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オミクロン株に感染しました

●はじめに

1月末に陽性患者となり、自宅療養しました。
陽性の場合は保健所が自宅療養・入院療養を指示して健康観察するという流れですが、保健所がパンクしていて、発症から1週間経つまで電話はありませんでした。

発症〜療養期間のスケジュール

今は東京都が自宅療養者向けサポートセンターを開設しましたが、
「かかったけど、保健所からの指示がない場合どうすればいいのか」
「何が問題なのか」
を、当事者の立場から振り返りたいと思います。

※あくまで個人の経験によるものです。
※幸い私は軽症かつ家族のサポートを受けられたので大きな問題なく過ごせました。行政に積極的にサポートを求めれば受けられるのかもしれませんが、基本的に「受け身(連絡待ち)」であった私の場合の事例です。
※行政の方々が現場で最大限頑張っていらっしゃることは重々承知していますので、批判する意図は全くありません。あくまで当事者としての経験や思いの記録です。
※最後に改善を要望する点を載せておりますが、あくまで経験から感じたことです。

●基本スペック

  • 27歳女性

  • ワクチン2回摂取済み(モデルナ)

  • 持病なし

  • 東京都中央区在住

●オミクロン株の症状は?

PCR検査は「陽性」か「陰性」かしか出せないので、自分が変異株にかかっていたのかどうか実際はわかりません。ただし、感染拡大状況や症状から考えると、オミクロン株であった可能性が非常に高いです。

  • 喉の痛み【強】:オミクロン株の代表的な症状で私も強く出ていました。ピーク時は扁桃腺というよりは軟口蓋あたり?が腫れていました。ちなみに、発熱前から痛かったものの、慢性的に扁桃腺を痛めているので気にしていませんでした…。

  • 発熱【弱】:初日に38度台後半までいきました(解熱剤を服用した上で)。2日目以降はほぼ下がりました。

  • 倦怠感【強】:熱は下がっても数日続く。お昼寝しないと体力もたない程度には消耗していました。

  • 鼻・痰【弱】:3日目〜1週間目がピーク。

  • 咳【強】:3日目あたりから、気管支あたりがむずむずする感じがあり、咳が続いています(今も)。鼻が詰まっているので息苦しい感じもありました。咳き込み続けることはなく、肺炎というよりは普通の風邪程度の辛さです。

幸いなことに私は「軽症」患者でした。オミクロン株でも高熱が続く例も耳にするので、軽症の中でも「超軽症」に分類できそうです。

私はたまたまPCR検査を受けましたが、この程度であれば(そして1日で熱も下がったので)コロナではないと過信して隔離せずに過ごす若者は多いと考えられます。

抗原検査も陽性でした


●自宅療養までの流れ(1/24(月))

:同居家族が濃厚接触者になったことが判明しました。

お昼ごろ:念の為PCR検査を受けました。なお、濃厚接触者だった者を含めて家族は全員陰性。前日に会った人も陰性だったので、感染経路不明に分類されます。(可能性があるとしたらスーパーか電車…)

午後:PCR陽性のメールが病院から届きました。宿泊療養を希望する場合は保健所の指示を待たずに申し込める旨が書いてあります。

:PCRを受けた病院の医師から電話がきました。保健所には病院から連絡するので、詳しい指示は保健所から出るので待つように指示されました(病院が電話番号を伝える模様)。ただし、連絡まで2-3日かかるだろうとのことで、軽症であれば自宅療養のまま待機するように言われました。

病院から来たメールのスクリーンショット

●保健所から連絡がきたのは発症から1週間後・・・

  • 2-3日待っても保健所から全く音沙汰なく、1週間以上経過した2/1(火)にやっとかかってきました。

  • 陽性発覚のタイミングからSMSに「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」 の陽性登録依頼が毎日のように届きます。

  • 自宅療養者は毎日「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」を経由して体調報告をするようですが、この登録依頼はきたことがありません

●保健所から連絡が来ないと何が問題なのか?

  • 療養解除の許可を得られないことが一番大きな問題です。インターネットでは「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」とありますし、クチコミ曰く、この基準さえ満たせば保健所は自己判断での解除を認めているそうですが(結局私も10日経過したら解除するように指示されました)、やはり勝手に判断するのは気が引けます。

  • 症状が悪化したときにどうしたら良いかわからないことも悩みでした。今は東京都自宅療養者フォローアップセンターが開設されていますが、それまでは自分で調べて対応する必要がありました。かかりつけ医がいて、そこでPCR検査をしていれば良いのですが、私みたいに検査専門の病院で受けた場合は頼れません。

  • 保健所は初期に陽性者を入院させるか自宅療養させるか判断します。その判断に基づいて東京都の自宅療養者向けのサポートを受けられるようです。すなわち、保健所からの自宅療養するように指示がないと、東京都の食料サービス等を受け取る資格がありません。(今はフォローアップセンターが開設されたので変わっている可能性はありますし、保健所の指示を待たずに支援を受けられた可能性もあります)

  • 濃厚接触者の特定は保健所が行います。保健所から指示がないと濃厚接触者は公費負担のPCR検査が受けられません。(公費負担なら1回3,000円程度と安い)

  • 「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」すら来ないので、そもそも自分が陽性者に登録されているのかわかりませんでした。病院が連絡してくれているとはいえ、本当に情報が正しく伝わっているのか(漏れていないのか)は不安がありました。

すなわち、保健所からの電話がくるまでは全て「自己判断」「自助努力」「自己資金」で賄う必要がありました。

●保健所からの連絡では何を指示されたのか?

  • 現在の状況(体調や自宅療養についてなど)

  • 療養解除日のお知らせ(1/24発症者は発症日を0日目として10日目にあたる2/3まで)

  • 濃厚接触者の特定と、濃厚接触者の解除日(同1週間)

  • ピーク時の体温や今までの症状

  • 緊急連絡先(親族などの電話番号)

  • 身長と体重(理由は言われませんでしたが、緊急時の薬の処方のためでしょうか?)

  • 既往症があるか

  • 何かあれば東京都のフォローアップセンターに電話するように(電話番号も口頭で伝えられました)

保健所がパンクしているようで、保健師さんではなく事務職員さんからでした。
時間は10分程度で、症状などの聞き取りがメインでした。

疑問であった、咳の症状があっても療養解除OKと言われてよかった面もあった一方、
(症状やインターネットへのアクセスは千差万別なので仕方がないとは思いつつ)発症から時間が経ち、症状が軽快した人に対してここまで詳しく聞くこと、フォローアップセンターの電話番号をわざわざ教えることは効率的ではないかもしれません。

ちなみに濃厚接触者の待機期間は、電話があった前日に終わっていました(冒頭のスケジュール表を参照)
なお私より数日前に療養期間が終わった友人は、療養期間が明けた後に初めて電話がきたそうです。

●会社の対応は?

  • 東証一部上場企業の系列会社に勤務していますが、療養期間中は特別休暇を付与されました。

  • 療養期間中は在宅勤務不可でしたが、知り合いの会社では無症状であれば勤務できるそうです。

  • 最後に出社したのは発症6日前だったので(濃厚接触者の定義は発症2日前から)、社内でクラスター発生は避けることができました。

●自宅療養はどうしていたの?

  • 幸いにも自宅内に隔離できる部屋(ベッド・TV・トイレ・お風呂つき)があるので、発症日から自主隔離しています。発症後は同居家族との接触をしていないので、家族は7日目に待機が解除されました。

  • 食事・洗濯は家族が差し入れしてくれています。

  • 食事はすべて使い捨ての容器で終わったら捨てるようにしています。(普段は環境に優しいライフスタイルを心がけているので、少し心苦しいです笑)

  • 抗原検査キット・解熱剤・のど飴の常備がおすすめです。

母が差し入れてくれた朝ごはん

●外出等の政府からの管理はない

  • 陽性者の療養期間、濃厚接触者の待機期間中、外出自粛は個人のモラルにかかっています。

  • 海外から日本に帰国・入国した人は待機期間中に「入国者健康居所確認アプリ(MySOS)」で定期的に居場所を報告しますが、我々にはこのようなアプリはありません。

●所感

  • オミクロン患者になってみて、隔離体制の課題に気づきました。特に、「誰一人取り残さない療養体制の構築」が必要だと感じています。

  • 全体としては、現在の医療体制逼迫下では、ボトルネックは「保健所のパンク」だと思います。その背景に「デジタル化対応の遅れ」があり、そして保健所がパンクした結果、「社会的に支援が必要な患者」に行き渡っていない可能性があるのではないでしょうか。

  • 国・東京都・基礎自治体の分担や制度がわからない点も課題です。

●改善してほしい点①デジタル化

不便であった点は、ウェブの情報集約やシステム構築でなんとかなる点が多い印象です。

  • 情報の一元化、すなわち陽性者への指示や支援の最新情報がまとまっているWebサイトが欲しかったです。国・東京都・基礎自治体が様々な施策を打っていますが、どこが何を管理しているのかが一見わかりませんでした。また、どこからどのような支援を受けられるのか、全体の手続きのフローなどをまとめて提示してほしかったです。

  • 今回はとりあえず保健所からの電話を待つように病院から指示がありましたが、「どの支援は待つ必要があり、どの支援は待たなくてもいいのか」といった内容や、自治体によっては東京都の食糧支援が届く前の数日間の食料をサポートしてくれるなどあるそうですが「自分の住む自治体の支援がわかるWebページ」などがあると嬉しかったです。

  • 保健所からの電話の内容は症状や濃厚接触者などの基本的な情報に関する質問が中心でした。事前にウェブフォーム等に入力しておけば5分は短縮できると思います。
    また、問い合わせの電話もパンクしておりなかなか繋がらないという噂を聞きましたが、よくでる質問等(FAQ)はまとめて掲載しておくことも効果的だと思います。

  • 自分の情報が保健所に届いているのかが不安材料だったので、例えば病院から保健所に連絡するときに患者にも通知できるサービスがあると嬉しいです。

  • 保健所が逼迫している中では、保健所のWebページ等に「●月●日発症者まで電話かけています」等の進捗情報があると待つ時間の目安がわかるのでありがたいです。

  • 「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」等を活用して、勤め先の企業等にまで情報を共有できる仕組みがあるとありがたいです。発症日はいつか、何日まで療養期間なのか、保健所からどのような指示があったのかなどを企業に直接共有すると企業側も動きやすいと思います。

本人=病院=保健所=政府=自治体=企業が一気通貫で使えるウェブサービスさえあれば、保健所のパンクが軽減できる点は大きい印象です(あくまで患者の視点として、現行の電話ベースでは無駄が多いように感じました)。

しかし感染に関する重大な個人情報を取り扱うためにすぐにできるわけではないことも理解できます。

そのため、せめて保健所の電話待ちの情報開示程度であれば、少しWebページをいじるだけ(もしくは専用ツイッター等の開設)で済むのではないかと思います。

●改善してほしい点②支援が必要な人を十分にカバーできているのか疑問

  • 私自身は軽症+食事や洗濯など家族のサポートが受けられる+自宅で隔離できる施設がある+有休とれるので問題なく過ごせていますが、どれか1つでも欠けていると過酷だと思います。

  • 今は東京都のサポートセンターがあるので状況が変わっているかもしれませんが、保健所から自宅療養の指示を受ける前から支援を受けられる体制づくりが必要です。

  • どのようなサポートを受けられるのか、自分で調べるしかありません。(東京都のサポートセンターに電話すれば指示をもらえるかもしれませんが)各々の事情に応じたきめ細やかな支援がどこまで受けられるのかが(少なくとも私にとっては)不明瞭です。

  • 「自助・公助・共助」でいうと、私は「100%自助」で過ごしました(少なくとも私はPCR検査も自費で行い、食料やパルスオキシメーター等なく自宅で過ごしています)。「公助」がパンクしている今、支援にいかに「共助」を組み込むのかが課題であるようにも感じました。

●改善してほしい点③こんな支援あったら嬉しいな(Uberのクーポン)

  • 私欲も入っていますが(笑)、(食材届かないのであれば)自宅療養者向けにUber Eats等の食事宅配サービスのクーポンを行政が配布してくれたら嬉しかったです。
    社会的意義としても、(もちろん配達員の方の感染予防を万全にしたうえで)感染防止策で影響を受ける地域の飲食店×療養者支援でうまくマッチングできると食材配布より経済効果がありそうです。
    (あくまで食材の配達が不要かつ、症状が軽快しており経済的に余裕のある陽性患者が対象になりますが。クーポンといっても全額というより経済状況に応じて●%オフなどで十分だと思います。)

●おまけ

  • 隔離9日目に抗原検査をしたところ「陰性」でした。さすがに9日目にはウイルスはほぼなさそうですね。
    怖いので陰性を証明するためにPCR検査も受ける予定です。

抗原検査結果(陰性)



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