見出し画像

富士山を登ったからといって、人生が劇的に変わるわけではないけれど


もう何度か口にしているのだけど、富士山に行ってからなんだか世界が私にすごく優しい気がする。

登山中は想像を超える過酷な時間ということもなく、むしろありがたいほどに快適すぎる気候だった。

目の前を、穏やかな絶景が表情を変えながら現れては流れた。

富士山から見下ろす街は、ジブリの『耳をすませば』を彷彿とさせるキラキラとした宝石箱のようで、

見上げる空は見えるようで見えない、だけどちらちらきらきら、時には幻と思ってしまうような数え切れないほどの星が輝いていた。

淡くて優しい雲景色を、鮮やかで鮮明でなんだか泣きそうになるようなご来光が、「今年イチ」と言わしめるほどあたたかな強いオレンジで包み込み彩った。

生まれて初めて見た虹が生まれる場所はふんわりと、だけど確かにそこにあって。

山を鳴らす雷に、サッと駆け足で過ぎる気まぐれな雨、ゆっくりと這うように目の前を登っていく雲に、まるで『もののけ姫』のようだ、といちいち感動した。

ひとつひとつが幻想的で、淡くて儚くて。今でさえもなんだか実感の持てない、どこかふわふわとした奇跡的な2日間だった。

そんな素晴らしすぎる景色を胸に戻ってきた現実世界には、いつの間にか刺すように暑い気だるい夏ではなく、優しく肌を撫でる風が心地よい秋が訪れていた。


富士山に登ったからといって、人生が変わるとか、自分の思考が180度変わるなんて思っていない。

だけど、奇跡的な2日間を心に焼き付けたいまの私は、体も心も不思議ととても軽やかだし、いつもよりも優しい気持ちで穏やかに過ごせている気がする。

それが、たまたま嫌なことに出くわさないからか、それとも富士登山を通して自分が世界に寛容になれたからなのかはわからないけれど。


確実に言えることは、この経験は少なからず私の知識と経験値に刻まれて、人間値をもぐんとあげてくれているのだと思う。


__
___

なんだかとりとめもない文章になってしまったけれど、このふわっとした気持ちを残しておきたくて。


この記事が参加している募集

夏の思い出

いつか、ライフスタイル本が出せたらいいな、なんてゆるく思っています。ひとまず今はコラム作りを頑張ります。サポートしてただいた際は、私の知識が本1冊分増えます。