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クリトラの種 -Clip Travelerのはじまり-

この記事は定期ゲ・梅 Advent Calendar 2020 12日目の記事です。

ヒサギと申します。「ソラニワ(Stroll Green)」という花を育ててキャラを成長させるという感じのゲームを運営していた者です。
現在「クリトラ(Clip Traveler)」というPBC……のような何かを運営しています。いつも遊んでいただきましてありがとうございます。

アドベントカレンダーは2回目の参加となります。去年の記事もよかったらご覧ください。

今回は、できれば次回作「Stella Board」について書ければ良いなと考えていたのですが、多忙のあまり新しい情報などが用意できなかったので、代わりに「Clip Traveler」についてお話したいなと思います。
温かいココアでも飲みながら、まったりお読みください。


1. すべてのはじまり

「Stroll Green -Green Festival-(以降、ソラニワGF)」の開催が終わった後も、問い合わせフォームを開けておいたこともあっていくつかゲームの感想を頂いたりしておりました。
特にDiscord連携の通知機能もあって、チャット機能が使いやすい等の高い評価をいただいていました。本当にありがたいです。
次回作「Stella Board」の準備は長期間になる見込みで、その間に何か軽いものが一つぐらい作れたらいいなと終わった後に考えていまして、そのときにふと、ソラニワGFのチャット機能の一部を流用して『ゲーム部分の無いキャラクター交流サイト』が作れないかな…、というアイデアをひらめきました。
こうして、ソラニワGFが終わってまもなくこのような新プロジェクトがスタートしました。


2. やりきれなかったことをやりたかった

さて、私は実は以前にも『ゲーム部分の無いキャラクター交流サイト』を運営していた経験があります。
「クリップチャット」というサイト(閉鎖済み)です。この頃は「セレッシャルコール」というAP制ゲームのチャットシステムの基本デザインとして個室チャットに特化するようにアレンジした仕組みでチャットシステムを公開、そして3年ほど運営しておりました。
しかしまだノウハウや技術力が未熟だった上に違法建築の建て増し放題のまるで九龍城砦のようになっており、ソラニワの開発のためにも開発を断念して惜しくも閉鎖することとなりました。

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なので、この「クリップチャット」でやりきれなかったことを新しく作るサイトでやりきってみたい、そういうことを目標にし始めました。
また、サイトコンセプトとして非常に近い、現在も運営されているキャラクター交流サイト「Star Fragments」さんのシステムよりももっと楽しくて凄いものを作ってみたいなと思いました。


3. しかしアイデア出しに苦悩…

おおよそ作りたい機能は比較的早期に固まっていて、あとはどれだけ付加価値を与えられるか、という工夫だけすれば良いような状態でした。
大雑把に以下のようなコンセプトを掲げて計画を始めました。(Twitterにも書きましたね)

・ソラニワGFからゲーム部分を抜いたチャット・交流システム
・ベースの世界観+完全に独立した空間(個室)のチャット機能
・Discord連携機能を用いた通知機能

ところが、ここから先が非常に大変でした。天地がひっくり返るぐらい。

「クリップチャット」でできなかったことをやる、という観点で進めていると、大きくわけて3つの大きな壁に当たりました。

(1) いろんなキャラクターや世界観が入り交じることをどう説明するか?
(2) ゲームではないのに交流を長続きさせるためにはどうすればいいか?
(3) キャラクターが個室に行く理由がないとわざわざ行かなさそうなのをなんとかしたい(時間の経過と共にコミュニティが閉塞的になっていく問題

もう少し詳しく説明します。

(1) いろんなキャラクターや世界観が入り交じることをどう説明するか?
汎用性を重視し、あらゆる定期更新ゲームやAP性ゲーム、その他創作交流系の企画などのキャラクターを、さまざまなロケーション(個室チャット)で交流が可能なようにしなければなりませんでした。以前のようにうやむやにする、というのも一つの手でしたが、キャラクター間で共通した考え方のもとで邂逅するほうが自然で納得を得やすいかと思いました。

(2) ゲームではないのに交流を長続きさせるためにはどうすればいいか?
クリップチャット時代に、よく「ゲーム部分が無いと続かないから~」というご意見というか、参加されなかった方々の感想を耳にしました。
たしかにこれは言う通りで、ゲーム部分があるとゲームのコンテンツを元にロールプレイしたり、ゲームプレイの延長線上で交流したりするプレイヤーも多いため、あるいは他にも理由としてはあるかと思いますが、
ともかくコンテンツの拡張がないのでは話題や盛り上がりに劣り、長続きしにくいのではないかと考えました。

(3) キャラクターが個室に行く理由がないとわざわざ行かなさそうなのをなんとかしたい
個室チャットとはおおよそ閉ざされた空間に存在するチャットであり、それ自体が1つのコミュニティでもあります。この性質柄、「すでに時間が経過しているほどコミュニティが強固に固まっていて新しく入りにくい」「そうでなくても閉ざされた空間に足を踏み入れること自体に勇気が要る」のような問題を抱えていると考えました。

このように、蓋を開けてみれば課題がてんこ盛りで、どうやってクリアしていくかほとんどアイデア勝負に発展しました。


4. 初期案はボツにしたが、それでも続けたかった

最初の案として考えたのは、「時空の狭間」という案でした。なんじゃそりゃ!?
時間が止まった世界に連れて来られて、キャラクターはキャラクターが過ごした時間を消費リソース……つまりお金のようなものにして、時空間という個室チャットを買うというものでした。
そうすることで、この世界に長くいるほど個室チャットができて、いろんな場所が生まれる。なにより時空の狭間なので、世界観の移動も楽かなぁ……と考えました。

・・・が、残念ながらこの案はボツになりました。

欠点は主に2つありました。

1つ目は「設定がわかりにくいし伝えにくい」でした。正直こんな複雑な設定だったら、まだうやむやだったほうがいい感じに解釈できそうでした。
2つ目が重要で、「公開した後にアイデアを追加する余地がほとんど無さそう」でした。設定があまりにも複雑かつ強固で、これ以上何か発展させることが困難だと考えました。

何度かベースのアイデアをそのままにしながらアイデアを練り直していましたが、これに固執していると永遠に完成しない気がしたので全てボツにして1から考え直すことにしました。


5. ひらめきは突然に

(2)の解決にあたり、キャラクターが新しいコンテンツを開拓させられるようにできたらいいなと思い、なんとなくぼんやりノートにベースマップのようなものを描いてこれを拡張していく仕組みにしようかなと考えていました。
ただ、この仕組みにすると「なんだか冒険感があり、ゲームにしたくなる」と考えました。もっと、旅行感覚で気軽に行けるようなものがいいなと。

・・・そこで閃きました。「旅!旅をさせよう!」と!

キャラクターが簡易的な世界渡航のようなことができて、いろんな世界を「旅」することを目的にさせれば、すぐに課題のうち(1)と(3)が解決することがわかりました。
(2)も、旅に絡めた目標を設定することで解決しそうな予感がしました。
そこで、2つ目の案、つまり現在の「Clip Traveler」の基礎アイデアが誕生しました。

そこからは爆発的にアイデアが湧きまして、まず世界渡航機の役目を果たす「手帳」が思い浮かびました。手帳は、どんな世界観のキャラクターであっても大抵の場合手に持っていて違和感の無いようなアイテムだと思います。
そして旅の記録を書き出すにはちょうどいいのではないか?と考えました。

次に「クリップ(世界の切れ端)」というアイデアもすぐに浮かびました。
ただ手帳が単純に自由に世界を渡航できるアイテムだと、あらゆるキャラクターが持ちうることを考えると、場合によってはオーバースペック気味なのではないかと思い、機能を限定的にしようかなと。そこで、個室チャットを「世界の切り出された(クリッピングされた)一部」を基本的な渡航範囲にしよう、という風に考えてみました。クリップチャットの実質後継であることからも、なんかかなり都合の良いワードですね…

こんな感じで、「様々なキャラクターが」「様々な世界を渡り歩く」というシステムに、それっぽい理由をつけて味付けしてみました。
しかも、交流する相手は「手帳とは何か」をたいていの場合は把握しているので、ロールの取っ掛かりにもなりますよね。まるで「今日いい天気だね」みたいなノリで。事実、手帳やクリップの存在をかけたキャラクターのロールプレイが各所で見られ、非常に楽しげな感じになっています。

同時にこれらのアイデアからサイト名も「Clip Traveler(世界の切れ端を旅する者たちの意)」で決定しました。

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6. システムなどのこだわり

「Clip Traveler」はシステムをこのようなアイデアを元にして組み立てたのですが、交流しやすいようにさまざまな工夫を仕込んでいます。
今回はそのうち一部である「旅行記」について解説します。

長く楽しんでもらうために、何か目的があれば良いなと思い、「旅行記」という目新しい機能も盛り込んでみました。切れ端、要するに誰かが作ったロールプレイ用のルームで発言したりすることで、ルーム主が予め用意した「バッジ」を、画像と簡単な説明とセットで記録していく機能です。
わかりやすく言えば、自由に作ることができる「実績機能」です。一応、特典としてサイト内で使える拡張用ポイントも少量獲得されます。

これによって、「世界を渡り歩く」ことに「達成感」を感じてもらえるかな、と思いました。他人の旅行記が見られるようになっており、実装されたバッジの画像や説明を眺めていると「私もここ行ってみたいな!」って思うようになって、さらに旅をしたくなりますよね。

7. まとめ

「ゲームではないけれど、楽しみが循環するゲームのような仕組みを備えている」という、なんだか不思議な感覚のするシステムを持った交流サイトになりました。
今の所、私の想像を超えてたくさんの方々に使ってもらえているので大変ありがたく思います。これからもまだまだ楽しみ方を増やすようにアップデートしていきたいと考えていますので、末永くお付き合いください!
ここのところ定期更新ゲームやAP制ゲームが続けて登場していますので、合間や力を持て余したときなど、いい感じに使って貰えればと思います。

8. 余談 Stella Boardは…もう少しお待ちください

今もりもり実装を進めているのですが、まだまだ仕様がころころとサイコロのように転がっているようです。年末までに何かしら告知できたらいいなとぼんやり考えていますので、続報をお待ちいただければと思います。

お読みいただきありがとうございました。
おわり。

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