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夏が迷っている


秋服が届いたから、着てみたら夏。どうしてこんなに蒸し暑いのか。数週間前は朝晩涼しくて虫の音が心地よくて、あまりにも愛おしい秋のことを思い出していたというのに。夏が迷っている。

まとめ髪に籠る汗に夏の匂いはするだろうか。部活に向かう男子高校生の制汗剤とか、蛍光色の運動靴とか、リュックのポケットに突っ込まれた飲み終わりのウィダーインゼリーとか、そういうものの方が、夏だって、ね。

恋人の家から駅へ向かう途中、大きく開けた公園がある。名前のわからない濃いピンクの花が大きな木の枝先に咲いていて、生ぬるい風でそれらが散っていく、綺麗な道だった。春かと見紛うほどに、


noteにいる人たちの何人かが足を運んでいる白い世界は、私も今年の初めに直接触れた神聖な空間、二時間弱で、少しだけ自慢気な気持ち。いやらしいね。よくない。
でも私、あの日の貴方をこの瞳で直接見られたこと、いつまでも大切に生きていきたいの。


気づけばあっという間に一年を駆け抜ける勢いで、私が駆け抜けていったのか、年月が駆け抜けていったのかはわからないけれど、私、ちゃんと日々を愛しんでいましたか。

今年も愛に悩んで、改めてこれは恋だ、愛だ、逆に、まだ愛だとは言えない、もう恋とは言えない、とか。逆説的に小説になっていくような人生であれば、私はずっと貴方に祈っていられる気がするのです。
恋に流され今まで生きてきて、私の人生は随分歪んだ気がしています。歪んだのか修正されたのかよくわからないけれど、それでも心に代替品はなく、その美しさと強さだけである種生きてこれたような。

恋が痛い、夏が暑い、キウイと梨が美味しい、汗をかいて、何かを腐らせて、いつだって誰かとの関係を見つめていることってこんなに恐ろしく尊いことだったんだと、今は知っている。

結局私は誰がどれだけ隣にいようとも勝手に寂しくなって勝手に拗ねて悲しくなってしまうのだな、どこまでも独りよがりだな、と悟る夜もある。心身共に寝苦しさから解放されようと扇風機の前でnoteを書き記しても、寝苦しいのは暑さのせいではきっとなくて。いつしか薔薇の棘で本当に血が滲んだように、狂気と日常は表裏一体であるように、拭えない寂しさに生かされている馬鹿な日々。私は貴方が好きですが、貴方はどうですか。を何度も何度も繰り返して、人生はまだ終わりそうにない。

それでもいい。見つめ合っても、向かい合っても、そうであればあるほど勝手で、独りよがりで、ずっと、孤独。孤独を選んでもいいと思えるほど、私は貴方のことを愛しているのです。ただ、それだけ。



ああ、気づけばまた話が逸れて、だけれど、逸れた道で出逢ってくれた貴方がいるならば、私はこの人生を好きになりたいと、思います。



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