マガジンのカバー画像

14
運営しているクリエイター

#白川烈

咲かない桜の木の下で。

*桜の木が、そこにあったとする。
一本じゃない。群れで、数本、数十本、桜の木が生えている。そこは毎年、人気のお花見スポットで、春になると人が集う。酔っ払いからちびっこまで、いろーんな人たちが桜の木の下、駆け回ったり座り込んだり、桜の花びらを見るのもぼちぼちに、楽しんでいる。

桜は春、すこしのあいだだけ咲いている。それ以外は散って、「あれ?これ桜の木だったっけ?」なんて言われたりする。桜は、花が咲

もっとみる
応援歌というぬるま湯

応援歌というぬるま湯

つい先日、「ダンディ倶楽部」という会を発足した。ダンディ倶楽部とは、ダンディさを追い求めるという、いかにもダンディじゃない人たちが集まるような会である。先日の議題は「自分よりスゴい年下と出会ったときに、どうやって自分を慰めるか」であった。この議題の発端は、たしか「嫉妬をうまくあこがれへと昇華できますか」だったと思う。

「正直、自分よりスゴいと思う年下にまだ出会ったことがない」やら「美味しいものに

もっとみる
「聴こえないものが、聴こえるようになりますように」

「聴こえないものが、聴こえるようになりますように」

「聴こえないものが、聴こえるようになりますように」

立ち飲み屋で急に始まったシンガーソングライターの歌に出てきた歌詞だ。「ように」という表現が続けざまに二度使われているので、こうして言葉に興してみると違和感があるけれど、好きな日本語の使い方だな、と思う。文法的にはまちがっていたとしても、ニュアンス的にはまちがっちゃいない。「聴こえますように」とは、ちがうんだ。と、自分がつくった歌詞でもないくせに

もっとみる