2.ワンピース

私はワンピースが好きだ

デートにはワンピースを着て行くと決めていた時期がある。

ワンピースが好きだと言ってくれた人。

そんなにたくさんデートに行くことはできなかったけれど、私はその人とのデートに必ずワンピースを着て行った。


もともとワンピースが好きだった。

身長が高い私は、丈の長いワンピースを着ても
長くなりすぎたりしないし、バランスよく着られる。

胸の下で切り替えがしてあるワンピースが特に好きだ。

柔らかすぎない素材のワンピースが好きだ。
麻の生地だったら尚良い。
色は明るい方がいい。
オフホワイトや、クリーム色が好きだ。

丈はなるべく長い方がいい。
168cmの私でも、足首らへんまで丈があるもの。

風に吹かれた時に可愛さが増す。
スカートがふわっとなるその瞬間の可愛さに勝るものは、ほかにないんじゃないかと思う。


毎日ワンピースを着ない。

大切な日に着るのだ。


お気に入りのワンピースを見に纏うと
背筋がしゃんと伸びる。

前から見ても横から見ても後ろ姿も可愛いワンピースが理想だ。


ワンピースを着る日は、
私は今日ワンピースを着ているんだ
という自覚を常に持っている気がする。

いつもより自身を持って歩ける。


そんな私のワンピースが好きだった人

ワンピースを着る私を可愛いと言ってくれた人


オリーブグリーンのワンピースを着て、
みなとみらいを歩いた。
港の潮風に吹かれた2年前の3月。

落ち着いた花柄の、柔らかい生地のワンピースを着て
飯田橋を歩いた。
まだ夏の暑さが残り、しとしと雨の降っていた
9月下旬。


私はそんなにたくさんワンピースを持っていないけれど、ひとつひとつに思い出がある気がする。


さようなら


私はあなたと出会っていても出会っていなくても
ワンピースが好きです。


私は私のためにワンピースを着る。


ワンピースを着て、この夏に飛び出したい。
そう思いながら、今日も部屋で読書だ。


ワンピース。

私のためのワンピース。



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