動物園みたいに多様性のあるカオスな組織を作るために

※2019年3月に書いたものをnoteに移植したものです。

【自戒】こんな組織じゃオワコンだ。と、ミラティブ社で意識・実践している16のこと【逆張り】』というnoteを読んでいて思うことがあったのでメモ。
個人的に自戒させられたのは『コントロールからアラインへ』という話。

多様な価値観を持つ人間を「コントロール」できるなんていうのはおこがましさの塊でしかないと思う(それはたいてい全能感からくるバグだ)。
まず、「自分で全部をコントロールするなんて絶対無理」と認めるところがスタート地点なのかもしれない。コントロールできていると感じる時は、スタートアップの発想だとアクセルが踏みきれていない時=スピードが足りてない、と思うようにしている。
そして、エネルギーはカオス・混沌から生まれる。
経営者ができるのは、各人のエネルギーのコントロールではなく、せいぜい「アライン」くらいまでだと思っている。個々のエネルギーの向かうベクトル・放射の角度を決めて、その方向に最初の火を放熱する。カオスの中でエネルギーの跳ね返りから核融合や核分裂、連鎖反応が起こり、爆発力になって物事が推進される。そんなイメージ。

価値観や進むべき方向、軸となるものなどコンパス的な役割を経営側が担い、マイクロマネジメントせずに現場に任せるやり方が大事だという話はよくある。
でもこれを本当に実行するのはかなり器が求められるシーンが多いと思う。
前提のマインドとしてコントロールしないという風に決めていたとしても、カオスをぶっちぎっていく組織を黙って見守るのは結構な胆力が必要だ。
だから口では「自由にさせる」と宣言しながらも、マイクロマネジメントしてカオスなエネルギーの突破力を引き出せないことが多いのだろう。

カオス期になるとその多様なエネルギーが一時的に悪い影響を与えるように見えるからだろう。
例えばメンバー同士のぶつかり合いが増えて、組織コンディションがよくなくなり、パフォーマンスが低下しはじめるフェーズなどがそれだ。

『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則 『ジャイアントキリング』の流儀』という素晴らしい本では、この混乱期を得て飛躍的な成果を上げることが大事だと書いてある。

画像1

引用:『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則 『ジャイアントキリング』の流儀』

このパフォーマンス曲線が下がっているところを、「ストーミング(混乱)期」と呼ぶ。
このストーミング期 ≒ カオスな状況を突破しない限り、単なる寄せ集めのグループから生命体的(ティール型)な機能をするチームへ変貌できないのだ。
でもやはりカオスに突入していくと多くのマネージャーは組織がグラついていることを不安に感じてしまう。
だからマイクロマネジメントしながらそのカオスをコントロールしようとして、各員が抱えるエネルギーを消してしまったり、予定調和な上辺だけのコミュニケーションをさせるような空気を作ってしまう。

この不安に耐え抜き飛躍的な成果を上げていくにはやはり「ビジョン/方向性/軸といった確固たる土台をぶらさない」ということが大事だ。
逆に言えば、その土台がぐらついて入れば、カオスに耐えられないのである。

「エントロピーの先に生命が見る夢と、世界と時間の美しさと、挑戦」という素晴らしい記事があるのだが、そこにも同じようなことが言われていた。

世界のあらゆる問題は、宇宙の大原則であるエントロピー増大に沿っているから、今後も変化することだけが変わらない。
変化を前提として揺らぎを持って対応するのが必要で、その際に意志が一番重要。

世の中は何もしなければ、エントロピーが増大しカオスな状況になっていく。
そのようなカオスな変化に対応するには、変化することを前提に揺らぎを持つことが大事。
ただし単に揺らぐだけだと気まぐれに流行に飛びついたりするので、そこに対して「意志」の力を加えることで対処していく。

カオスなエネルギーを利用しつつも、そこに対して一定の方向性 / 軸 / 意志を持つことでエネルギーを拡散させずに効率的な利用ができるのである。

まずコントロール / 支配するというマインドをきっぱり捨て去ることが大事。
その上で「意志」から方向性を定めることで多様なエネルギーをミックスさせ、良いアウトプットが生まれていくのだろう。

カオスになっていくプロセスを不安視せず、「意志」を持ってどーんと構えていきたいところだ。
動物園みたいな多様性がある組織でわちゃわちゃと物創りしていけたら楽しいし、そういうカオスな感じをうまくアウトプットに繋げられる組織を作っていこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?