お酒の弱い私が唯一飲める酒、テキーラ(グアダラハラ/メキシコ)
テキーラの蒸留所に行くツアーに参加した。
日本では、“強くてチャラいお酒”ってイメージがあるテキーラ。
(テレビでアイドルが「好きなお酒はテキーラです。」って言っててざわついていたのを見たことがある。)
私はお酒はあんまり強くないので、普段からよく飲むタイプではない。
好きとか嫌いとか以前に、しんどくなっちゃうしなあ、と思っていた。
けれど、テキーラは違った。
私のテキーラとの出会いは3年前くらい。
沖縄県の西表島でのこと。
西表島で…?と思うだろう。
あのガラパゴスとも言われる独特の大自然の中に何があるのかというと、
とても素敵なバーが一軒ある。
気を抜くと通り過ぎそうにな場所に、ひっそりと佇んでいるのだ。
というか道が暗いので、(星と蛍は輝いているが)建物がほぼ見えない。
あの時はなんとなく、Googleマップに「バー」と検索して出てきたので行ってみたんだった。
もちろんバーなんて慣れていないので、恐る恐るドアを開けた。
すると私の不安なんて一掃してくれるほどの気さくなマスターが出迎えてくれた。
マスターは数多くのテキーラを揃えていて、その魅力を存分に教えてくれた。
ありがたいことにちょっとずつテイスティングさせてもらって、じわじわとテキーラの魅力に浸かっていったのだった。
大半の日本人と同じく、「テキーラはウェイウェイ系」という印象を持っていたけど、みごと払拭された。
お酒をあんなにもじっくり味わったのは初めてだった。
味覚と嗅覚で感じているものが違うことにも気づいた。
飲み物というよりかは、なんかもっと別の…香水を楽しむみたいな感覚にも近い。
ちびちび飲み、お水を飲むタイミングも多い。
私でも気持ちよく酔うことができた。
いつかメキシコに行ったら、蒸留所に行こう!
アガベ畑を見て、現地にしかないテキーラを飲むんだ!
そう思ったのが3年前。
そして現在。
メキシコ第二の都市、グアダラハラ。
ここの近くにテキーラ村というテキーラ発祥の地がある。
周辺には数多くの蒸留所があり、アガベ畑がどこまでも続いている。
ツアーへは、共に旅するパートナーと、日本からメキシコ旅行に来ている友達と一緒に参加した。
友達とは2週間ほど一緒に旅行をしたけど、この日が最後だった。
朝、ツアー会社のバンに乗り込み、街の中心から30分ほどで蒸留所に到着。
テキーラの原料はブルーアガベ。
どこで育てたものでもOKというわけではなく、指定された産地で栽培、収穫しなければならない。
他にもテキーラと名乗るための条件は多く、
製造地域や蒸留の回数、アルコール度数、添加物の制限などいろいろある。
その制約のもと、メキシコでは多種多様なテキーラが生まれ、そのどれもが個性を光らせている。
転がっていた生のアガベの根っこをかじらせてもらった。
ほんのり青臭いくらいで、ほぼ無味だった。
これを糖化させるために加熱する。
糖化したアガベはその後粉砕して、発酵させる。
発酵のあとは蒸留し、そのまま製品になるか、
さらに熟成を経て世に出るものもある。
酔った。
このあとランチをして、テキーラ村へと連れられたんだけど、
ものすごく眠かった。
なんだっけな。
ぼーっとした時間を過ごしていたと思う。
テキーラ村に着き、
カフェで一息ついて、元気を取り戻した。
この村では自由行動だったので、中心を散策しつつ、
近くのアガベ畑まで歩いた。
夕日でほんのりと暖かく色づくアガベは綺麗だった。
ここで一緒に旅した友達ともさよなら。
日が傾くと寂しさに焦点が当たる。
しみじみとはしなかった。
ずっと楽しくおしゃべりしていた。
帰り道、ふと西表島のバーのことを思い出した。
また行きたいな。
あの時は未知の感覚に触れるような体験だったけど、
次はもっと身近に感じれるかもしれない。
味や香りだって、懐かしいと思えるものかもしれない。
帰国したら、絶対行こう。
今日学んだことと、
車窓を流れるアガベ畑の記憶を胸に
あの暗い道に浮かぶバーのドアを今度は堂々を開けたい。