『食堂イベント』


鈍い音の後。ギャアともキャアともとれる周りの叫び声にびくりと肩が揺れ、ゆでたまごを剝いていた手をとめる。顔を上げてあたりを見まわすと我らがせーとかいちょーが何やらよろめいていた。え、おなか壊した?

「…………気……た」

「…………だ!…………!!」

どうやら、良くは見えないけれどかいちょーと何だかもふっとした黒髪の子が何やら言い争いをしているらしい。未だに類を見ない騒がしさの食堂で周りから聞こえるのはかいちょーともふもふくんがチューしたらしいということと、もふもふくんが殴ったらしいということで。何だかどこかにある漫画みたいだなあとぼけっと考えつつ、おれはまたゆでたまごを剥き始めた。今ちょうどいい所なので他に構ってなどいられないのである。おれは剥き始めのゆでたまごと風紀の仕事を天秤にかけ仕事をそっと放棄した。……ひとりじゃどう頑張っても無理だしねー。

この日の放課後、案の定いいんちょーに何故報告と現場をおさめなかったのかと怒られた。ごめんなさーい!