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先生から聞いたリアルな財政事情(スペイン語留学/グアテマラ)

2023年11月、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。
パートナーと共にだいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。

※現在グアテマラの古都アンティグアにて2ヶ月間のスペイン語留学中である。


授業での雑談が興味深い。
4時間の授業のうち、1時間は雑談をしている。
グアテマラのいろんな現地情報がリアルな温度で感じることができる。

ここアンティグアは治安がいい。
3年くらい前に監視カメラと警察の呼び出しボタンが街に設置されて強盗やスリが格段に減ったらしい。

一方首都であるグアテマラシティの治安は悪い。
先生と話していてどの国も首都はどこも悪いよね、まあ日本は例外だけど。
と言われた。

東京の治安かあ。
まあ、新宿とか?よくはないかな?
って思ったけど別に殺人も強盗もほぼないしスリもあんまない。
あるといえばぼったくりと若者の売春とかかなって話しをしつつ、
問題ではあるけど観光客からしたらあんまり影響ないし、特に海外の人に話すほどのことではないなと思った。

世界的に見て治安が悪いところにいる若者といえば薬物乱用、殺人とか強盗が問題になっている。

日本でも凶悪な事件はあるが件数で言えばかなり少ない。
そう思うと日本の治安の悪さについて特に話すことがないなと思った。


別の日、先生と話していて日本で物を盗まれることは少ないけれど、傘とチャリだけはめっちゃ盗まれるって話で盛り上がった。
あるじゃん話すこと。ちっさいことだけど。

「日本ではスマホも財布も盗まれる心配はそこまでないけど、
傘とチャリはすぐなくなる。高価じゃないから罪悪感なく盗る人多いんだと思う。」
って言ったら先生は
「日本の泥棒、優しいじゃん!」って笑ってた。私も笑った。

確かに。優しいかも、いや、優しくはない。
すごいお気に入りの傘を盗まれたことがある。
10年以上前だけど許してないからな。

ところで私たちは資金調達のために来年、カナダで働くことにした。
中南米を周ってそろそろアメリカだ!って時に気づいた。
お金が足りない。
一旦稼ぐ必要がある。
働く場所をカナダにした理由は英語圏であることと世界一周のルートの通り道だからだ。

授業中、寒いところが苦手だからワーホリするならオーストラリアがよかったなー!なんて話を先生にした。
先生は
「ビザ取れてよかったね!グアテマラの人はワーホリの選択肢はないからねー」
と言った。

私はここで初めてグアテマラの財政事情について考えることになった。

グアテマラの平均月収を聞いた。
日本円にして7万円しないくらいだ。(2024年6月現在)

家賃は場所によるが月10万円くらいでほとんどの人は払えない。
両親が昔買った家に家族で住み続けることがほとんどらしい。

滞在していて思う。
月収の割に物価が高い。ここアンティグアではランチ一回1500円以上はする。
安いところだと500円くらいだが、ほんの数件程度だ。
グアテマラ人からすると宿もバスも安くはない。
彼らは国内旅行ですら行くのが難しいだろうなと思う。

貧困で仕事がない人に対して国は全く助けてくれないらしい。
先生はこれは国の問題じゃなくて個人の問題とされいると言っていて胸が締め付けられた。

私は日本で働いてた時、給与明細に記載してある税金の引かれ方に、何!?やだ!!と思っていた。
今はそれで国民が助け合えてたと思うと文句は出てこない。
(まあ、税金が実際どれくらいどこに使われてたとかは知らないけれど。)

グアテマラではがっつり稼ぐなんてことは夢のまた夢のようだった。
なのでアメリカで働くことが多くのグアテマラの若者にとっての夢らしい。
アメリカは旅行に行くことすら貯金残高がかなりないとビザ取れないそうだ。
ましてや働くのはもっと難しくて、多額の資産があるとか、会社を経営していて安定してる場合のみ申請できるらしい。
日本のしっかりした外交に感謝と思いつつ、グアテマラの財政事情や外交にもどかしさも覚えた。

グアテマラの田舎の家族は10人くらい兄弟がいるらしい。
女の子は15、6歳で結婚してそれから毎年子供を産むらしい。
女の子は学校に行かず家の仕事をすると先生は言っていた。

今滞在しているこの国でそんな人生が存在している。
ここ、同じ時代の話だ。
正直自分だったら苦痛だ。
勝手に女の子たちの気持ちを自分に投影して不安に思ったけれど、
先生は女の子たちは家族いっぱいで幸せなんだよって言っていた。
本心は誰にもわからないし人によるんだろうけど。

若い男の子は出稼ぎにアメリカに密入国することが結構多いという話も聞いた。
お金がないのでバスや飛行機は使えない。徒歩で行くと言っていた。
グアテマラからメキシコを通ってアメリカに入るらしい。
衝撃。メキシコだけでも日本の5倍以上の面積があるのに。徒歩移動…。

さらに衝撃は続いた。
歩き移動なのでメキシコの砂漠が厳しくて亡くなる人がたくさんいるそうだ。
バスの上にこっそり乗る人も多いけれど、落ちてタイヤに巻き込まれて腕とか足をなくす人もいっぱいいる。
無事国境まで着いても警察に見つかったら逮捕。
ハードすぎる道のりだ。

密入国できたらアメリカで稼いでお父さんとお母さんの元に帰り、家族に家を買うらしい。
田舎の方にあるおっきくて綺麗な家は息子がアメリカに密入国して建てた家だよーと先生は言っていた。
ごく当たり前のように平然と話す姿にも驚きだった。

こうして地元の人から話を聞くと受け取った時の重量が違う。
子供が密入国とか危ないし心配だねって言ったら
そんなことないよ!両親は息子がお金を稼いで帰ってくるのを楽しみに待ってるのよー!と先生は言った。
ちょっと感覚の違いを感じた。
私はきっと一生経験することはないだろう。想像もできない人生だ。

私は日本にたまたま生まれただけなのに恩恵がいっぱいある。
その恩恵に全く気付かずに何年も生きていた。

よく思っていた。
働くの面倒くさい、この仕事したくない、お金もっと欲しい。
めちゃくちゃ贅沢な悩みだ。
そしてワーホリビザ取得ダルすぎる、と思っていた自分がやけに滑稽に思える。

日本って生活を潤すために命かける必要なんかない。
こんな話聞くと私のやりたい事とか悩みって強欲で醜いものに思えてくる。
(自分より不幸な人がいるからって自分の幸せを認識する、みたいなんは嫌だけど)
幸せの基準ってどんどん上がってく気がする。
改めて心に刻もう。
健康であること、家族や友達がいること、お金を稼ぐ場所があること。
それだけで最高の人生だ。

授業は一日4時間、週5日。
一週間で計20時間先生と喋り続けている。
同じ人とこんなに喋るってなかなかない。
こんなにも暮らしや価値観が違う中、毎日楽しく学ばせてもらっている。

先進国ではないグアテマラ。
日本から見ると貧しい国だし、多くの問題を抱えている。
しかし先生と話していて格差は微塵も感じない。
問題は個人の心ではなくいつでも国にあるのだと思う。

いつも目の前にいる先生も、ホームステイ先の家族も。
みんなの幸せの基準が満たされたものでありますようにと、いつも心から願う。


プロフィール:

1996年、サブカルインドア人間として大阪にて誕生。
服飾専門学校卒業後テキスタイルデザイナーを務めるが都会的な暮らしや流行に嫌気がさし退職。
2021年、沖縄県の宮古島に移住。
趣味だったハンドメイドウィービングや料理の仕事に就く傍ら、フリーダビングにはまり毎日海で泳ぐ。
さらなる自然への興味と世界を深く解釈したい欲が矢を放ち、世界を駆ける。
ラジオとゲーム実況が好き。

良ければインスタグラムも覗いてみてください。
https://www.instagram.com/_maryo.san_

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