自分の暮らし方を自分で選択できる街に。フランスでの生活を経て、京丹後市で実現したいまちづくり/福嶋舞さん
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自分の暮らし方を自分で選択できる街に。フランスでの生活を経て、京丹後市で実現したいまちづくり/福嶋舞さん

まちの人事企画室


「フリーランス行政マン」
https://www.open-innovation-team-kyotango.com/

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サーフボードを持ったリクルートスーツの女性。
昨年の夏、このサムネイルをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
京都府の最北端、京丹後市が新しい職員採用の形として始めた「ふるさと創生職員」プロジェクトです。


ふるさと創生職員とは
半行政、半フリーランス。副業禁止が当たりまえという公務員の世界で、週2〜4日は行政で働きながら残りの時間で副業・兼業にチャレンジできる。任期は3年だが、行政職員として有休や賞与もある。


この画期的でチャレンジングな取り組みに、2020年度は募集枠の約5.4倍の応募がありました。現在は、5名のふるさと創生職員の方が着任しています。

どんな方がどんな想いで着任し、今どんな仕事や暮らしをしているのかを描いていくインタビュー企画です。


1人目は、福嶋舞(ふくしま まい)さん。

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最近は、人生100年時代と言われるようになりましたが、100歳以上の“百寿者”の割合が平均の3倍である京丹後市は、「長寿の街」として注目されています。

さらに、自立した生活を送る「健康長寿」も長いと言われており、
100歳になっても自分のことは自分でするという元気なお年寄りが多いのだとか。


さて、今回は、そんな長寿の街だからこその政策「百才活力社会」‐ライフシフト‐推進の担当として採用された、福嶋舞さんへお話を伺いました。

デザインセンターでの企画スタッフの経験や、フランスでの生活経験など、興味深い経歴を持つ福嶋さん。

様々な経歴を経て、福嶋さんが京丹後市で実現したいまちづくりとは…?


地域やコミュニティへの関心はある街との出会いから

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ーまず、福嶋さんのこれまでの経歴からお伺いしたいと思います。ご出身はどちらですか?

出身は神戸です。大学で京都に出てきました。

ーそうなんですね。大学ではどんな勉強をされていたんですか?

デザインの勉強をしていました。グラフィックやファッションなどを。
小さいころからモノづくりが好きで、入学当初はデザイナーになりたかったんです。

ーデザインを勉強する学生なら、それが王道な気がしますね。

そうですよね(笑)。

学生時代は左京区という京都市内の街に住んでいたんですけど、そこが私にとってすごく居心地の良い街で。その街の「恵文社一乗寺店」という本屋さんでアルバイトもしていました。

そこは、地域の人たちの交流や情報交換の場として重要な役割を担っていて、そのお店での経験をきっかけに、地域づくりやコミュニティづくりに興味が向いていました。

ーとても気になりますね。左京区はどんな街だったんですか?

本屋さんやカフェ、アンティークショップなどがたくさんあって、お店や地域の人たちが主体となって、色々なイベントがいつも行われていました。

文化度がとても高い街だなと感じていました。

その環境を作っているのが、もしかしたらデザインやアート、音楽、文学…そういう文化的なことなんじゃないかと思ったんです。

私自身こういう街でずっと暮らしていきたいし、こういうまちづくりに自分もプレイヤーとして関わりたいなと思うようになりました。

ーなるほど。「自分がずっと暮らしたいと思えるような街を自分もつくれるかもしれない」というところから、地域やコミュニティへの関心に繋がっていったんですね。

そうですね。あの頃は、「コミュニティデザイン」という言葉もメジャーではなくて、これが果たしてどういう仕事になるのかは、イマイチわかってなかったんですけど(笑)

クリエイティブの力で街を豊かに。まちづくりコーディネーターとしての経験

ー就職はどうされたんですか?

学生のときからアルバイトをしていた本屋さんに、そのまま就職しました。

というのも、恵文社一乗寺店は本を置いているだけではなくて、ギャラリーやイベントスペースも併設されているんです。そこでは、アーティストの展示や、音楽や食のイベントなど、多様な催事を開催していました。

毎日勤務しているんですけど、何か学びや体験を得に行っているという感覚で、毎日刺激を受けながら働いていました。

ーまずは、本屋さんでいろんな経験を積まれたんですね。

はい。5年働いたんですけど、いつからかもっと地域を大きく巻き込んでみたいと思うようになりました。

それで、デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)に転職したんです。

「デザインを人々の生活に採り入れ、より豊かに生きることを提案する」デザイン都市・神戸の拠点施設で、一度も行ったことはなかったけど、なんかそこにやりたいことがある気がしたんですよね(笑)。

ーさらに地域・デザインに踏み込んでいったわけですね。KIITOではどんなお仕事をされましたか?

ざっくりいうと、まちづくりのコンサルティングやシティプロモーションです。

「社会課題をクリエイティブの力で解決する」という理念のもと、過疎化する地域の活性化、子どもたちの創造教育、障害を持った方が活躍できる場作りなど、本当に幅広く活動していました。

あらゆる課題に対してデザインやアートで何ができるか、毎日ひたすらみんなで考えていましたね。

ー福嶋さんが学生時代考えておられた「自分も暮らしたいと思えるようなまちづくり」が、お仕事として実現できていったんですね。

アートを日常に感じる、フランスでの生活経験

ーその後フランスへ行かれたとお聞きしているのですが、一体なぜでしょう?(笑)

実は、京都にいるときからお付き合いしている人が、アートの勉強をしにフランスに行ってしまったんです。

毎日刺激的で楽しそうで、正直、寂しいというか羨ましかったです。

ーそれで、福嶋さんも行ってしまわれたと(笑)

はい(笑)。私も今までとはちょっと違う体験をしてみたいと思ったんです。そう思ってからは、深くは考えずに行っちゃいましたね(笑)。

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ーフランスでの生活はどうでしたか?

1年半くらいフランスに住んだんですけど、もともとアートが好きだったし、私にとっても学びが多かったですね。

みんな子どもの頃からアートに触れているからか、何も興味なさそうなおじいちゃんでも音楽やアートについて語り出したら止まらなくて(笑)。

道端で会うおばあちゃんたちもファッションを褒めてくれたり、ストリートアートについての会話が飛び交っているのも日常でした。

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ーそれは日本ではできない体験ですね。

そうなんです。日常生活の中にアートが当たり前に存在していて、それが生活を豊かにしてくれていると実感しました。

ーフランスでお仕事もされていたんですか?

語学学校やレストランでアルバイトはしていました。けど、それ以外は美術館行ったり、図書館行ったり、公園で寝たり(笑)。

「時間があれば美術館行くんだな、わたし。」みたいに、アートやデザインが本当に好きなのかを、改めて考えられたのが良かったです。今になっても、とても大事な時間だったと思います。


選択肢を増やして、新たな交流を生むという方法

ーまちづくりの面からも、フランスで何か学びはありましたか?

ありましたよ。パリに「Les Grands Voisins」という病院跡を再活用したカルチャービレッジがあるんです。「大きな隣人」という意味で、本屋、アトリエ、カフェ、バー、クラブ、リサイクルショップなど様々な店舗が入っていました。

話によると、病院が使われなくなった後、本当は国が取り壊す予定だったらしいんです。でも、「建築としても美しい、文化的な価値もある施設を簡単に壊すのはおかしい」と立ち上がった市民がいて、自分たちで使い方を考えて活用しているとのことでした。

声を大きくすれば、自分たちの声も生かされるんだっていうのを、生で見た感じでしたね。そこまでの力を、一市民として生きてきた自分に感じたことがなかったので、こういうことも世界では起きている!というのが新しい発見でした。

自分たちで主導すること、自分たちで選ぶことの大切さを教えてもらいましたね。

ーそこでは市民たちが自分たちの意志で、ひとつの街をつくっていたわけですね。

そうなんです。それに、カルチャービレッジみたいなクリエイティブな場所って感度の高い人だけが集まっている印象があるんですけど、もともと病院であることを知っているお年寄りや、外の卓球台で遊びたい子どもたちも来ていて。いろんな人の交流が生まれていたんです。

そういえば、屋上で養蜂をやっているのも見ました(笑)。プロはいないけど、「やってみたいからやった」という、なんでもありなその感じが私は大好きでした。

一つの施設にいろんな関わりしろ(選択肢)が用意されていることで、多くの人がそれぞれの目的を持ってそこに集うことができますよね。そこからさらに新しい交流が生まれていくんだな、と勉強になりました。

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ーめちゃくちゃ行ってみたいです…。

このご時世ですから、なかなか行けなくなってしまいましたけどね。

私も、コロナがあって、見つけていた仕事がダメになり、帰ってこざるをえなかったというわけです。おかげで京丹後に来れたので、それはそれで良かったんですけどね(笑)。

働いてみたい場所の一つだった京丹後市

ーフランスから帰国後、「ふるさと創生職員」に応募してくださったんですよね?

はい。去年8月末に帰国して、2週間の自主隔離中に、働いてみたい場所で検索をかけていたんです。

日本では、これまで神戸や京都で働いていたので、どこか田舎で働いてみたいという想いがありました。

ー働いてみたい場所に京丹後も挙がっていたんですね。

そうなんです。学生時代に久美浜に遊びにきたことがあって。海がとても綺麗でなんとなく心に残っていました。検索をかけると、たまたま面白そうな求人に巡り合えたという感じですね。

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ー「ふるさと創生職員」の求人を最初見たとき、どんな印象でしたか?

新しい取り組みだと思いました。以前務めていたKIITOも行政の指定管理施設だったので、行政的な立場でまちづくりに関わることもなんとなくイメージできました。

ー募集していた5つの担当テーマについてはいかがでしたか?

正直、5つの中のどれでもやってやるぞという気持ちはありました(笑)。

でも前職で、障害者アートの展示企画や高齢社会における新しい人生の作り方を考える展覧会をしたときに、「どうしたってみんな年をとるし、街もそれからは逃れられない。それでも楽しく生きていきたいし、楽しく生きてもらいたい」と思うことがあって。

それを実現できそうな「百才活力社会」-ライフシフト-推進担当を希望しました。


「百才活力社会」-ライフシフト-推進担当としての仕事と副業でやりたいこと

ー実際のお仕事はどんなことをされていますか?

一言でいうと、地域の高齢者に元気に年をとってもらうための仕掛けづくりをしています。

京丹後市は「長寿の街」と言われていて、100才以上の割合が平均の3倍というデータがあるんです。

その秘密は京丹後の豊かな食にあるのでは?という仮説から、レシピ本の企画をしたり、「高齢者大学」という60歳以上の人を対象にした講座で食に関する企画をしたり。
高齢者の就労支援として、求人誌の編集や就職フェアの企画もしています。

ーいろんな切り口で取り組まれているんですね。半年働いてみて率直な感想をお願いします(笑)。

行政職員の方々が日々取り組んでいることは、どれも必須なことで、私たちはそことは違うアプローチをしていかなければならないと思っています。

正直、予算の使い方や、できることの範囲に関しては、まだまだ難しく感じることもあります。

でも、せっかく新しいチャレンジをさせてもらっているので、「ふるさと創生職員」一丸となって、自分たちにできることからやっていきたいと思っています。

ー率直な感想ありがとうございます(笑)。ご自身の副業についてはいかがですか?

ふるさと創生職員として働く中で地域の人との関わりがいろいろあって。

イベントのチラシをつくらせてもらったり、地域のアーティストさんの展覧会の企画をしたりしています。

できれば地域の人がやりたいことを一緒にお手伝いしたいですね。私も一市民として一緒に声を大きくしていけたらいいなと(笑)。

あとは、自分自身がクリエイターとしての副業も考えています。やりたい活動を好きにやって、それが地域に何か還元できたらいいなと思っています。

とにかく、興味のあること全てに首を突っ込んでいるという状況です(笑)。今後もそういうスタンスでいきたいなと考えています。

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これから京丹後市で実現したいこと

ーあと2年半、ふるさと創生職員としてどんなことをしていきたいですか?

街がもっと充実して、自分の暮らし方が自分で選択できる街になればいいなと思っています。

そのためには、選択肢の広さが大切。フランスのカルチャービレッジの話と同じように、余分なものがたくさんあればあるほどいいと思っていて。

京丹後の海もそうですよね。遠浅で子どもたちが遊んでいたり、釣りしてる人がいたり、サーファーもいたり。海との関わり方もいろんな選択肢がある。

ー確かに、京丹後の海の楽しみ方っていろいろあって面白いですよね。

人によってはよくわからないと思う人もいるかもしれないけど、何をしても良い雰囲気って大事だと思うんです。

京丹後に住む人たちが、自分たちも声をあげてやっていいんだ!と思える場所や機会つくっていけたらと思います。

ー最後に、第2期ふるさと創生職員の応募を考えている皆さんに向けてメッセージをお願いします。

京丹後の人たちはオープンな方が多い気がします!困っていると助けてくれる人もたくさんいます。

大変なこともありますが、私たち第1期ふるさと創生職員5名と、第2期の皆さん10名(予定)でチームとしていろんなことに取り組んでいけたらいいなと思っています。


聴き手/文・撮影:坂本知恵里

オンラインイベントのご案内

最後まで記事を読んでくださった方へ、

この度、第2期の募集を開始するにあたり、特別企画としてテーマ型のオンラインイベントを開催することになりました!

第1期で採用された5名の方から、それぞれテーマを投げかけていただき、それについて、対話・交流していくものです。

テーマに関心のある人であれば、基本的にどなたでも参加可能です!


今回、インタビューさせていただいた、福嶋さんは京都の学生時代、神戸、フランスでの経験など”まちづくり”という観点から様々な経験をされてこられました。

また、特に、京都市左京区やフランスパリでは、地域の人たちが自分たちで街の様々な機能を作っていくような、セルフビルドで街を作っている事例を実際に見てこられた方なので、そんな福嶋さんにぴったりの

『セルフビルドするまちの仕掛けづくり』

というテーマで開催させていただきます。

これからの京丹後をはじめとする、過疎高齢化地域におけるまちづくりにとって、重要なテーマかと思います。

テーマに関心のある人であれば、基本的にどなたでも参加可能です。
ぜひ、お気軽にご参加ください!

京丹後市ふるさと創生職員(フリーランス行政マン)第2期募集開始!

第2期募集ページは👇
https://www.open-innovation-team-kyotango.com/ 
(※2021/6/1 までは、昨年度の募集記事となります。)

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まちの人事企画室
「このまちで、人のためになる事を企画していきたい」という想いで、2020年に団体を設立しました。 また、企業・行政・団体の人事にまつわる課題解決に向けた伴走をしていきたいと思っています。