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可愛さのマンネリ化を打破したいアラサー女はジェルネイルに手を出してみた

ジェルネイルとやらに挑戦してみた。

イメコン診断から始まり、メイク、髪型、ファッション、体型維持のための食事と運動など、外見に関してここ数年、自分なりにこだわり続けてきた。こだわり続けてきたのだが、ここ最近、なんだか新しい変化が尽きてきて、自分がマンネリ化しているように感じていた。前より可愛くはなったが、なんか高止まりしている気がする。

異論・反論が出ないように言い訳をしておくと、私の可愛いは偏差値45ぐらいが50になった程度である。いわゆるなんか田舎っぽい、芋っぽい感じだった女が、ちょっとだけ垢抜けて都会を普通に違和感なく歩けるようになった程度である。決して石原さとみ並みのビフォーアフターがなされたわけではない、ということを念頭には置いていてほしい。

何かないかなーとインスタグラムをひたすら見ていると、ネイルの投稿に目がいった。セルフでマニキュアを塗ることもあるが、仕事や家事をしていると、私の場合2~3日でどこかしらが剥げる。1ヵ所でも剥げると、途端に爪が汚く見える。全部剥がすのも面倒くさいしな……と思い我慢していると、翌日には剥げた箇所が倍増している。もうこうなるとめちゃくちゃ汚く見える。そして帰宅してすぐに剥がす。するとマニキュアを塗ることすら面倒になり、塗らなくなる。最後にマニキュアを施したのは、いつだっただろうか。

妹や会社の同僚が、ジェルネイルをしているのは度々見ていた。ジェルネイルとは、ゲル状の樹脂を硬化させることで形成するネイルのことで、自爪を土台にしてゲルをコーティングするので、ぷっくりとした可愛いネイルが出来上がる。そして、なんだかキラキラつやつやしていて、女の子らしくて可愛い。

これだ!!!! と思った私は、同じくジェルネイルに行ったことがない友人と一緒に、ジェルネイルデビューを果たした。

私の勝手なイメージというか偏見だが、ネイルサロンは綺麗なお姉さんや、ギャルのためのものだと思っていた。私は綺麗なお姉さんでもなければギャルでもないので、ネットで予約したお店の写真は見ていたものの、私なんかが足を踏み入れて良いものかとかなり緊張していた。でも実際に行ってみると店内はナチュラルな雰囲気で、天井からドライフラワーがお洒落に吊り下げられている。ネイリストさんはびっくりするくらい全員ふわふわした雰囲気で、声もふわふわしていた。要するに、可愛い。やだ、こんなネイルサロンもあるのね、と私の勝手な偏見が打ち砕かれた瞬間だった。

ジェルネイル初体験のくせに、なんやかんやとネイリストさんに注文をつけた。色を変えたいだの、もうちょっとラメを足してほしいだの。そんな私のあれやこれやとうるさい注文にも、ニコニコと答えてくれるふわふわネイリストさん。ああ、可愛い。

仕上がりはとても満足のいくものだった。自分で毎日しているメイクも、ある種のアート(と言えるほど大したメイクはしていないが)というか、顔面を使った工作だと思っていたが、出来上がったネイルはそのレベルを遥かに超えていた。爪という小さな土台の上を、こんなに可愛くできるアートがあるなんて! ただの爪に色を塗って、柄をデザインして、ラメがちょこっと乗せたりしてあるだけなのに、なんでこんなに可愛いんだ! なんで私はもっと早くジェルネイルをしなかったんだ!

何より、自分のテンションがものすごく上がる。これはきっと男性にはあまりわからないかもしれない。でも、ただ爪が可愛いというだけで、ものすごくテンションが上がるのだ。ネイルサロンを出た直後から数日間、何かにつけて私は爪を眺めていた。電車に乗っている時も、夜寝る前も、仕事がひと段落した時も、施してもらったジェルネイルを見てテンションが上がっていた。そして、癒されていた。

ずっとそのジェルネイルをしていたかったが、生きていると爪は伸びる。ジェルネイルは自爪に施してあるので、共に伸びていく。ジェルネイルが施されていない自爪の部分が大きくなっていき、少しずつ見栄えが悪くなっていった。そして私も、そろそろ爪が切りたくなってきた。

落としてもらって新しいデザインを施してもらえば良いのだろうが、ジェルネイルは、私の懐では継続して施術してもらうのが難しい。少々お高いのだ。私は泣く泣く、今のジェルネイルを落としてもらいに再びネイルサロンへ向かった。

ウィーーーーンと、DIY女子が使うような機械で削られていくジェルネイル。色がどんどん削れていき、跡形もなく消えてしまった。芸術品を壊してしまったようで、私はなんだか寂しくなった。爪も、今までカラフルだったのに、自爪に戻ってなんだか寂しい感じに見えた。まるで濃い化粧を落とした後のようだ。

私が黙ってジェルネイルが削られていく様子を眺めていると、「ネイルを外す時って、なんだか寂しい気持ちになりますよね」とネイリストさんが声をかけてくれた。やっぱ、みんなそうなのか。恋愛で言うと、こんなに好きなのに別れなければならないなんて、最初から出会わなければよかった、とか、そういうのに似ているのかもしれない。たぶん。

「またジェルネイルしたい気分になったら来てくださいね」と、相変わらずのふわふわ笑顔に見送られ、私はネイルサロンを後にした。私もあのネイルサロンに勤めたら、ふわふわ系可愛い女子になれるだろうか、とか無茶で無駄なことを考えた。安心しろ、当時の私。なれないよ。

ともあれ。たかが爪かもしれないが、やはり自分の一部である。綺麗にしてあげればその分自分の気分も上がる。いつも爪切りで短くカットするだけだったけど、爪やすりを買って少し丁寧に手入れしてみようかな。

こうして私の可愛さ偏差値は、1レベルアップしたのであった。


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