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第14回 #俺達の少女A 投稿メモ|水本ゆかりのフルート音源

ごきげんよう。ねこのひたいPです。

このたび「第14回俺達の少女A」に音源を投稿させていただきました。初めての音源制作、初めての投稿だったにもかかわらず、2日目(2020年5月9日)放送の「ボイスあり部門」にて採用され、恥ずかしながら皆さまのお耳に届くことになりました。本当にありがとうございました。

俺達の少女Aとは……アイドルマスターに登場するアイドルの魅力をアピールするため、3分以内のプレゼン音源を事前に募集、生配信で紹介する大人気企画です。

さて、いざ「音源を投稿したい!」となった時「原稿ってどれくらいの量を書けばいいんだ!?」「みんな録音ってどうやってるの???」といった細かな疑問に複数出くわしました。

そこでこの記事では備忘録を兼ねて、僕はこういう風に音源制作をしましたよ、ということを順を追って述べていきたいと思います(音源の内容自体にはあまり触れません)。

今後俺達の少女Aへの投稿を検討される方のわずかな一助になれば幸いですし、もしそうなったら嬉しさのあまり震えすぎてフルートになります。

※記事最下部に付録として、音源の原稿(決定稿)を掲載してあります。

1. 着想

前回の第13回(3月20日)を初めて聞いた時から「投稿してみようかなあ…」と思っていて、それから「第14回俺達の少女A告知生」(4月13日)を聞いた時に「投稿してみてえ〜〜~〜(そしてあわよくば採用されてえ~~~~~~)」となり気持ちが固まりました。

投稿するのであれば、担当アイドルは水本ゆかり一択でした。

アイドルが決まったなら、プレゼンで採用を目指すにはどうすればいいか、現状分析が必要でした。そこでまず過去の音源をリサーチしました。

水本ゆかりの音源を数多く制作しておられるやーまPの作品はプロの犯行ではないかと思うほど完成度が高く、正面切って戦うのは分が悪いと感じました。そこで至った結論は、僕は僕なりに何かしらのオリジナリティを出すしかないということです。つまり「切り口」で戦うしかない。「今までやっている人があんまりいなくて自分であれば出来る」やり方を考えたときに、ああこれはもう俺自身がフルートになるしかない。そういうことになりました。

逆に言うと、自分自身がフルートになると決めた瞬間に音源のビジョンが浮かんでしまったので「これはもうなんとかして世に出す以外に道はない」ということで、この初期衝動が投稿を後押ししてくれました。

※「歓喜の歌」を歌うのはこの時点でほぼ決まっており、テキストにも何かフックを入れたほうが面白いだろう、という大体の構想も、告知生があったその日の夜に考えました。

2. 原稿作成

告知生の翌日から、熱が冷めないうちにとにかくアウトプットしなきゃ!ということでなりふり構わず、ひたすら書いて書いて書いてペンを振るって(フルートだけに)最後まで書ききって、まずこれが初稿になりました。

その後は土日の休みにゆかりさんのコミュや台詞を一つ一つ見返して水本ゆかりが一体どういう子でどういうアイドルなのかを改めて確認し、自分の中へ落とし込みました。実のところ、僕はあまりしっかりコミュを見ない人間です(だからこそ正面切っての戦いでは歴戦の猛者達に勝てないだろうと思っていた)。

それでもこのアイドルと向き合う作業は大切で、頭の中でなんとなくのイメージでしかない水本ゆかりの魅力をちょっとでも言葉で他人に伝えるための指針になったと思います。あとこれはさらに大事なことですが、改めて「ゆかり好き……」「フルートになりたい……」って震えた。フルートだけに。

ここでもう一度原稿に戻り、音源で何を伝えたいかを整理し、微妙な箇所をボツにしたり新たに書き加えたりということをやります。これは結局1回の土日休みでは終わらず、次の土日休みを費やして平日の夜も費やして、なんとか納得のいく原稿が出来上がりました。三校くらいかかったと思います。最終的に初稿はほぼ全面的に書き直されました。

(余談:初校段階ではフルートはウィーン生まれでドイツ語を話すという設定がありました。しかしドイツ語翻訳やドイツ語発音のリサーチなんてやっていたら明らかに投稿期限に間に合わないため、熟慮の末却下しました。やってみたかった)

またラストに入れる「歓喜の歌」の尺が約35秒で、テキストに費やせる尺は残りの2分25秒。もとの文章量が多かったため、このテキスト量の調整には本当に悩みました。勢いに任せて早口でまくし立てるように喋って無理やり文字数と情報量をぶち込むって手法もあると思いますが、あいにく僕は滑舌がよくなく、それに加えて「フルートって多分ゆっくりめに喋るよな……」という確信があったので、伝えたいことの絞り込みが必要不可欠でした。

僕のケースでは2分25秒で900文字を切るくらいが望ましい分量かなと思いました。また実際に音読してみて尺を計るのがベストだと思うのですが、家で堂々と朗読するのが憚られたため、普段ゲーム配信で使っている棒読みちゃんにテキストを突っ込んで喋らせて、だいたいの秒数を把握。その上で原稿を校了にしました。

以上の原稿執筆、及び推敲は音源制作の中で最もエネルギーを注いだ部分だと思います。ネタに分類されるタイプの音源ですが、勢いだけに任せるのではなく、細かな検証と修正を何回も何回も行いました。

こういった作業は基本的に自分が納得するまで終わりがないので、ある意味自分との戦いと言えます。

3. 録音

前述の通り家で声を出すのが憚られる環境(家族が同居していて声を聞かれるのが恥ずかしい)なのと、車の音などの外部音が入るのが嫌だったので、どこか録音場所を探す必要がありました。

ネットで調べた結果、「布団をかぶってその中で録音」「カラオケ」「河原」「音楽スタジオ」「公民館」「車の中」など色々な選択肢がありましたが、その中でも快活CLUBの「ワンツーカラオケ」が最適に思えました。

しかし時は2020年4月下旬。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて、街はどこも自粛の構え。カラオケ店の営業は全滅、目星を付けていた店舗もカラオケの営業を休止していて、やべえ、このままではどこかの山奥まで行って車の中で録音作業をする羽目になると思ったのですが、別の店舗に電話してみたら「営業してますよ~~♪」って店員さんのめちゃくちゃ軽い声が返ってきて、あっさり場所を確保できました。快活CLUB、みんなも行こう!

ワンツーカラオケは2~3畳くらいの部屋で、壁に音響用の小さな穴が開いていたり、出入り口がしっかり密閉されて音漏れがしにくくなっていたりして、録音するのにまさに最高の環境でした。

【持参したもの】原稿のプリントアウト、筆記用具、ノートPC、マイク付きヘッドホン(Razerのゲーミングヘッドセット)、昔買ったICレコーダー(録音のバックアップとして)

この辺は既に持っている機材でなんとかなるだろうと。配られたカードで勝負するしかないってスヌーピーも言ってましたし。

ノートPCでの録音・編集にはAudacityというフリーソフトを使いました。操作に多少慣れが要りますが、機能に不足はないと思います。

そうして原稿の読み上げ、録音を始めていくわけですがこれも一筋縄ではいかなかった。まず声がうまく出てこない。もともとあまり聞き取りやすい声ではないし、そもそも声に関してはまったくの素人です。これはもう何回も繰り返し発声して慣れていくしかないと感じました。

次に特定の文字の発声が物凄く苦手なこと。僕の場合は「き」の発音が綺麗に出ないことが録音の場で初めて分かりました。やむを得ず、校了になった原稿に手を加え、自分が発音しやすい文章にその場で改稿しました。また尺が本当にどうしても足りなくて本来は入れるはずだった文言を泣く泣く削ったときはさすがに手が震えました。フルートだけに。

PCを持って行ったのは正解でした。本当に捗りました。簡単な尺詰めならそこで出来てしまうし、録音と同時に尺が足りているかどうかを確認できるのは無駄な録り直しを避けられて良かった。最終的に語りかけの部分は6テイク、歌唱部分は3テイクで終了しました。(2時間半くらい)

ある程度録った時点でここにさらに時間をかけてもクオリティは上がらない感じがしたので「もうこれ以上は録音しないぞ!」「ここにある素材だけでなんとかするぞ!」という気持ちを込めて、最後にX JAPANの「紅」を絶唱してしっかり喉を潰して帰宅しました。(デレ7th大阪、最高だったよね……)

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4. 音声編集

投稿期限は5月1日の23:59でしたが、余裕を持って投稿したかったので録音したその日(4月29日)に編集・投稿まで終わらせることにしました。

素材は原稿の最初から最後まで通しで録音したもので、複数あるテイクの中からベースとなる素材を選び、その中で微妙な部分を他のテイクから切り貼りしていく、という作業をしました。同じ環境下での録音でもテイク毎に音量が微妙に違っていたりするのでこの辺は出来る範囲で整えていく。

またブレス音・リップ音といった雑音が、発声する直前に発生していました(発声だけに)。これも一つ一つ消していきます。外部音が入らない静かな環境で録音したおかげで違和感なく消せました。みんなも行こう、快活CLUBのワンツーカラオケ!

語りかけ部分はそのままだと何か物足りない感じがしたのでリバーブをかけました。「お風呂で録ったの?」「コンサートホール?」ってコメントがあったのはそのせいだと思います。(フルートが貴方の心に直接語りかけているので、あのリバーブは演出の一部です)

そして歌唱部分のオケを追加したり、全体の音量バランスをああでもないこうでもないと繰り返し調整して、遂に完成しました。

5. 投稿

Audacityから音源をmp3で書き出してチェック。歌唱部分に音割れが発生していたので修正して2回くらい書き直しました。最終チェックは大事です。

僕の場合、画像については新たに編集したり合成したりする必要はなかったため、ゆかりさんのデレステSSR「音色を抱きしめて」特訓後画像(これいいよね……うん、いい……)をサイズだけ調整。

ねこのひたいP_水本ゆかり

メール送信前に改めてレギュレーションを再読して、間違いがないよう確認しながら投稿。あとはなんとか採用されるよう、偉大なる音楽の神様に祈るだけです。

おわりに

マジで全力で、フルパワーで作りました。(フルパワー=フルートパワー

冗談はさておき、正直、原稿を書いている途中でしんどくなってしまって「やっぱり投稿するの、やめとこうかな…」と思うことがありました。でもせっかくのアイデアを投稿しないままにしてしまうのは、今後絶対に必ず間違いなく後悔する!と自分を奮い立たせて(フルートだけに)、最後まで完成させることが出来ました。

重ねての冗談はさておき、第9回シンデレラガール総選挙にあたって水本ゆかりさんに少しでも何か貢献したいという思いが叶って(去年初の49位ランクインという快挙を成し遂げたんだからもっともっと上げたいじゃないですか!)本当に良かったです。

音源が放送で流れた時は皆さんの反応を見るにつれ「やり切った!」って気持ちと「あれもこれも足りない、もっと出来たな……」って気持ちの両方がふつふつと湧いてきました。出来るなら次回も投稿したいと思っています。

最後に、このメモが今後投稿を考えている人の参考になればこれに勝る喜びはありません。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。君もフルートになろう!

付録(「水本ゆかりのフルート」音源 決定稿)

ゆかりと私が出会ったのは、彼女がまだほんの小さな子供の頃でした。
真面目で立派なご両親に育てられたゆかり。
ある日彼女はご両親の勧めでフルートを習うことになりました。
ゆかりと私はそうして出会うことになったのです。

失礼、自己紹介がまだでしたね。
私は水本ゆかりが愛用しているフルートです。
「まさかフルートが喋るなんて!」そう思っていませんか?
今私は偉大なる音楽の神様の力をお借りして、皆さんの心に語りかけています。

幼いゆかりと初めて演奏会に出たとき。
私を握るゆかりの手、その小さな手は、震えていました。
つられて私も震えました。フルートだけに。
しかし一度舞台に立つと、ゆかりはしっかり前を向き、堂々と私を奏で始めました。
ゆかりはとても強い子です。
私はそれを誇らしく思っていました。

ゆかりがアイドルになると知ったとき、私は動揺しました。
フルートケースの中で震えました。フルートだけに。
今までとまったく別の世界に飛び込むゆかり。
私は心配でした。

しかしそれは杞憂でした。
アイドルになったゆかりが私を奏でるとき。
リードに吹き込まれる息。
キイを押さえる指。
そのひとつひとつに以前のゆかりになかったものを感じるようになりました。

皆さんが見ているこの写真。
アイドルとして舞台に立ち、初めてフルートを演奏した時の写真です。
この舞台に上がる前も、ゆかりの手は震えていました。
つられて私も震えました。フルートだけに。
しかしそれは初めての演奏会のとき。
あのときのように緊張したからではありません。
演奏を終えた彼女のこの顔を見てください!
ゆかりはこの舞台が楽しみで仕方なくて、ワクワクして震えていたのです。

ゆかりは強い子です。
新しい世界に飛び込むのは楽しいことだと、ゆかりが教えてくれました。
この喜びを伝えるために、今日は歌を歌ってみたいと思います。
偉大なる音楽の神様、演奏をお願いします。

(以下、歌唱。交響曲第9番第4楽章より)

水本ゆかりのフルートに生まれ
彼女と奏でる音は喜び
アイドルの世界で美しくあれ
水本ゆかりの音は喜び

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