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145. 売りものみたいな恋をした
『花束みたいな恋をした』を観た時、正直に言って、私は自分や大学の友人たちは随分と幸福だったんだ、と思った。例に違わず追い立てられるように大人になり、趣味嗜好の完全な一致(そもそもそんなものがあるとも思えないが)を運命と思うには素直さを失い、しかし、「変わっているね」と言われて喜ぶほどには自信に欠けていなかった。
夏休みに花火、水族館、夏祭り、BBQ、海、山、と予定をこなしていたことがあった。文
138. 北の方へ(4)
前回の続き。今回の旅の主目的、白神山地です。
人生に疲れた社畜OLが一人で白神山地に行ってきた!などと銘打って書けばいいのだろうが、そんなのは日々のキンロウと自然へのボウトクなので、正直にいきましょう。タグ付けによって摩耗するものを考えないことの危うさ。最近はそればかり考えてしまう。
以前、仕事関係の本で資料のまとめ方見せ方云々を説明したものを読んだ。各観光地への期待の高さと、実際に訪れた時
137. 北の方へ(3)
怒涛の12連勤のため、ついに更新を途絶えさせてしまった。誠に無念。しぶとく生きております。
前回の続き。
旅先では早寝早起きに限る。というわけで開店
早々、のっけ丼に押しかけ「私の考える最強の海鮮丼」を作ることにした。2000円分の食券を買って、ご飯をもらい、色んなお店から海鮮丼のパーツを買い集めて乗せまくり、オリジナルの海鮮丼を作るというシステムである。人間様の欲を大変よく理解されている
136. 北の方へ(2)
先週の続き。人のはけた頃合いを見計らって大きなおばさんの手に浮き上がる精緻な血管を観察したり、オノヨーコの念願の木にカラスが止まって林檎をつつくのを眺めたりした。動物たちに忖度はない。
栗林隆の『ザンプラント』はこの季節に心地良い作品だった。忖度のある方のアザラシと見つめ合う。お盆の少し前だったため、後ろからせっつかれることもなく、湿地帯を堪能することができた。
レアンドロの作品は離れで展
135. 北の方へ(1)
人付き合いを避けるために都会に住み、人ごみを避けるために田舎へ繰り出す。これ地味に一番お金と時間がかかる。人間から受けたストレスは人間の少ないところで洗い流すしかない。
一人旅もこれで3回目だった。日帰りで遠出することは多々あったが、泊まりはまだ数える程度しかない。軽井沢へスキーとスノボをしに行った時と、八丈島へサイクリングと山登りをしに行った時、そして今回は青森へ海と山を見に行く。東京より