Kさんを頼る職員達
職員よりも職員の様なKさんには下膳だけでなく、食後のテーブル拭きや車椅子の利用者さんを部屋から食堂、食堂から部屋に移送してもらうなど色々とお世話になっている。
利用者さんであるKさんのお世話をするのではなく、お世話になっているのが職員の共通理解である。
夜勤明けは起床時間の6時頃から利用者さんをベッドから車椅子に移乗させ、食堂に連れて行く業務( 起床介助 )が始まる。
人によってやり方が異なるが、私は奥の居室から順番に起こしながら食堂に向かっていく。
居室から食堂までを毎回往復するのは時間がかかる。
一度に車椅子2台を操作して進めば往復時間が短縮できると思うが、職員が1人で車椅子2台操作するのは『 やってはいけない介護 』と言われている。
1台の操作に気を取られてもう1台の操作や注意が疎かになり、事故りやすくなるためである。
そのため、手間でも一台ずつ移送しなければならない。
そこでKさんが活躍する。
利用者さんの手足が車椅子から落ちる危険がなく、きちんと座っていられると判断した場合、事故の危険性はとても低いため居室から食堂に移送をお願いする。
夜勤明けの職員は2人。
そこに移送してくれる人が加わると仕事が早く終わるのは言うまでもない。
何もなくても時間がかかる起床介助ではあるが、中にはオムツが吸収しきれない程のおしっこを朝方溜めて出す人がいるため、濡れた衣類やシーツなどの交換をすると更に時間がかかる。
そのため、Kさんが手伝ってくれるのは時間にゆとりができるためとてもありがたい。
私だけがお願いしているのかと思っていたが他の職員も頼っている。
聞くところによると、頼ってくれる職員の時は起床時間前に暗い廊下でスタンバイしており、
廊下の電気をつけてからの起こす作業の開始と同時に職員の側に現れて利用者さんを移送していく。
利用者さんの席をきちんと把握しており、誰をどこに連れて行くのか分かっている。
本当にありがたい存在だ。
職員の起こしがもたついている時や終わりそうな時は食堂でおしぼりを配っている。
誰が教えたのかはわからないが、利用者さんがKさんにおしぼりを依頼し、Kさんが渡していた。
麻痺のある人には丁寧にビニールから出して渡しているので驚いた。
毎日夜勤明けの業務ありがとうと常に思う。