「行政をより良く」そのためにYouTuberとして全力で腕を磨く / 原田 翔さん
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「行政をより良く」そのためにYouTuberとして全力で腕を磨く / 原田 翔さん

まちの人事企画室

「フリーランス行政マン」

サーフボードを持ったリクルートスーツの女性。
昨年の夏、このサムネイルをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
京都府の最北端、京丹後市が新しい職員採用の形として始めた「ふるさと創生職員」プロジェクトです。

「ふるさと創生職員」とは
半行政、半フリーランス。副業禁止が当たりまえという公務員の世界で、週2〜4日は行政で働きながら残りの時間で副業・兼業にチャレンジできる。任期は3年だが、行政職員として有休や賞与もある。


この画期的でチャレンジングな取り組みに、2020年度は募集枠の約5.4倍の応募がありました。現在は、5名のふるさと創生職員の方が着任しています。

どんな方がどんな想いで着任し、今どんな仕事や暮らしをしているのかを描いていくインタビュー企画です。





3人目は、原田翔(はらだ しょう)さん。

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京丹後市政策企画課で、空き家再生推進担当をしながら、公務員YouTuberとしても活躍されている原田さんに、お話を伺いました!

※感染対策のためインタビューはマスクを着用して行い、写真撮影時のみ外しております。



応募理由は「公務員としてYouTuberになりたかった」


京都府舞鶴市出身、大学は神戸で、京丹後市に来る前は京都府長岡京市役所で働いていました。

YouTubeを始めたのは2018年、公務員YouTuberとして発信を始めたのは2019年9月頃です。行政に欠けていると感じていた情報発信能力を鍛えるため、趣味の範囲で続ける予定でしたが、収益化したいという思いが強くなってきて。

もちろん収入を得るという目的もありますが、収益化という目に見える成果を追うことで、情報発信能力だけではなくデータ分析を通したマーケティング力を養うことになると考えていました。

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ー ふるさと創生職員は、ぴったりですね。不安はなかったですか?

現在32歳で、ふるさと創生職員になると前職と比較して固定収入は7割くらいになります。YouTubeの収益で減った3割を稼げるレベルではないので、生活水準を落とせるのかという不安と、任期が3年ということで3年後どうするかまでのビジョンについて不安もありました。

ただ、このまま当時の仕事を続けていたら、お金の面では豊かになれるが、精神的にはどうかなという迷いがあったんです。
イメージとしては、前職は「常に甘い果実がなっていてそれをとればいい」。ふるさと創生職員は「いい土の畑があって、これから種をまく」僕は、後者の方が豊かだと考えたんですよ。

ー YouTubeを収益化して、行政に欠けている能力を身につける。もちろん相乗効果はあると思いますが、あくまでベースが行政。それはなぜですか?

実は、大学に6年行っているんです。IT関係の仕事に憧れて工学部の情報系に進学するも、授業についていけず、2年次にセンター試験を受けて同じ大学の別の学科に入り直しました就職活動では民間も受けましたが、これ以上リスクは取れないと公務員を選んだんです。

なので、モチベーションは全く高くなかったのですが、様々な業務をする中で少しずつやりがいを見つけました。例えば、窓口業務でのクレーム対応では「何度も同じクレームを言われるのはなぜだろう。申請書が見つけにくいところがあるのか。申請書が分かりにくいのか」と考えます。面白くないと感じる仕事も、課題発見、仮説検証して、工夫していくことで、面白くしていけばいい。

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前職時代の原田さん(2018年)


数年働いて、地域や人を支える存在として行政に足りていないことも見えてきました。特にもったいないと思ったのが、課題解決と情報発信。まずは自分で力をつけようとYouTubeを始めて、収益化できないという壁にぶつかった。壁を越えるには転職しかないかなと思いました。だから今、僕はここにいるんです。

「おもしろきこともなき世を面白く すみなしものは心なりけり」という高杉晋作の言葉が浮かびました。やるだけやって面白がってきたけれど、それでも無理なことがある。だとしたら、どうするか?
アンテナを張っていたから出会えたフリーランス行政マン「ふるさと創生職員」の仕事。こんな想いで、原田さんは初の転職を遂げます。



行政マンとフリーランスの相乗効果を狙いたい


行政マンとしての仕事は、移住関連のホームページや動画作成がメインです。今は、情報の交通整理をしている感じでしょうか。
例えば、空き家についてでも、移住者向けの補助金の情報と、空き家のオーナー向けの補助金の情報が一緒に掲載されていて、分かりにくくなっているところがあります。誰を対象にして、どうしてもらいたいのかを考えて、整えています

完成した京丹後市移住支援サイト ▼

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ー どんな一週間を過ごしていますか?

峰山庁舎の政策企画課に週4日出勤しています。8時半〜17時15分の勤務です。

出社するとまず、空き家バンクのサイトに新しい空き家物件が掲載されているかをチェックして、その後はタスクリストに従って仕事を進めますね。
基本的に残業はなく定時で帰ることができるので、夜はゴロゴロタイムかYouTube編集か。フリーランスとして動画編集の仕事をもらっているので、それをやることもあります。

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休日は、あまりにも外出していなさすぎて、先週やっと兵庫県の豊岡に行きました。約2ヶ月ぶりの外出でした。職場の人に「丹後のどこをまわった?」とよく聞かれるんですが、全然行けてないんですよ。ほぼずっと、家で動画編集をしています。
これからはいい季節になるので、ロケハンや撮影もかねて外出したいと思います。

ー丹後でのお住まいはどうされていますか?

住まいは、空き家だったところをリフォームした一軒家に住んでいます。長岡京のときはアパートに住んでいたので、15年ぶり実家以来の一軒家です。
行政マンとしては、空き家活用の経験者として実態を伝えることができますし、YouTuberとしては、声を出しても近所迷惑にならないので、良い選択をしたと思います。ただ、古い家ではあるので、寒さと虫とは常に戦うことになりそうです。

ー 収益化して数ヶ月。YouTuberとしてはどうでしょう?

正直、まだ大学生のバイトより少ない時給です。1本あたり10時間。週2本で20時間。月8本で80時間。「構成作成→撮影→編集→サムネイル作成→投稿」をひたすら繰り返します

作業時間はこれ以上続けてもそれほど短くならないので、再生回数を伸ばすことで時給を上げていきます。最近は、新しいソフトを使ってサムネイルを工夫したり、動画の構成を変えるなどの工夫をして、再生回数が伸びてきました。

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公務員YouTuberなので、テーマは市役所での業務で日々見聞きすることや、ネット上の公務員の中での話題、ネットニュースでバズっていることなどを扱っています。

「公務員って、そういうもんなんや」という実感値を届けたい
。そのために、良い情報も悪い情報も扱うこと、データと経験を分けて発信することを意識しています。例えば、公務員を辛くて2年で辞めたとする。「2年で辞めた」は事実データ、「辛くて」は経験からくる主観ですよね。辛かった原因を探っていくことで、実態に近づけると思っています。

ー 話題になった動画はありますか?

公務員になるのはお得です、という動画を先日アップして話題になりました。僕としては、初の1.5万再生超えです(現在は、約2.3万再生)。

公務員をオススメする3つの理由を分析し、公務員の安泰ではない?という人に刺さりました。初めて行政を目指すという方は特に、ぜひご覧ください!

【給料安定、副業解禁、人事制度充実。だから2021年は公務員受験をオススメします。】


ー 京丹後市の公式アカウントも開設して運用されていますね。個人アカウントとの違いはありますか?

ニーズのあることを伝わるように発信するということは同じですが、個人アカウントは自らのスキルアップ、公式アカウントは京丹後市という組織として学んでいきたいという違いがあります。

僕のビジョンは、行政の人たちに情報発信の楽しさを伝えることなんです。3年の任期の間に、前職時代に感じた行政のもったいなさをどう解消していくか。正しく情報が伝わることで解決できる課題がたくさんあると思っています。


ー なぜ、YouTubeなのでしょう?

YouTubeの動画制作は、「課題解決・情報発信」を練習するのにとても良いコンテンツです。

この情報を伝えたいから、これは省く。伝わるように工夫する。京丹後市職員の皆さんと一緒に、必要な情報が必要な人に届くように取り組んでいきたいです。

上司と


3年後には、京丹後市のチラシ見やすくなった!動画も良くなった!と言ってもらえるように頑張ります。市民の方に身近に感じてもらえるように、フランクにできるものはどんどん再編集していきたいと思います。

お話を聞けば聞くほど感じるのは、原田さんが普段から、ものごとを俯瞰的に見ようと努めていること。より良くしたいというまっすぐな想い。
伝えること、伝わることにこだわる背景と、ふるさと創生職員という仕事について、お聞きしました。



枯らしかけた夢も育てなおすことができる


ふるさと創生職員は、今フリーランスで働いていて培った能力を行政にも活かしたいという人に、とても向いていると思います。行政と掛け合わせることで、フリーランスとしても新たなマーケットが作ることができるので。

逆に、今からフリーランスでやっていきたいという人には、少し大変かもしれません。フリーランスとして100%の時間を使えないので、あくまで副業を新たに始めるイメージを持っておくことをおすすめします。

ー ふるさと創生職員として働いて数ヶ月。よかったと感じることは?

実は、学生時代に演劇部で俳優をやっていたり、放送部で動画編集をしたりしていました。公務員になるときに諦めた夢ですが、形こそ変わっても、今YouTuberとして枯れかけた夢をまた育てている。それは、嬉しくて豊かなことですね。

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趣味として活動されている市民ミュージカルの一コマ(2020年1月)


公務員がいまだに副業できないということには、以前から疑問を持っていました。行政の仕事に還元できる形で個々のスキルを活かせる仕組みは、働く人にとっても行政にとってもいいと思っています。お互いの発展につながる出会いにしていきたいですね。

目の前の仕事を面白くする工夫を続けていけば、自分の過去の経験や好きなことを活かすことができるかもしれない。諦めた夢も、工夫すればキャリアに組み込めるかもしれない。「ふるさと創生職員」には、そんな自由度があるのだと感じました。

同僚と2


ー 最後に、今日も本を持っておられますが、普段からよく本を読まれるんですか?

本を読み出したのは、社会人になってからです。社会人の序盤もね、イキってたんですよ(笑)同期の中で一番歳上で下手なことはできないと思って、ビジネス書から自己啓発本まで幅広く読みましたね。

最近ハマっている本は、『具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』。


共通点を見つけるのが抽象化、異なる点を見つけるのが具体化です。例えば、私たちは人間というのが抽象化、それぞれの名前で認識するのが具体化。

具体と抽象を行き来する物事を捉え方は、課題発見と解決策を考えるのに活用できると思っています。具体的な困っていることを洗い出して、共通点を見つけることでそもそもの課題が見つかる。行政マンだけではなく、さまざまな職場や学生の方にとっても役に立つと思いますよ。





そ・こ・で!
みなさんと一緒に体験していただこうと、オンラインイベントを開催します!

(その場で私たちもやってみたのですが、共通点を明かされた瞬間「おおおおおおおお!」と思わず叫びました。頭を使う心地よい疲労感もあり、楽しいです。)

↓申し込みは以下のフォームよりお願いします。
(他のふるさと創生職員の方のイベントもありますので、興味あればぜひ!)


とにかく良い声とその言い回しに笑わせてもらいながらも、本質的な考え方にはっとさせられる時間でした。
このインタビューの間にも、お話を聞かせていただいていた「京丹後市未来チャレンジ交流センター roots」に来られた方と「あ、YouTuber!」「有名人!」というやりとりがあったり、職場での撮影時には職員の方と爆笑されていたり、少しずつ京丹後の方々に愛されているのだなと感じました。
これからの活躍がたのしみです!


最後まで、お読みいただきありがとうございました!



聴き手/文:稲本朱珠 撮影:能勢ゆき
京丹後市未来チャレンジ交流センター「roots」相談員)

京丹後市ふるさと創生職員(フリーランス行政マン)第2期募集開始!

第2期募集ページは👇


(※2021/6/1 までは、昨年度の募集記事となります。)

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まちの人事企画室
「このまちで、人のためになる事を企画していきたい」という想いで、2020年に団体を設立しました。 また、企業・行政・団体の人事にまつわる課題解決に向けた伴走をしていきたいと思っています。