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私の人生を変えたフリーダイビング(セノーテ/メキシコ)

2023年11月14日、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。
パートナーと共にだいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。
現在メキシコ。

フリーダイビングが好き。
私の人生を変えたと言っても過言ではない。

憧れていたメキシコのセノーテはダイビングの聖地。
ここで泳ぐことが夢の一つだった。
そして先日、その夢が叶った。
その話を聞いてほしい。

フリーダイビングは、自分の内側と水が一体となるスポーツだ。
水中にまどろむ、あのひと時は何事にも変え難い心地よさがある。


そもそもフリーダイビングってなんなのか、ご存知だろうか?
数年前まで、私は全く知らなかった。
スキューバーダイビングやシュノーケリングとの違いもあんまわかんないよなぁ、とおもう。

ここで簡潔に説明しておこう。
スキューバーダイビングとは、
ボンベを背負って潜る。
海の中で呼吸ができるのでゆったりと景色を楽しんだり、海洋生物を観察することが主な楽しみ。
深くなければ免許なしでインストラクターと共に潜ることができる。

シュノーケリングとは、
必要な道具はマスクとシュノーケルとフィンのみ。
たまにフィンなしで泳いでいる人もいるけれど。
水面にぷかぷか浮かびながら目下に広がる海の景色を楽しむ。
素潜りのように息を止めて潜ることもある。

フリーダイビングとは、
ボンベなどの機材を使わず、無呼吸で到達深度などを競う競技。
大会なども開かれ、オリンピックの競技に追加されるかも?という噂があるとか。
フリーダイビングを行う上での免許などはないが、認定機関がありレベルに応じて受講することができる。
トレーニングはインストラクターやバディと共に正しく行う必要がある。

こんな感じだろうか。
まあつまり、フリーダイビングは息を止めて水中に潜っていって、水面に帰ってくる競技だ。

フリーダイビングをしてることに対してよく言われるのは
苦しくないの?
危なくないの?
怖くないの?
などなど。

確かにエクストリームスポーツの一種とされていて、危険とも言われる。
知識と経験がある人と一緒にトレーニングすることは絶対条件だ。

泳ぎについて学んでいると、
フリーダイビングは安全に配慮しておこなう分、何も知らないまま海や川で遊ぶ方が危険だと思ってしまう。

そして「呼吸しない=苦しい」ではない。

水中にいる間は心が凪いでいて、全身の力が抜けて、とてつもなく気持ちがいい。

このことを話すとよく、ハイになっていると言われるけど、むしろその逆で、ローである。
まるでベッドでまどろんでいるような、落ち着いた心地よさがある。

日常生活で、ここまでリラックスに対して集中することなんてない。
何かしら考えてるし、どこかしらに力が入っている。
それらから解放されるって、幸福の頂点かもしれない。

多分、瞑想を何十年も続けているような人が感じる感覚だと思う。
これがフリーダイビングの数ある魅力のひとつだ。

ちなみに私はそんな域には達していない。
浅い深度ではリラックスできる。
けれど自分的に少し深いと思う深度の時はやっぱり体に力が入りがち。

水中にいる時思うことは、
「苦しくなったらどうしよう」とか、
「うまく泳げてるんかな?」とか。
ごちゃごちゃ考えそうになっては、ダメダメ!リラックスしよう!
という揺らぎまくりの心を連れて潜っている。

それでもトレーニングを続けていると、
そんな思考から完全に解放されて、全身の力が抜ける時がある。

集中して潜ると、自分の内観が肌を伝って水に溶け込む。
体と水の境目がなくなったかのような、
まるで世界と一つになったかのような、そんな瞬間がある。

もちろん私の集中力は大したことないので、その瞬間はすぐに過ぎ去ってしまうのだけど。
もっと深くまで潜ることができたら、この心地よさが長続きするんだろうな。

そもそも、私がフリーダイビングを始めたのは今から約2年前。
沖縄県宮古島に引っ越したときのことである。

当時、平泳すらできなかった私が海の美しさに魅せられてしまった。
「ここで泳ぎたい!」という思いを胸に宮古島に引っ越したんだ。

潜ることを教えてくれる人がいないかと探していたとき、ある女の子に出会った。
物件探しのために泊まっていたゲストハウスで仲良くなった子だ。
話を聞いていると、フリーダイビングのトレーニングに行っているという。

さっそくその子にショップを紹介してもらった。
泳げないし、体力もない私だったけど、初めてのフリーダイビングは楽しかった。
今思えばめちゃくちゃぎこちなかったはず。
でもあの時、うまくやろうなんて思わなくてよかった。

フリーダイビングにはAIDAという認定機関がある。
漢検やTOEICのようなもので、資格という訳ではないけど、トレーニングを続けていく上での一つの基準となる。

AIDA1から始め、AIDA2、3と順番に取得していく。
それぞれのレベルに合わせて到達深度や息止めの秒数、レスキューや筆記テストなど、合格基準が設けられている。


宮古島では毎日海に入り、夏場は月3回くらいフリーダイビングのトレーニングに行った。
貧弱な私だったけど、海を漂っているうち、なかなかにタフになった。
そして最終的にAIDA3まで取得できた。
以前のひょろひょろの私からするとアッパレである。

健康思考になった私は食事に気を使ったり、ジムで鍛えたりなんかもした。
おかげで今、元気に世界一周旅ができている。
フリーダイビングは私を変えた。感謝している。


時は進み現在。
なんと、宮古島でフリーダイビングを教えてもらっていたインストラクターのご夫婦が、今年の2月ごろメキシコのセノーテ付近に移住。
新たな土地でショップをオープンした。

世界一周旅でセノーテは必ず訪れようとおもっていたけれど、まさか現地で二人に会えるなんて!
幸せだった。

先日、セノーテで二人に会った。
そしてそこで泳ぐという夢も叶った。

セノーテでのフリーダイビングは最高だった。
宮古島の海とは全く違う。

湖なので波がなく、穏やか。
水面、聞こえるのは鳥のさえずりと木々の揺れる音。
水中、どこまでも見渡せる透明な水。

煌めく太陽光のシャワーが、私の夢を祝福していた。

とあるセノーテ。
トレーニング終わりに撮ってもらった写真。


久々のトレーニング、最初は緊張気味だった。
でも繰り返し潜っていると慣れてきて、最終的にはものすごくリラックスできた。

いつも潜っていた海には生物がいるし、魚が藻をかじる音や、珊瑚の成長する音なんかも聞こえて案外無音ではない。

ここセノーテは、静寂だった。
まるで宇宙。



フリーダイビングはロープに沿って潜っていく。
目標深度にはボールがついていて、そこでターンして水面へと向かう。

ある日、とても集中できた時。
潜っている間、世界には私だけだった。
実際はインストラクターの人が近くにいるんだけど。

それでもここが私の世界で、ここが世界で一番静かな場所だった。

その時は、息を止めていても、
体に圧がかかっても、深くて暗くなってきても、
なにも怖くはなかった。

気づけば目標深度に到達していて、ターン。
見上げると、静かな水面越しに木々と空があった。


外だ。と思った。
そうだここは宇宙じゃなかった。
この神秘は地球に広がっているんだった。

この日の一番深い到達深度は30.6mだった。

地球、隅々まで美しいとは思っていたけど
深度30.6mまでも美しいようだ。
この目で確認済みである。

そしてこの先もそうなんだろうな。
と、セノーテへの期待で胸がそわそわした。


セノーテ付近の街、トゥルムに3週間滞在したけれど、また戻ることにした。
今はメキシコシティ周辺にいるけれど、これからまたトゥルムで3週間ほど過ごす。

なぜかというと今、AIDA3を持っているが、このセノーテでAIDA4を取ることにした。

宮古の海とは少し仲良くなれた気がしていたけど、セノーテはまだ遠い存在だ。
だって宇宙みたいなんだから。

これからお近づきになれるだろうか。
慣れない土地で新しい挑戦は成功するだろうか。

ちょっと不安はあるけれど、きっと大丈夫。楽しいと思う。

フリーダイビングのいいところって、
目標や憧れは常に一歩先の自分だということ。
人と比べることがないので、人生において自分の評価は自分でするべきということに気付かされる。
社会で働いてると、忘れがちだけど。
これが事実なんだ。

AIDA4が取れたら、自分の評価は上がる。
やはり素晴らしい!自分!と拍手喝采をセルフで行う予定だ。

行け私、世界の美しさのその先へ。
隅々まで見届けるんだ!


プロフィール:

1996年、サブカルインドア人間として大阪にて誕生。
服飾専門学校卒業後テキスタイルデザイナーを務めるが都会的な暮らしや流行に嫌気がさし退職。
2021年、沖縄県の宮古島に移住。
趣味だったハンドメイドウィービングや料理の仕事に就く傍ら、フリーダビングにはまり毎日海で泳ぐ。
さらなる自然への興味と世界を深く解釈したい欲が矢を放ち、世界を駆ける。
ラジオとゲーム実況が好き。

情報記事はこちら。
https://maryojourney.com
良ければインスタグラムも覗いてみてください。
https://www.instagram.com/_maryo.san_


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