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【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 秋の部⑤

出ました。秋の最終版。
姐さんのヴァカンスも始まります。

三羽 烏さんの企画も続行中。

令和版百人一首 恋の巻 〜 秋の部。

さて、恋の行方は?








どんぐりをひとつふたつとつまみ上げ
耳くすぐるは百舌の高鳴き


                         三日月 巴



✤ ✤ ✤ ✤ ✤




 何の因果か知らないが、徳次の叔母は代々赤坂に住んでいた。徳次も幼少の頃にこの叔母の家へ預けられていた時期があり、見附、乃木坂、青山辺りは庭と駆け回っていた。その頃徳次は今は学区整理と生徒減少で消滅した檜町小学校へ通っていた。「シュワッチ」な少年向けテレビドラマの撮影があった場所である。確か校舎の屋上からはテレビ塔が間近に見えた。
 そんな感傷に浸りながら新橋の烏森神社を横切る。見慣れた境内で五円玉を投げ入れ、踵を返すと足元にどんぐりの実が落ちているのに気付き、ひとつふたつと手の平につまみ上げた。
「あぁ、文香。」
どんくりの尻にさえ文香を重ね、そのつんとした先を見つめ思わず口へ頬張りたい衝動に駆られる。ぐっと握りしめながら目を閉じれば浮かぶしなやかな裸体。真面目一徹脇目も振らぬ往復の日々に、神は極上の贈り物を与えたり。銀杏の落葉はらりと舞って耳をくすぐる百舌一羽。今夜も文香の高鳴きはこんなか。





✤ ✤ ✤ ✤ ✤





只今おフランス脱出中につき、御免。

あはん♥




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