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よりよく生きるため、私達にはアートが必要ーArt for Well-beingで考えたこと

渋谷で開催されていた「Art for Well-being」という展示会に行った。

障害のある人がテクノロジーを活用して表現活動を行った内容を展示するもで、AIやVRなどを使った実験的な作品の数々を見ることができた。主催は障害のある人を創作という形で支援するたんぽぽの家という団体。

この展示で感じたことを残しておく。

「本当に伝えたいこと」があるからAIを活用できる


展示では身体を動かすことが難しい武田さんとサポーターの方たちが一緒に絵を書く取り組みを紹介していた。武田さんはもともと創作活動が好きだったけど、段々と障害が進行して一人では筆を持つことができなくなった。そんな彼女の創作活動を「アートサポーター」という人々が手伝い、彼女の持つイメージを形にしてきた。しかし、最近は手を動かすこと自体が難しくなっていた。

そんななかで取り入れたのがAIだった。AIに武田さんの作品を複数学習させたうえで、彼女がいま描きたいイメージを出していく。AIのイメージを武田さんが見て、「少し違う」「こんな感じ」などをアートサポーターに伝えていき、最終的に1枚の絵が生まれていく。

この過程には何回もの「わからない」「わかってくれない」があっただろう。だけど、誰もが伝えたいという気持ちがあったから、1枚の絵ができたんだと思う。

自分の頭の中のものをどうにか伝えたい武田さんと、彼女の持つイメージをどうか形にしたいサポーターの人々。相手が一番伝えたいことは?大切にしてる言葉は、色は、形は?この問いにひたすら向き合うことは、自分と向き合うより何倍も難しいはずだ。

でもこうして相手のメッセージを丁寧に汲み取ること、つまり物事の本質的な部分を見抜いてエッセンスを抽出することがAIには必要で、この作業はとても哲学的だと思った。

わかりあえなさを共有すること

武田さんの創作活動にはたくさんの「わかりあえない」があって、関わる人々がそれを1つ1つ丁寧に乗り越えていっていた。「あぁ、わかってくれた」が生まれていくと、もっと伝えよう、という気持ちになる。いわゆる信頼関係が生まれていく。

振り返って、私は誰かと「わかりあえなさ」を共有してるんだろか。わかりあえる相手としか出会ってないのではないか。あるいは、わかりあえなくても「わかったふり」をしてるんじゃないだろうか……。

展示会を出て、そんなことを考えながら夜の渋谷を歩いていた。

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展示については主催者の方のnoteで詳しく記載されています。


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