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もうすぐ80歳になる父にYouTubeをプレゼントしたら毎日が楽しくなった件

父は、パソコンができない。
もうすぐ60代になるという時、仕事でパソコンを扱わなくてはいけなくなった。それまで触ったこともない、初心者である。
私の指導のもと、パソコンの基本動作を学んだが、これが一進一退の大攻防。教わって覚えたはずのことが、次回には忘れている。
その後、父は仕事を離れ必要なくなるとともにパソコンには全く触らなくなってしまった。今、スマホを使ってはいるがほぼ電話とSMSのみの利用である。

母は、メールをしたことがない。
母の日にプレゼントしたガラケーを10年使い続け、先日機種変したときにスマホを進めたが頑なに拒否された。
携帯電話の使い方も、私が繰り返し教えて使えるようになったがそれは電話機能のみの話。メールの仕方は、いまだに覚えていないので母のメールボックスにはいつまでも返ってこない、見られることもないメールが蓄積されている。

もちろん、テレビ番組の録画予約などもしたことがない。FAXはなんとか使えている。そんな二人の住まいに、YouTubeである。すごいでしょ?

きっかけは、近くに住む私の家にリフォーム工事の立会いで来てもらったこと。私は仕事で家にいられないので、時間のある両親に家に来てもらったのだ。我が家のテレビにはamazonのFire TV Stick が接続してあり、これでよくYouTubeを見ている。暇つぶしになれば、と試しにリモコンを渡してみた。

キーワードを打ち込んで、検索をして、欲しい情報にたどり着く。
私たちには当たり前のように思える作業が、機械が苦手な高齢者には難しい。父や母にはできないだろうな、と勝手に思い込んでいた。

確かに検索入力はハードルが高かった。
でも、音声検索を試してみたら‥すんなりできた!
その手があったかという感じ。目からウロコが落ちた。
 
それで、父の日のプレゼントとして実家にFire TV Stickを贈ることになった。

父は音楽が好きだ。小さい頃、ドライブへ出かけるとき車の中ではABBAやカーペンターズの音楽が流れていた。タンゴやクラシックが流れたと思えば、次はチョーヨンピル。ジャンルも多彩だった。
だからどんな音楽でも、聞きたいものが即座に目の前に、しかも動画で現れるYouTubeは父親にとって驚きだったらしい。初めて音声検索したのは「竹内まりや」だった。竹内まりやの動画がずらりと並ぶ画面を見て、父は嬉しそうだった。

母は山内恵介が好きだ。毎年コンサートやディナーショーに欠かさず出かけ、CDは全て持っている、熱心なファンだ。ラジオやテレビの出演も必ずチェックしている。もちろん録画なんてできないので全てリアタイ視聴だ。
それが、いつでもすぐに見られるなんて!母も驚いていた。

日々の生活の中に、あっという間にYouTubeは根付いたらしい。
最初は音楽の動画を見るばかりだった父は、いろんな事を検索しだした。
趣味である卓球の動画、好きなボクシング選手の名勝負、旅行に行く前に目的地のグルメ情報やお花の開花情報を検索したり。
母は、父がいない時にゆっくり山内惠介の動画を見て楽しんでいる。

「お母さんがいるとうるさくてゆっくりYouTubeが見れないんだよなあ」
我が家に来たとき父がこうこぼしていた。「それきっと、お母さんも思ってるよ笑」すごく意味のある贈り物だったなあ、と実感した。

スマホやタブレットで見るのではなく、テレビという慣れ親しんだメディアでいろんなコンテンツが見れるということに意味があるのだと思う。
特に、操作に慣れていない高齢の人にとっては。
でもそういう人にこそ、インターネットがある事で便利に、毎日が楽しくなることがたくさんある。

ITに気軽にアクセスするための、「音声検索」みたいなシンプルな仕組み。それがどんどん広がっていけば、おじいちゃんやおばあちゃんも家にいながら食材を注文して届けてもらったり、家事サービスを頼んだり、病院を予約したりできるのになあ。と思う。

とりあえずは両親とITとの「接点」を見つける日々だ。

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