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自分ごとを捉える

 最近アウシュビッツ博物館唯一のアジア人ガイドの中谷剛さんの記事を読んだ。2014年アウシュビッツに訪れ、中谷さんにガイドしてもらった体験は今でも鮮明に覚えている。

 ホロコーストはいつの時代でも、どこでも起こり得ることであり、教育の重要性を痛烈に感じたことを思い出した。  

 どうして、そのように思ったのか・・  

 中谷さんは、「ホロコーストの一番の原因は、傍観者である。大衆迎合主義が一番危険である。」と伝えられた。 

アウシュビッツ博物館では、強制連行された人々の靴や鞄、髪の毛等の遺品の量が、圧倒的な存在感をもって、見るものの心を破壊的に奪っていく。

 訪れた日は、12月30日、アウシュビッツの気温は、マイナス20度。容易に布切れ一枚で生活していた人々の苦痛が想像できた。  

 ある展示品では、大きく拡大された一枚のレポートがあり、そこには、その日の死者数のみが書かれていた。現地から程遠い、軍幹部からは、その惨禍の恐ろしさが想像しにくいものだったのかと想像できた。

 中谷さんからのガイドや圧倒的な展示から様々なことを考えさせられた。自分ごとになっていた瞬間だった。 

 中谷さんは、自分と変わらないごく普通の人がいとも簡単に人を殺したという事実に向き合う必要がある・・また、大事なのは、間違うことを恐れず自分で選ぶこと、自分で考えずに大衆の動きに沿うんじゃなくてね・・ 

とインタビュー記事で述べられていた。

 この記事を読んで、今でも自身の体験が鮮明に蘇ってきて、考え続けているのは、当時、体験を通して、自分の頭で考え、自分ごととして残っているからであると思う。  

 親として、教育に従事するものとして、子供たちが、自分ごととなるようにするには、本物の経験ができるような環境を整え、繰り返し自己選択と自己決定させることが、とても大切であるなと改めて感じた。  





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