【ゲーム開発】スキル評価とコスト評価のバランスについて

※2019年5月に書いたものをnoteに移植したものです。

ゲーム開発の場でシェアされた記事を見て思うことがあったのでメモ。

スキル評価とコスト評価

スキルコスト

■スキルの評価とコストの評価
スコアは、「プレイヤーのスキル」を評価するシステムです。
これはプレイヤーが上達しない限り、増加することはない評価の仕組みです。
逆にドラクエなどのRPGは、「プレイヤーがゲームにかけたコスト」を評価する仕組みです。
プレイ時間が多いほど、経験値というスコアは増加します。

ゲームにおけるプレイヤー自体を評価するポイントは大きく分けて2つある。

①スキル評価:考え方や操作技術などプレイヤーが上達したことによって評価される指標
②コスト評価:お金や時間などプレイヤーが投下したリソースの大小によって評価される指標

これを見て非ソーシャルゲームの現場ではゲーム開発をしていくなかで「スキル評価」ばかりスポットに当ててしまうことが多いなと思った。
例えば、ユーザーが徐々にスキルアップしていく前提でそのスキルを活かせるステージ設計をおこなうことで達成感を作り出すようなバランスを考える。
しかし、実際のユーザーはスキル的な側面だけではなく、コスト的な面でもゲームにハマっていく。
特にソーシャルゲーム登場以後のゲームではよりコスト的な面をユーザーがより意識するようになったと感じる。

コスト評価偏重のソーシャルゲーム

10年間継続して続けたソーシャルゲームがやめられないのは、コスト的な側面が強い。
投下した膨大な時間やお金。
それらが作り出したレベル、装備、実績、コレクションはゲームのユーザーを引き止めるのに強い力を発揮する。
ネガティブに言えば「これまでに築き上げた実績がもったいなく感じているから」といえるし、ポジティブに言えば「投下したコストに見合うリターンが必ずくることが楽しいから」といえるだろう。

これらのコスト評価のバランスを追求したのがソーシャルゲームだった。
しかしコスト評価に極端に全フリしたような集金ゲームが溢れたことによってユーザーの消耗が激しくなり、スキル評価とのバランスをとろうとした市場になってきているなと感じる。
この揺れ戻りはポジティブに思える。

モンハンのスキル評価とコスト評価のバランスの良さ

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そんな中で非ソーシャルゲームの中でもスキル評価とコスト評価のバランスが高いゲームとはなんだろうなと考えたときにあがったのが「モンスターハンター」だ。
モンハンはスキル評価とコスト評価を絶妙なバランスで組み合わせによって極めて多くのユーザーに支持されやすい土台を形成している。

スキル評価:プレイヤースキル / 装備の知識 / モンスターの知識 / 連携コミュニケーション能力
コスト評価:武器 / 防具 / 見た目装備

前提としてスキル評価に寄っているゲームは、上達によるクリアをベースとするので忍耐力を求められる。
それらが顕著な例はフロム・ソフトウェアのダークソウルシリーズや最近ではSEKIROなどがあげられるだろう。
一方でコスト評価に寄っているゲームは、投下したレベルやお金を前提とする。
時間をかけてレベルを上げることを前提としたFFやドラクエなどのRPGやお金で強さを買うソーシャルゲームなどもそれにあたる。

モンハンでは課金によって強さを買うことはないものの、スキル評価だけでなくコスト評価も積み重ねられるオプションをつけたことでライトユーザー層を獲得することに繋がった。
ストイックにスキルを上げていくようなハードゲーマーは、装備を整えなくても上位のクエストに挑める。
だがそういったスキルを磨くの苦手なユーザーでも、地道に時間をかけて下位のクエストをこなして装備を整えることで上位のクエストに挑めるようになる。
この絶妙なスキル/コスト評価のバランス感覚を持ったからこそ幅広いユーザー層に遊ばれたのだろう。

課金がなくても時間というコストを評価する

非課金型の買い切りゲームや無料のカジュアルゲームを作成しているとお金の軸がない分、スキル評価のバランス調整に寄ってしまう傾向が強い。
だが、投下された貴重なユーザーの時間をちゃんとゲーム内の評価につなげることで幅広いユーザーに楽しんでもらえるゲームになるだろう。

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