されました

amazonで買うのが一番安かった。

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こんな感じで、レム睡眠、ノンレム睡眠、覚醒時間が記録され、睡眠の質に対してスコアが与えられます(やや低い多いですね)。
夜型人間はとにかく睡眠時間が不規則になりがちなので、自分のバイオリズムを特定する意味でも、就寝時間を一定にする意味でもトラッカーは特に役に立つデバイスだと思います。

おわりに

なんか尻切れトンボ感が否めませんが、
①夜型人間であることは変えようのない個性であること、
②朝型社会に合わせて生活リズムを崩すのは、仮になんとかなったとしても自分の厚生を悪化させること、
③夜型人間にやさしい社会を作っていきたいが、長期的な主張としては「効率性の向上」などのアプローチが有効なのではないかという仮説、
④個人でできることは限られるが、フレックスタイムで働くとか睡眠管理とか、ないではないこと
あたりがこの記事の言いたかったことです。

ちなみにこの記事を書くのに徹夜しました。ほんとそういうとこだぞ。

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