
生きるための実験 第三話 こぼれ話
生きるための実験3話が公開されました!きのこ狩りや野草、工作など身のまわりにあるもので楽しんだ、という話です。無料公開は9月15日までとなっています。
今まで書いてきた自分でつくることのおもしろさのレポート記事についてのマガジンがあり、きのこ狩りや野草などについてここにまとめています。
以前つくった押し花の動画もあります
好きなエッセイ
記事のために文章を書き始めたとき、「自分はどんな文章が好きなのか?」と思い、手元にある本をぱらぱらと読んで考えてみました。というわけで好きなエッセイとその一文を紹介します。
旅をする木 星野道夫
やわらかな四月の風が、張りつめた冬の大気を、季節に耐えた人々の気持ちを、ゆっくりとほぐしてゆく。太陽のぬくもりで、春の気配で、たとえたまゆらでも人は幸福を感じることができるのはなぜだろう。
読んでいると自然の美しさ、きらめきの情景が思い浮かんできます。また、自然に対しても、人に対しても、悲しさ、さびしさ、わびしさ、についても、その眼差しがとても丁寧で温かく、胸に響くのです。
こころの旅 須賀敦子
きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。
須賀敦子さんといえば、イタリアが舞台のエッセイが多いのですが、私は彼女の幼少期のころの話や、家族の話が好きです。子供の純粋な眼差しや、家族に対しての物悲しく、でも優しい思いが、やわらかで瑞々しい。
巴里の空の下オムレツのにおいは流れる 石井好子
そとがわは、こげ目のつかない程度に焼けていて、中はやわらかくまだ湯気のたっているオムレツ。「おいしいな」、私はしみじみとオムレツが好きだとおもい、オムレツって何ておいしいものだろうとおもった。
読んでいるとお腹が空きます!石井好子さんの食べ物にまつわるエッセイなのですが、食べ物の描写がとてもおいしそうで、想像力が掻き立てられます。
玉子ふわふわ 早川茉莉(編)
目玉焼きというのはどうも食べにくい料理である。〔中略〕まわりの白身をどんどん切り取って食べてしまう。最後に黄身だけが丸く残る。こいつを右手に持ちかえたフォークでそろりと口に運ぶ。これは見ているほうがはらはらしてしまうし、第一、フォークを右手に持ったりするところが、どうにも怪し気な感じだ。 (目玉焼きの正しい食べ方 伊丹十三)
37人の作家による玉子についてのアンソロジー。私は食のエッセイがすきだなあ。しんみりした思い出話から、おかしくて笑ってしまうものまで、とにかく読み応えがあって楽しいです。
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というわけで好きなエッセイ4冊でした。ほかにも好きな本はいろいろあるのですが、眼差しや文体がやわらかいものが好きです。あと食エッセイでは現在手元に無いですが「貧乏サヴァラン 森茉莉」も好きです。
さて今回の連載の挿絵です。
(足もとはにぎやか)
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